プログラミングに関連する書籍には、数多くのIT英語が登場する。「variable」や「parameter」も、そうした言葉だ。果たして、どのような意味なのか。「dictionary.com」で調べた。
variable
A symbol(like x or y) that is used in mathematical or logical expressions to represent a variable quantity.(数学的あるいは論理的な表現において、可変的な数量を表すために使われるxまたはyのような記号のことをいう)
variableはそもそも「可変する」という意味がある。IT用語でも、variable name(可変名)やvariable length(可変長)などという形で使用されている。こうした本義から転じて、数学やコンピュータサイエンスでは「変数」を表す言葉としても使われているのだ。
parameter
A constant or variable term in a function that determines the specific form of the function but not its general nature.(一般的な性質ではないが、関数においてその関数の具体的な形式を決定づける恒常的もしくは可変的な項目のことをいう)
俗に「要因」という意味で使われるparameterは、数学では「媒介変数」や「助変数」を表す言葉として使われている。そこから転じたのであろうか、コンピュータサイエンスでは次のような意味で使用される。
parameter (Computers)
A parameter in Computer Science is a variable that must be given a specific value during the execution of a program or of a procedure within a program.(コンピュータサイエンスにおけるパラメータとはプログラムまたはプログラム内の手続き[プロシージャ]を実行するときに、特定の値を与えられなければならない変数のことをいう)
つまり、variableもparameterも「変数」を表すIT英単語なのだ。それにしても、なぜ変数を表す言葉が複数あるのか。その疑問を解消するために、この2語が使用されている技術書の一文をそれぞれ読んでみた。
Local variables are only visible to the methods in which they are declared.(局所変数は、その変数が宣言されるメソッドによってのみ参照されます)
このIT英文が意味するところは、プログラムの中で変数を書いたとき、その変数を定義しているメソッド(処理の単位)だけが、その変数をプログラム中で利用できるということだ。
The shell parameter PATH defines the search path for the directory containing the command.(シェル変数のPATHは、コマンドを含むディレクトリを探して検索する経路を定義しています)
上記の2つのIT英文を読み比べると、variableとparameterに微妙なニュアンスの違いがあることがお分かりだろうか? 言うなれば、variablesは一般的に変数を意味する言葉、parameterは特定の処理を実行するときに与えられる変数という意味合いが強い言葉だ。たとえば、ロールプレイングゲームなどのキャラクター設定時に、決められた数値を各能力に割り振る作業がある。これらの数値もparameterの一種と考えられる。先のIT英文にあるように、parameterはシェルの起動時に読みこませる際に使われたり、処理開始時に与えられたりする変数を指すことが多い。
とはいえ書籍や人によっては、variableとparameterを単に変数という意味合いで混同して使用している場合もないわけではない。両者の正確な意味を把握した上で、文脈に即して理解するように心がけよう。
![]() |
---|
Illustration:Aiko Yamamoto

この連載の記事
-
第49回
ビジネス
内部統制周辺で見かける「assessment」 -
第48回
ビジネス
エンジニアがデータをやり取りするときの重要単語 -
第47回
ビジネス
文脈で対象が異なる「peripherals」 -
第46回
ビジネス
IT英語で登場する「redundancy」は、いい意味? 悪い意味? -
第45回
ビジネス
帰ってきたIT英語~layoutを表現する単語たち~ -
第44回
ビジネス
IT業界の「diversity」を今から理解しておこう -
第43回
ビジネス
「query」が期待するものは何? -
第42回
ビジネス
ITでは、なぜ「バーチャル」が多用されるのか -
第41回
ビジネス
技術文書に頻出する「foobar」って何だ? -
第40回
ビジネス
ウワサがウワサを呼ぶソーシャルネットワーク・ワード「buzzword」って何だ!? -
第39回
ビジネス
いま流行りの「Gadget」が映し出すITトレンドとは? - この連載の一覧へ