原子をぶつけて新元素を生み出す!?
すい、へー、りー、べー……といえば、そう、学生の頃最初の20個は覚えさせられたであろう元素周期表です。これ、最初のうちは色気のない元素名ばっかりですけど、後半戦になると、少し単語くさくなってくるのをご存知でしょうか。特に欄外扱いのようになっているアクチノイド系の元素にはアメリシウムという国の名前くさいものや、ウラン、ネプツニウム、プルトニウムという惑星(冥王星は格下げされましたが)が元ネタのものなどが出てきます。放射能の研究で有名なキュリー夫妻から取られたキュリウムなんてのもありますね。
そんな元素周期表につい最近“日本由来”の元素名が登場したのをご存知でしょうか? その名も『ニホニウム』です!
若干言いづらい感もありますが、我が国日本の国名がこの元素周期表という化学の基礎を担う表の中に残ったのです! テンション上がりますよね?
ニホニウムとは、新しく発見された原子番号113の元素です。日本で発見(が確定)されたので、命名権が与えられ、そう名づけられました。新しい元素と聞くと、それを応用して目に見える新しいマテリアルができそうですが、今はまだ無理そうです。が、基礎研究などには役に立つそうですよ!
そもそも、新しい元素発見! と聞くと、まずもって「見つかってない元素ってまだあるんや……」と思いますよね?
実はこれ、見つけてるのではなくて、作っているのです。元素なのに“作れる”のがちょっと不思議です。
そもそも、原子とは、陽子とか中性子で構成されてはいますが、化学的にはそれ以上分けられない構成です。どーやって作るんやって感じですよね? 原子どうしくっつけちゃったら分子になっちゃいますし。そのため、原子をくっつけるのではなく、合体させなければなりません。
その原子の素、原子核どうしを合体するのに必要なのが「核融合反応」です。身近なところでは太陽がやってるお仕事です。
核融合はその名の通り、原子核同士が融合することです。化合物であれば、薬品を混ぜたりして化学反応を起こせばよいのですが、新しい原子を作るのにはどうすればよいのでしょうか? 太陽がやってるお仕事を地球でやるなんて無理ゲー……と思いきや、加速器がやってくれます。加速器で原子をぶんまわし、エネルギー充填させて他の原子とぶつけるんですね。すると原子核どうしが融合するのです。原子が融合する時には、半端ないエネルギーが出ます。太陽のエネルギーはこの核融合でドカドカ量産されているんですね。水素原子どうしが融合してヘリウムになる時のエネルギーが、そのまま私たち地球の生命のエネルギーの源なのです。
ではいったい、ニホニウムはどうやって作ったんでしょうか? 加速器を用意するのはもちろん、作るにも、ある程度あたりをつけて、材料を集めなければなりません。
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