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週替わりギークス 第196回

23歳、会社がなくなっても食べていけるようになりたいです

2021年01月08日 09時00分更新

文● 正能茉優 編集● ASCII

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副業や働き方に関する、お悩みにお答えします!

 「副業したいけど、時間がない」「第二新卒・30代で、転職するかどうか迷っている」など、副業や仕事に関するお悩みやご相談ありませんか? 大学時代に立ち上げたハピキラFACTORYの社長で、パーソルキャリアの会社員でもある正能茉優さんが、皆さんのお悩みにお答えします!

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 ASCII読者の皆さん、こんにちは!正能茉優です。

 今月も、パーソルキャリアの新規事業企画、ハピキラFACTORYの代表、そして慶應義塾大学大学院の特任助教と、3つのお仕事をしています。

 さて、この連載「お仕事悩み、一緒に考えます。」では、今月も、読者の皆さまからいただいたお仕事に関するお悩みについて、一緒に考えていきます。

 今月のテーマは、「個として生き延びられる自分になるための、環境の探し方」。

 就職活動中の学生さんから頂いた、「たとえ会社がなくなったとしても一個人として生きていけるような、成長できる環境を探している」とのお便りですが、このご時世に「どんな環境で何をしたらいいのだろう?」と悩むのはきっと、学生さんだけではないはず。

 先が見えないこの時代を生き延びられる人になるための、環境選びのコツを、私なりにお伝えできたらと思います。

●個として生き延びられるよう、成長したいです

 正能さん、はじめまして。

 私は今、就職活動をしている修士1年の23歳です。大学院では、正能さんと同じく、経営学を学んでいます。

 今は就職活動の真っただ中で、オンラインを中心に、いろんな企業の面接を受けたり、社員さんの話を聞かせてもらったりする毎日です。

 就活をしている中で、正能さんに聞いてみたいことがあり、今日はメールをさせてもらいました。

 私が今強く考えているのは、「個として生き延びることができるように成長したい」ということなのですが、その場合、どんな環境に身を置くのがオススメですか?

 何もかもが不安定なこの時代、会社のような組織に頼らずに生きていけるような人材になることが重要だと私は考えています。また、自分は大学院まで進んでいるので、周りに比べると出遅れているような気持ちになることもあり、みんなよりも早いスピードで成長したいという思いもあります。

 だから、自分の名前で社会で生き延びることができるよう、いち早く成長したいんです。

 でも、だからと言って、大企業に入ればいいわけでもなさそうだし、この職業に就きたいという明確な希望もありません。

 だからなのか、どの企業の社員さんのお話を聞いても、何も決められず、困っています。自分の中に、何か基準を持ちたいのです。

 「個として生き延びることができるように、成長したい」場合、どんな基準で会社を選ぶのが重要でしょうか? 教えてください。

(トオルさん・23歳・学生)

●個の時代 = 社会的価値を上げにいく時代

 トオルさん、こんにちは。お便りありがとうございます。

 誰の目にも不安定なこの時代、確かに「個として、なんとか生き延びていける人になりたい」という気持ちになりますよね。

 今すでに社会で働いている私も、この世の中の状況にトオルさんと同じ思いを感じているのですが、トオルさんのお便りを読んで、「まだ社会に出る前の、学生さんですら、こんなことを考える時代なのか……」とちょっぴり切なく、そして頼もしく思いました。

 さて、今回いただいたご相談ですが、まずは「個として生き延びる」ということから、考えてみたいと思います。

 「個として、社会で生き延びる」というのは、どういうことなのか?

 それは、「たとえ所属している会社がなくなっても、この社会で、必要とされる“個人”になる」ということです。会社がなくなっても、つまり肩書きがなくなっても、社会で必要とされるなんらかの価値を持っている人にならなくてはなりません。

 そのために必要なのは、会社の中で昇進したり表彰されたりして「社内的な価値」を上げる行為ではなく、会社に依存せずに社会で評価されるような「社会的な価値」を上げる行為です。

 言い換えれば、ポータビリティの高い実績をいかに積み上げるのかということが重要だと思います。

●ポータビリティの高い実績=社会的インパクト×手触り感

 次なる問題は、このポータビリティの高い実績ってなんぞや?ということなのですが、ポータビリティの高い実績というのは、「社会的インパクト」と「手触り感」の2つでできているのではないかと私は考えています。

 まず、社会的インパクト。

 その実績を人が見聞きした時に、「へえ、そういう面白いことやっているんだ!」と興味を持ってもらえたり、「社会を大きく変えるプロジェクトに関わっていたんですね」と認めてもらえたりするために、大事なポイントがこの「社会的インパクト」です。

 インパクトと聞くと、「大きいプロジェクトほど、良し」という発想になってしまいがちだと思うのですが、インパクトには「広さ」という概念と同時に「深さ」という概念もあると思います。つまりインパクトとは、面積なのです。

 たとえ、プロジェクト自体の規模は小さくても、深く何かを変えていくような、あるいは深く何かを掘り下げていくようなプロジェクトもまた、社会的インパクトのある実績になると思います。

 とはいえ、そのインパクトに対して、トオルさん自身が一定貢献したことが見えてこない場合、それはトオルさんの実績にはなりません。

 そこで大事になってくる2つ目のポイントが、手触り感です。

 社会的インパクトのある仕事に対して、どのようにリアルな手触り感のある役割を担ってきたのか? どう貢献してきたのか?

 インパクトという“面”に、その手触り感が“高さ”となってできた、直方体の体積こそが、実績のポータビリティであると私は考えます。

 だからこそ、「インパクト」と「手触り感」の両方を、バランスをとって両立させることが大事なのです。

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