実際に使ってみると、丸みを帯びたデザインに変更されたこともあって、持ったときの印象は10とそれほど変わりない。ボディーの厚みは10と比べると19.4mmから22mmへとやや分厚くなったものの、だいたいのサイズやボタン類の配置が同じためだろう。ただし、デザインに関しては、すっきりした面構成の10のインパクトが大きかっただけに、10と見比べるとややもっさりした感じに見えなくもないのは好みが分かれるところか。
撮影サンプル1 光学式手ぶれ補正のおかげで、カメラの保持をしっかりしていればかなりシャッター速度が低下してもそれなりに撮れるのは、本当にありがたい。プログラムオート、1/6秒、F2.8、ISO 80。元画像は3264×2448ドットだが、掲載用に800×600ドットにリサイズとトリミングを行なっている
各種電子的な機能追加や液晶の視認性向上は確かに便利ではあるが、なんといっても光学式手ぶれ補正の搭載が大きい。10の持ち歩きカメラとしての完成度は非常に高いが、暗所で撮らざるを得ないケースを考えると日々携帯するにはやや不満が残ったが、20 ISの登場によってその点も解消され、かなり魅力的なモデルとなった。
撮影サンプル2 逆光などコントラストが強い状況では白とび/黒つぶれが起きやすいのはコンパクトデジタルカメラではやむを得ないところ。影となった部分の描写よりも青空を残したいため露出補正をマイナスに振ってみた。周辺部をトリミングしたが、小さな光学系にもかかわらず描写は悪くない。プログラムオート、1/320秒、F8、ISO 80、露出補正-0.7
撮影画像に関しては、IXYシリーズならではといった印象で、広角時の周辺や望遠時の描写性もなかなか良好だ。特に良いというわけではないものの目に付く悪い部分もない。もちろん光学系のサイズに制限のあるコンパクトカメラで“悪い部分が目につかない”ということ自体が相当な工夫を重ねた成果であり、10からさらに光学式手ぶれ補正を搭載しつつサイズもほとんど変わらず、コンパクトデジタルカメラの平均以上の絵を提供しているのは高く評価できる。
10は2007年3月の発売以来、移り変わりの激しい市場でもかなり長く人気が続いたモデルとなった。より薄くて高画素なデジタルカメラ製品もある中での人気さは、スペックだけでなくカメラ自体の完成度の高さが消費者に受けたということだろう。光学的手ぶれ補正を追加しつつも10の良い部分をそのまま継承して完成度を高めた20はコンパクトデジタルカメラとして非常に隙のない出来となっており、間違いない選択とひとつと言えるだろう。
撮影サンプル5 撮影距離は通常モードで30cm~、マクロモードで最短3cm(広角側)/30cm(望遠側)~50cm。特にマクロではズーム倍率で最短撮影距離が大きく変わるため距離とズームを組み合わせに悩むところだが、ピント位置拡大機能はかなり役に立つ。プログラムオート、マクロモード、1/50秒、F2.8、ISO 200
IXY DIGITAL 20 ISの主なスペック | |
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製品名 | IXY DIGITAL 20 IS |
撮像素子 | 1/2.5インチ有効約800万(総830万)画素CCD |
レンズ | 光学3倍ズーム、f=6.2~18.6mm(35mmフィルムカメラ換算時:38~114mm)、F2.8-4.9 |
静止画撮影 | 最大3064×2448ドット |
ISO感度 | オート、高感度オート、ISO 80/100/200/400/800/1600 |
動画撮影 | 640×480ドット、30fps、MotionJPEG圧縮AVI形式 |
液晶ディスプレー | 2.5インチTFT、約23万画素 |
記録メディア | SDメモリーカード(SDHC対応)/MMC、32MBメモリーカード付属 |
インターフェース | USB 2.0(Hi-Speed対応)、AV出力 |
電源 | 専用リチウムイオン充電池(DB-70) |
撮影可能枚数 | 約240枚(液晶ディスプレー表示オン、CIPA測定法準拠) 約600枚(液晶ディスプレー表示オフ、同) |
本体サイズ | 幅86.8×奥行き22×高さ54.8mm |
重さ | 約125g(本体のみ) |
