金融機関と上手に付き合うには 5年間、無借金経営で黒字であったにも関わらず……
私の友人の女性経営者からこんな話を聞きました。
彼女は、50歳過ぎてからテレマーケティングの会社を起こし、創業資金は自己資金の300万円でスタートしました。長年通信会社での勤務経験があったため、人脈が広く、取引先はすぐに広がり事業も拡大できたそうです。
しかし、さらなる飛躍を目指して人材を投入していくためには、やはり資金的に限界がありました。そこで金融機関へ融資を申し込むことにしたのです。
ところが彼女の会社は5年間、無借金経営で黒字であったにも関わらず、融資を申し込みに行った金融機関からは運転資金調達に関して、色よい返事がもらえなかったと言います。
後から知ったのですが、「金融機関から融資を得て完済した」という事実が、実は金融機関にとっては、その企業への実績評価になるのです。そういう意味では、彼女の会社は今までまったくそのような「借りて返す」実績がなかったため、色よい返事をもらえなかったのです。
(無理しない範囲で)借りて返した実績をつくること
これは、上手に金融機関と付き合うことになり、ひいてはそれが会社を継続していくコツとなるのです。事業計画を考える際には、このような借りて返すというビジョンを持っておくとよいでしょう。
そしてさらに資金調達計画で必要なこととしては、生活費、ローンの支払い、教育費、保険料などの生活をしていくために必要な金額をまずは把握しておくことです。つまりそれを差し引いた上で貯蓄をしておかないと、開業後すぐに資金がショートしてしまいます。
たとえばPC、FAX、コピーなどの備品に関しては、現金でまとめて購入せずに、リースの利用なども視野に入れるとよいでしょう。
事業計画書を作成する フォーマットを手に入れよう
それでは以上のこと踏まえ、いよいよ実際に事業計画書を作成してみます。しかし、もちろん最初から完璧なものを目指す必要はありません。作れるわけでもないと思います。まずは自分の頭の中で思い描いている事業のイメージを「具体的な数字や言葉に落とし込んでみる」作業が大切なのです。そして何度も書き直すうちに、自分の事業が本当に実現可能かどうなのかを確認することができると考えて下さい。
事業計画書の必須項目
事業計画書にはさまざまな書式があり、原則的に書き方は自由ですが、以下の項目が網羅されているとよいでしょう。
1.表紙
2.事業概要
3.会社概要(創業者紹介)
4.起業・開業の理由・動機
5.事業内容詳細(商品・サービス内容・コンセプト、市場の特徴・規模、価格、販売方法等)
6.資金計画・損益計画
7.事業実施スケジュール
8.補足
では、実際に作成してみましょう。 作成にあたっては、国民金融公庫のサイトの「借入申込書等ダウンロード」のページに、「創業計画書」「創業計画書記入例」があるので、そちらを参考にするとわかりやすいと思います。
国民金融公庫サイトより |
国民金融公庫に融資を仰ぐか否かはさておき、まずはサンプルを活用して書いてみることが第一歩です。それから、自分なりに肉付けを考えてアレンジし、世界に1つだけのあなたの事業計画書を作り上げてください。
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