時速500km以上のスピードで走行可能
40歳前後の人であれば、リニアモーターカーは幼いころに夢見た“近い未来に乗れるであろう、めちゃくちゃスピードの速い電車”というイメージではないでしょうか? 私自身、生まれ故郷の宮崎で、このリニアモーターカーの実験をやっていたせいか、度々地元のニュースでも取り上げられており、「ああ、大人になったらきっと乗れるんだろうな~」と子供心ながらに思っていました。あれから30余年。リニアモーターカーはまだ実際利用はできません。が、あともう少し、もう少しで乗れそうな気もします。ここ最近、駅の話だとかルートの話だとかが目立ってきたのもあり、あともう少し待てばリニアモーターカーに乗れるんだ! モードに私はなっています。
さて、ここまでリニアモーターカーと言ってきましたが、私の言っている“めちゃくちゃスピードの速い”リニアモーターカーは、いわゆる“超電導リニア”のことです。実のところ、リニアモーターカーは、名前の通り“リニアモーター駆動”の乗り物全般のことを指す和製英語なのですが、この超電導リニアを最初に開発した方が名付けたため、どうしても“リニアモーターカー=超電導リニア”というイメージがあります。
実際リニアモーター駆動の電車はすでに走っていたりもするので、ここからは“超電導リニア”という表記にシフトしたいと思います。そして、この超電導リニアが『リニア中央新幹線』として、今、2027年開業目標でこの日本(品川から名古屋間)を走ろうとしているのです。コロナ禍でちょっと工事が遅れちゃったりもしているようですが、今から10年以内かな? と考えても、いよいよな感じですね! ええ、この年齢で10年とかあっちゅーまですから。
さてさて、超電導リニアはなぜこんなに速いのか? その秘密はその車体の走らせ方にあります。今私たちが一般的に乗っている電車は、電気と回転式のモーター、そして車輪を使って走ります。新幹線も同じ仕組みですが、新幹線は停車駅や踏切、カーブが少なかったり、侵入物を避ける対策をしていたり、車体の空気抵抗を少なくしていたり、などの要素でスピードアップを図っています。
一方超電導リニアは、電気と“直線式(リニア)”のモーター、そして“電磁石”を使って走ります。もちろん車輪(ゴムタイヤ)も使いますが、ある一定の状態までくると、車体が10センチほど“浮きます”。もう一度言います。“浮きます”。そう、浮いて走ることで、地面との摩擦をなくし、かつ車体も空気抵抗を少なくすることで、時速500kmオーバーという“めちゃくちゃスピード速い”を実現するのです。
電磁石とは、磁性材料の周りにコイルを巻いて、それに電気を流すことで磁力(と磁界)を発生させることができます。また、電流が流れる方向を変えることでN極とS極を入れ替えることができます。が、強い磁力を得ようとすると、それだけ大きな電気も要るし、発熱によって大事なエネルギーをなくしてしまいます。そこで使われているのが“超電導”です。
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