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Apple Product Review:UIの概念を一変させる革新に満ちた音楽プレーヤー

APR: iPod touch

2008年01月14日 15時02分更新

文● 柴田文彦、MacPeople編集部

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これまでのiPodの操作体系とはまったく異なるユーザーインターフェース(UI)を搭載して登場したiPod touch。UIだけでなく、インターネットへの接続が可能など、機能面でも従来のiPodとは一線を画す製品となっている。iPod touchの実力と、その可能性を確かめていくことにしよう。

APR: iPod touch


CONTENTS:

1. Overview


薄型iPodを実現したフラッシュメモリー

 iPhoneから携帯電話とカメラ機能を除外したデバイスとして登場したのが「iPod touch」だ。iPhoneと比べても、現状では本体前面の大部分を占めるタッチスクリーン式の液晶パネルを含め、見かけや操作性、機能も大きく変わらない。

  背面・上面・底面・側面

どこから見てもスムーズで、突起やエッジといった部分はほとんど見当たらない。唯一のわずかな突起は、上面にある電源/スリープボタンだけ。前面にある起動ボタンは浅い凹みだ。底面にはDockコネクターとヘッドホン端子が並んでいるが、ほとんど目立たない。側面には左右とも何もない。背面にはアップルのロゴや「iPod」という製品名、容量を表す数字、そのほかの文字がレーザー刻印されている。無線LANアンテナ用の切り欠きを覆う黒いカバーがアクセントとなっている

  付属品

パッケージに付属するのは、USBケーブル、ヘッドホン、Dockアダプター、簡単な説明書、ポリッシングクロス、スタンド──だ。iTunesをはじめ、ソフトはすべてダウンロードして使うのが前提なので、DVD-ROMのたぐいは付属しない

APR: iPod touch

ちなみに、こちらは米国で販売されているiPod touchのパッケージ。日本向けのパッケージがMacy Grayなのに対して、米国のパッケージではCorinne Bailey Raeがフィーチャーされている

 製品名に「iPod」が付いているものの、従来機種とは機能や外観は大きく異なっており、初めてWi-Fi無線LAN(IEEE802.11b/g)接続機能を内蔵した。いまのところ無線LANを利用するソフトとしては、ウェブブラウザーのSafari、YouTube専用ブラウザー、iTunes Store専用ブラウザーの3種類を搭載。ソフトウェアのアップデートによって、今後インターネット接続機能を生かせるソフトが追加される可能性もある。

  インターフェース

APR: iPod touch

液晶に並んだアイコンを指でタッチすればソフトが起動する。操作方法はiPhoneと同じだが、インターフェースに並ぶアイコンの数はtouchのほうが少ない。画面の下辺には、OS XのDockのように使用頻度が高いと思われるアイコンがある。上部には、そのほかのソフトのアイコンが並ぶ。アイコンの位置は移動できなくなっており、ソフトの起動以外の操作はできない

 このサイズのiPodとしては、ハードディスク形式を採用せず、音楽やムービーの記録用として、iPhone同様のフラッシュメモリー形式を採用したのは例外的だ。容量は8/16GBという2つのモデルを用意している。アップルストアの価格はそれぞれ3万6800円と4万8800円。一方でハードディスク形式を採用しているiPod classicは容量が80/160GBの2モデルで、価格が2万9800円/4万2800円。つまり、touchは容量がclassicの10分の1で、価格はやや高めという設定だ。

 フラッシュメモリーを採用した理由は、薄型のボディーの前面の大部分を液晶パネルで覆うという構造上、ハードディスクの搭載が難しいことが考えられる。実際に、classicより明らかに薄く、nanoより若干厚い程度というサイズを実現している。ところが、ムービー再生に適した大画面でありながら、記憶容量がムービーの記録に適していない点は、ちぐはぐな印象が否めない。

  サイズ比較

APR: iPod touch

最も形状が近いiPhoneと比較すると、正面から見る限り画面のサイズも含めてほとんど同じ大きさだ。しかし、厚さはかなり薄く、実際に手に持つと約半分ほどに感じられる。この厚さは、classicはもちろん、突起部を含めたshuffleよりも薄い。これより薄いのはnanoだけだが、正面から見た面積ではnanoの2倍ほどあるため、比率としては最も薄く感じられる。いずれにしても、ハードディスクではなく、フラッシュメモリーを採用した効果だ。正面から見た面積は、classicとあまり変わらないが、モニターの面積が2倍以上あるので、見た目の印象はかなり異なる

 機能の違いは脇に置き、単純にこのtouchとclassicの2種類の価格差から算出すると、1GBあたりの価格はハードディスクの162.5円に対して、フラッシュメモリーでは1500円となっており、容量対価格比で考えるとtouchは不利だ。しかし耐衝撃性/サイズ/省消費電力によるバッテリーの持続時間などの点では、ハードディスクよりもフラッシュメモリーが圧倒的に有利。

 現状のtouchは、何本もムービーを入れたまま数を増やしたり、膨大な音楽ライブラリーの全部を常に携帯したい、といったユーザーには向かない。逆に、音楽やムービーを入れ換える作業を面倒に感じなければ、独自の操作性や大画面をはじめとするtouchのメリットのほうが大きいと感じるユーザーは多いだろう。

  スタンド

付属品に含まれるスタンドは、透明のプラスチック製で、気付かなければ何かの破片と見間違えそうなほどの小さな部品。実際にはかなり利用頻度の高い付属品で、縦でも横でもtouch本体を適切に保持できる。特にムービー再生中に、机やテーブルの上に置いて利用すると非常に便利。ほかのもので代用することは難しいので、紛失しないように気をつけたい


(次ページに続く)

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