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スマホメーカー栄枯盛衰~山根博士の携帯大辞典第8回

ファーウェイ「Honor」シリーズがシャオミを圧倒したワケ

2016年08月28日 12時00分更新

文● 山根康宏 編集●ゆうこば

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 スマートフォン世界シェア3位の位置を不動のものとし、世界各国で存在感を高めつつあるファーウェイ。

 中国の中小メーカーからグローバルのトップメーカーの仲間入りを果たす過程の中には、ブランド戦略の変更やライバルの登場など数多くの困難が待受けていました。IDEOSからAscend、そしてHuaweiへ。同社のスマートフォンの歴史を追いかけてみましょう。

 前編では、2013年までの同社のスマホ事業の低迷期を追いました。当時、サムスンやアップルとは圧倒的にシェア率を引き離され、さらにシャオミという協力なライバルも登場。同社はどのように舵をとるのでしょうか?

「Honor」ブランドの誕生でシャオミに反撃

 2013年7月にシャオミが発表した「RedMi」(紅米)は中国全土の消費者の注目を一気に集めました。RedMi以前も低価格なスマートフォンは各社が出していましたが、低スペックかつ低品質なものが多く「所詮は安物」レベルのものばかりだったのです。

 ファーウェイの「Ascend Y」シリーズの低価格機モデルも、価格はRedMiに近いものでしたが、スペックは低く、見劣りするものでした。

 そもそもファーウェイは「Y」の上に「Ascend G」シリーズがあり、さらにその上に「D」と「P」というラインアップで製品を展開していました。仮にYシリーズのスペックを、RedMi相当に上げるとなると、Gシリーズとバッティングする製品になってしまい、YとGそれぞれの位置づけが微妙な関係になってしまいます。

 ファーウェイはもちろんRedMi対抗の高コストパフォーマンスモデルをつくる能力はありました。しかし、RedMi対抗のモデルは既存のAscendシリーズの4つのラインアップ(正確には「Mate」と「W」も加えた6種類)の区分けの中には当てはまらない製品になってしまうのです。

 そこでファーウェイはRedMi対抗製品をAscendブランドとは切り離し、新たな「Honor(中国語は栄耀)」ブランドで市場に投入することにしたのです。

 Honorは販売先もオンラインに特化し、実店舗やキャリアショップで販売されるAscendとは販売チャンネルもかぶらないようにしました。シャオミの製品がオンライン販売に特化していたことから、それに対しての直接の対抗でもあったのです。

シャオミ対抗として登場した「Honor」ブランド。その後、着々と製品を増やす

 RedMiの発表から約4ヵ月後の2013年12月16日、最初のHonorブランド製品である「Honor 3C」「Honor 3X」が発表されました。

 それぞれ5型、5.5型のディスプレーを搭載。3XはMediaTekのオクタコアプロセッサーに1300万画素カメラを搭載しながら価格は1698元。3Cはカラフルな6色展開でスペックを控えめにし、価格は698元からと、それぞれシャオミのMiシリーズ、RedMiシリーズにも対抗できる製品でした。

 また、製品パッケージは鮮やかなブルーで、ちょっとした高級感を味わえるデザインとしました。実は、これもシャオミをあえて意識してのもの。シャオミの製品はクラフト紙そのままの質素な外箱を採用しており、無印良品のようなシンプルな印象を与えていました。

 これに対し、Honorの外箱はちょっとした高級モデルのようなイメージとしたのです。「価格が安く、性能もよく、RedMiと変わらぬおトクな製品。しかも、パッケージもオシャレ」。Honorはすぐにヒット商品となったのでした。

 2014年になると、Honorシリーズのラインアップの拡大とAscendシリーズの整理・統合が始まります。

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