ASCII Power Review 第117回
中判ミラーレスGFXの最新モデルはお値段もGOOD
富士フイルム「GFX100S」実機レビュー = 小型軽量化した「1億画素」の魅力実感!
2021年03月17日 13時00分更新
フルサイズ(約36×24mm)より一回り大きい中判サイズ(約44×33mm)の撮像素子を搭載した富士フイルムGFXシリーズ最新モデル「GFX100S」が登場した。
2019年に発売された最上位モデル「GFX100」(名前が似ていて少しややこしいが・・)と同じ有効約1億200万画素の撮像素子を採用しつつ、ボディーサイズは大幅に小型化された。
さらに価格は「GFX100」が134万7500円なのに対し76万8900円(共に3月10日時点での量販店価格)と一般ユーザーにも手が届くお値段に。そのせいもあり今もっともカメラマニアに注目されている一台だ。
フルサイズ一眼サイズに
中判撮像素子と手振れ補正も内蔵
構えたときのサイズ感はフルサイズの一眼レフと同等といった印象で、中判デジカメとしては、かなりコンパクトなボディーである。
重量だけみれば約5140万画素撮像素子を搭載したレンジファインダースタイルの下位モデル「GFX50R」が約755グラムなので、それよりは145グラムほど重いはずだが、「GFX50R」と比べるとフロントグリップが大きく、しかも手によく馴染む形状でホールド感が抜群に良い。そのおかげで実際の重量より軽く感じることができる。
初期のGFXシリーズはシャッタースピードや露出補正にアナログダイヤルを備えたクラシカルなスタイルだったが、「GFX100S」では撮影モードダイヤルを採用するなど現代的な操作感になっている。とはいえ上面液晶の表示がダイヤル風に変更できるあたりに富士フイルムのアナログ操作へのこだわりが感じられる。
背面操作系はシンプルな配置で、測距点移動を行うフォーカスレバーがメニュー操作時には十字キーの役割になる。前後コマンドダイヤルはプッシュ式で、例えば絞りとISO感度など前もって割り当てた機能を切り替えることできる。
背面液晶は3.2インチ約236万ドットで、3方向のチルト式を採用。フリーアングル式ほどの自由度はないが、レンズ光軸上の液晶画面で画像を確認したいチルト式のファンには嬉しい機能だ。もちろんタッチパネルだが、メニュー画面でのタッチ操作には非対応だ。
メディアはSDのデュアルスロットで、ともにUHS-2対応。1億画素ともなると1枚あたりのデータサイズはJPEGの最高画質(エクストラファイン)で約42MB、16Bitの非圧縮RAWでは約200MBになるので当然速度が速いUHS-2のほうがベストだが、ボディー内に十分なバッファが搭載されているらしく、UHS-1でも極端な連写でなければ(例えば10枚程度なら)、書き込み中に動作が停止することはなかった。
端子類ではレリーズに汎用性の高いミニジャックを採用。シンクロターミナルを備えてくれたのは、外部ストロボを使用したい人には嬉しいポイント。USB端子はType-Cで、充電にくわえ給電にも対応している。
バッテリーは同社のAPS-C機「X-T4」と同じ「NP-W235」を採用。公称撮影可能枚数は約460枚。実際に試してみるとJPEG+RAWで200カット400枚程度は楽々撮影することができた。中判デジカメとしては十分なスタミナである。
EVFは「GX100」の着脱式576万ドット撮影倍率0.86倍から固定式369万ドット撮影倍率0.77倍にスペックダウンしているが、覗いてみるとクリアで撮影像も大きく十分満足できる視認性だった。
また撮っていて気に入ったのが”フェザータッチ”と呼ばれるシャッターボタン。柔らかい感触で押し心地が良く、そのおかげで中判デジカメとは思えない軽快な撮影が楽しめる。
1億画素の迫力
拡大してもまだまだ見える
レンズ性能もワンランク上だった
1億画素という高解像度だけあって、実際に撮った写真を拡大して見ると細部の精細感が凄まじい。加えて発色や明暗差の再現など階調の豊富さにも目を見張る。撮像素子サイズが大きい中判デジカメならではの余裕がある画質だ。
注目したいのが交換レンズ群である。フルサイズ機と比べると高価でサイズも大きくはなるが、GFXシリーズ登場当初から将来を見据えて設計されているだけあって、1億画素という高解像度でも、その画質を最大に引き出す描写力を備えている。
その交換レンズに新しく登場したのが「GF80mmF1.7」だ。35mm換算65mm相当と少し焦点距離長めの標準レンズは、街中を歩きながらふと目に留まった景色を写し撮るのに丁度よい画角で、大きなボケが得られる大口径も魅力的だ。
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