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ASCII Power Review 第110回

インク交換いらずなうえに、写真もフォトプリンターを超えました

エプソンEW-M873T実機レビュー = エコタンクが6色になって最強プリンターになっていた!!

2020年12月09日 11時00分更新

文● 写真 ジャイアン鈴木 + 編集● ASCII PowerReview軍団

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 エプソンは6色インク構成の「ClearChrome K2 Plusインク」を採用したA4カラーインクジェット複合機「EW-M873T」を12月10日に発売した。

 価格はオープンプライスで、実売価格は6万6000円前後。ClearChrome K2 Plusインクは染料のフォトブラック、グレー、シアン、マゼンタ、イエロー、顔料のマットブラックの6色で構成。染料インクにより鮮やかで光沢感のある印刷を実現しつつ、新たに採用された顔料インクのマットブラックにより「Velvet Fine Art Paper」などのアート紙での表現が格段に向上したとうたわれている。

 また、大容量インクタンク「エコタンク」を搭載し、低コストで大量印刷できる点も本製品ならではのアドバンテージだ。

エプソン「EW-M873T」実売価格6万6000円前後

おなじみエコタンクでA4カラー文書を約6200枚印刷可能

 EW-M873TはA4カラーインクジェット複合機のフラッグシップモデルだ。前述のとおり大容量インクタンク「エコタンク」が採用されており、L版写真は用紙代込みで約6.9円、A4カラー文書は1ページあたり約1.6円、A4モノクロ文書は1ページあたり約0.7円の印刷コストを実現。また2回目以降に購入したインクボトルを使った場合、A4カラー文書を約6200枚と大量印刷可能だ。

 印刷スピードはA4モノクロ文書で約16枚/分、A4カラー文書で約12枚/分、A4写真は約55秒、L版写真は約19秒とされている。

 給紙機構は2種類の用紙をセットできる前面2段給紙カセットを標準装備。L版からA4まで最大100枚の用紙をセットできる前面下段カセット、L版からB6まで最大20枚の用紙をセットできる前面上段カセット、ファインアート用紙に対応する背面トレイ、用紙厚1.3mm/長さ2mまで対応するストレート給紙(リア手差し)と、4つの給紙機構を利用可能。もちろん自動両面プリントにも対応している。

 本体上部には、最大原稿サイズがA4、解像度が1200dpi(主走査)/4800dpi(副走査)のカラーイメージスキャナーを搭載。スキャンした画像をメモリーカード、PC、クラウドに保存できるほか、スタンドアローンのコピー機としても利用可能だ。

 インターフェイスはUSB2.0×2(PC接続用[背面]×1、ストレージおよびPictBridge用[前面]×1)、SDメモリーカードスロット×1、有線LAN(10BASE-T/100BASE-TX)×1、無線LAN(IEEE802.11a/b/g/n/ac)を装備。プリンタードライバーはWindows XP/Vista/7/8/8.1/10、macOS/OS X 10.6.8以降を用意。また「EpsonSmartPanel」や「Print Layout」などのアプリを利用すれば、スマートフォンやタブレット端末から直接プリント可能だ。

専用アプリをインストールすればスマートフォンやタブレット端末から直接印刷できる

 本体サイズは収納時403×369×162mm、使用時403×612×347mm、重量は約8.4kg。本体前面には4.3型タッチ対応液晶ディスプレーが装備されており、各種操作・設定が行なえるほか、大画面を活かして操作方法を確認できる。

ヘルプメニューは「こまったときは」、「操作方法が知りたい」、「お客様診断シート」で構成されており、メンテナンス方法などをイラスト付きで解説してくれる

 なお、本製品の上位モデルとしてA3ノビに対応する「EW-M973A3T」(実売価格9万3500円前後)もラインナップされている。A3ノビで印刷する機会が多いのなら、こちらも購入候補に入ってくるが、当然サイズが収納時523×379×169mm、使用時523×758×430mmとEW-M873Tよりも大きい。個人的には、A3サイズはビジネスコンビニなどで印刷すると割り切り、自宅用にはEW-M873Tを購入するというのがオススメだ。

製品には、セットアップ用インクボトル、ディスクトレイ、電源コード、マニュアル(ソフトウェアディスク、使い方ガイド)、保証書が同梱される。

左からマゼンタ、シアン、イエロー、グレー、マットブラック、フォトブラック。マットブラックが今回新たに追加された顔料インクだ

本体前面。左側に電源ボタン、右側に4.3型タッチ対応液晶ディスプレーが配置されている

前面パネルを開けると、前面2段給紙カセットと排紙トレイが現われる。左端にあるのは、USB 2.0端子(ストレージおよびPictBridge用)とSDメモリーカードスロット

4.3型タッチ対応液晶ディスプレーは立ったまま操作しやすいように角度を調整できる

本体右側面。技適などの認証情報が記載されたシールが貼られている

本体左側面。インクの補充などの際は左右上部の窪みに指をかけて引き上げる

本体背面には電源端子、有線LAN端子(10BASE-T/100BASE-TX)、USB 2.0端子(PC接続用)が用意されている

本体上面。背面トレイはうしろ側の天面パネルを跳ね上げてアクセスする

カラーイメージスキャナーは最大A4の原稿サイズに対応

エコタンクへのインク補充など、セットアップはカンタン

 エコタンクへのインク補充は作業的にはカンタン。インクボトルが結構大きいのでこぼれたら大惨事という不安はあったが、作業方法が液晶ディスプレーにステップごとに表示されるので迷うことはなかった。またインクボトルはエコタンクの注入口に差し込まないかぎりインクが出てこない仕組みになっている。補充時にインクボトルを握らないことだけ注意すれば、失敗することはないはずだ。

 各給紙トレイの使い勝手も良好。用紙の表裏はトレイにわかりやすく明示されているので、ちゃんと確認すれば入れ間違えることもない。ただし最大給紙枚数が100枚というのは正直物足りない。一般家庭用途なら問題ないが、仕事で利用するにはひんぱんに補充が必要となる。本体の厚みが増えても設置面積は変わらないので、200枚ぐらい給紙できるようになってほしいと思う。

エコタンクへのインクの補充は難しくはない。インクボトルのキャップをはずして、エコタンクの注入口に挿入するだけ。コポコポと音を立ててインクが入っていき、規定量に達すると自動的に停止し、逆流することもない

メンテナンスボックスは交換式。廃液タンク交換による使用不可時間をなくす仕組みだ

前面2段給紙カセットは、L版からA4まで最大100枚の用紙をセットできる前面下段カセット、L版からB6まで最大20枚の用紙をセットできる前面上段カセットで構成

背面トレイはファインアート用紙に対応する

ストレート給紙(リア手差し)は用紙厚1.3mm/長さ2mまで対応する

ホーム画面は、コピー、写真の印刷、スキャン、いろいろ印刷、設定、プリンターのお手入れ、フォトライブラリー、スマホと接続、Web動画マニュアルとアイコンが並ぶ

EW-M873TはPCに接続するだけで利用できるが、専用ドライバーをインストールすることで独自のプロパティ画面できめ細かな設定が可能となる

実用上十分な印刷スピード、動作音も抑えめ

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