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斉藤博貴の“タイ鉄道写真紀行” 第3回

タイ国鉄三等客車で出会った人々を撮る

2007年10月24日 09時30分更新

文● 斉藤博貴

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旧泰緬鉄道で有名観光地カンチャナブリーに行こう!


トンブリー駅の風景

トンブリー駅の風景。かつては日本の新幹線と同じ軌間(レール間)1メートル435ミリ(標準軌)で構成された南幹線のターミナル駅だった。しかし、軌間1メートルへの改軌とタリンチャン駅~バーン・スー駅のバイパス線が完成してからは、ローカル駅の1つに転落したという歴史がある

 腕時計を見ると午前11時30分なので、まだ鉄道の長距離列車の発車時間には3時間以上あるし、切符の予約もしていない。さて、一体どこへ行こう? そこで気付いた。トンブリー駅へ急げば、ナムトック駅行きの普通列車でカンチャナブリー観光に出発できることに。

 カンチャナブリーとは、英国映画「戦場にかける橋」で有名なクワイ川鉄橋(メクロン河永久橋) で知られる観光地だ。バンコク都から西に約150kmという絶好のロケーションのおかげで、週末になるとバンコク在住の若者たちがこぞって集まる。

サーラーヤー駅の風景

タイ国鉄南幹線のサーラーヤー駅に到着した。街に隣接した駅なので、かなりの乗客が乗り込んできた

 発車10分前にトンブリー駅に到着した。乗車するのは全三等車で構成される普通列車259番。トンブリー駅~ダリンチャン分岐点~サーラーヤー駅~ナコン・パトム駅~ノーン・プラードゥック分岐点~カンチャナブリー駅~クウェー・ヤイ橋停留所~ワンポー駅~ナムトック駅を、時刻表によれば約4時間30分かけて走る鈍行列車だ。なお、始発駅のトンブリー駅から目的地のカンチャナブリー駅までの所要時間は約2時間30分となっている。

 乗車券を買おうとしてビックリした。トンブリー~カンチャナブリー駅間の乗車料金が100(約370円)バーツに値上がりしている(昔は40バーツしなかったのに!)。「すみません、外国人料金ですか?」と尋ねると「違います。ナムトック駅行きの列車は運賃を値上げしました」と答えた。

 ちょっと不機嫌になったが、気を取り直して前から3両目の客車に乗車した。夜行等の長距離列車なら、三等車でも発券時に一応座席番号が指定されるのだが、運行距離の短い昼行列車扱いの259番では全席フリーだ。平日なためか、それとも乗車料金の値上げのせいか、客車内はガラガラだ。正直、100バーツ払えば快適なエアコン二等長距離バスに乗車できるだけに、かなり微妙な料金設定と言える。

ストローをくわえる乗客

タイの人々はソフトドリンクの缶や水のボトルに口を直接付けずにストローを使って飲む事が多い(礼儀の問題らしい)

Jちゃんとママ

乗車券を見せてくれるJちゃんとママを、切符がよく見えるように腰の位置にカメラ構えて見上げるアングルで撮影した。E-510のライブビュー機能のおかげで撮れたカットだ (プログラムAE +0.3EV ISO 400 AWB 手ぶれ補正ON ライブビュー使用)

 運賃の値上げのショックで、次第に撮影意欲が減衰していった。デジタル一眼レフカメラをバッグから取り出す気にならず、コンパクトデジタルの「IXY DIGITAL 50」で適当に撮影してお茶を濁していた。しかし、列車がサーラーヤー駅のホームに入線すると状況は一変した。突然若いタイ人の女の子とその家族が乗車してきたのだ。女の子の名前はJちゃん。彼女のおかげで下がりまくりのテンションが上がってきた。

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