太陽にあぶられ崩壊しながら飛ぶ
早いもので、今年も新年度が始まりました。が、コロナコロナで年度末気分も新年度気分もあったもんじゃありません。原稿執筆時点は気の休まらない毎日を送っている4月ですが、実はちょいと空に目を向けると、なかなかに華々しい話題が持ち上がっていて、天文・科学業界を沸き立たせているのです。それが『アトラス彗星』。彗星ってだけで珍しい感があってテンション上がりますね!
このアトラス彗星が、今年の5月頃、日没後の西の空に、彗星特有のしっぽを持った姿で、しかも0等級前後という明るさから“この眼”で見えるかもしれない! と沸き立っているのです。東京では日没後の夜空というと、金星と1等星が辛うじて見えるくらいですが、0等級前後となるとそれなりに見ることができる明るさレベルです! あとは建物が邪魔しない場所に移動すればこれ完璧に見えるじゃん! と思いたいところですが、彗星ってとっても予想が難しいって言われてるんですよね……。SNSで「彗星は水物(みずもの)だー!」っておっしゃってる天文家さんがいらっしゃいましたが、本当にその通りだと思います。彗星は、移動している本体が太陽に近づくにつれ、チリが多くなってその光が遮られちゃったり、途中で壊れちゃったりするのです。そのため、“彗星に過剰な期待をしてはいけない”という教訓? もあるようです。言葉通り、数日の間に、「増光が止まった……かも」や「もしかして……分裂してないこのデータ見ると」な情報がSNSで飛び交い始めています。あぁぁかなり期待しているのに! 崩壊自体は宇宙全体をみても(超新星爆発やその影響を除くと)めずらしいイベントだけど嬉しくないです!
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