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おとなの社会科見学 Web版 第6回

セレクトショップの集合体「ZOZOTOWN」に、伸びるECサイトのカギをみた

2007年12月13日 00時00分更新

文● 山崎マキコ

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 あと、伸び盛りの企業というのは人の熱気によって作られるものだと改めて思った件は、デザイン部ディレクターの渡辺順さんにお話を伺ったときだった。渡辺さんはスタートトゥデイに正式に移ってくるまでデザイナーとして旅行パンフレットなどのデザインをしていたそうなのだが、そのあいだも時折依頼されるスタートトゥデイの仕事が、

「自分の自由なクリエイションができる、息がつける瞬間」

だったという。そんなことを語る渡辺さんから、好きな仕事をしている人の幸せのオーラみたいなのが伝わってきて、わたしはまたしてもうつむき加減になったのだった。どうもすいません。

 ま、そういうことはさておいて。スタートトゥデイの会社としての略歴なども少々触れようかと。スタートトゥデイの代表である前澤友作氏はもともとは音楽畑のご出身という異色の経歴の持ち主だったりする。それがなぜECサイトの運営にたどり着いたかといえば、発端は向こうのライブ事情に影響を受けたという。

 広報の安田さんが教えてくれたところによれば、こんな感じ。

「前澤はアメリカで沢山のライブ会場を廻ったらしいんですね。ライブ会場では、出演バンドのCDだけじゃなくて、その人たちが作ったTシャツや友人の作品なども一緒に販売していたと。それを見てとても感銘を受けたらしいのです。アメリカは日本よりも通販が盛んな場所で、そのときはまだ前澤のなかではECというものは考えていなかったのですが、“自分たちが好きなものを周りの人々に届けること”をしていきたいと思った、とのことです」

 こうして1995年にCD/レコードをカタログ通販で販売することになり、これがスタートトゥデイの始まりだったとか。

 ECサイトとしてはわりと後発だったにもかかわらず、ちょうど創成期だった裏原宿系のファッションブランドを取り扱い始めたことで急成長したという。わたしはファッションのことってさっぱりわからんので知らなかったのだが、なんでも、音楽をやってる人は洋服にも興味があるものらしい。で、音楽と同じ感覚で、自分たちの好きなものを仕入れてみたら現在に至ったという。ぱっと聞いた限りでは、ひたすらうらやましくなるようなお話だ。

 とはいえ、もちろん苦労はあって、それはなによりも卸し先を口説くことだったという。現在では「ZOZOで扱ってほしい」とメーカー側がお願いにくることもあるそうだけど、7年越しで口説いたメーカーもあったとか。わたしだったら半年どころか2週間であきらめたと思うんだけど、このへんの情熱の差、ないし根性の差というのが、スタートトゥデイが成功した秘密なんじゃないかと思った次第です。

 若くて伸び盛りの企業の息吹、本誌のほうでも触れていただければ幸いです。

(名称・数字・肩書等は取材当時のものです)

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