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週替わりギークス 第3回

人をラジコンにする、落合陽一最新の魔法(研究)がヤバい

2016年08月23日 17時00分更新

文● 落合陽一

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この連載は江渡浩一郎、落合陽一、きゅんくん、坂巻匡彦が週替わりでそれぞれの領域について語っていく。今回は落合陽一が自身の最新研究を発表する。

落合陽一

Photo by 神藤 剛

 メディアアーティスト、筑波大助教。2015年に、米the WTNが世界最先端の研究者を選ぶ「ワールド・テクノロジー・アワード」(ITハードウェア部門)において、日本からただひとり、最も優秀な研究者として選ばれた。著書に『魔法の世紀』、『これからの世界をつくる仲間たちへ』。
http://qreators.jp/qreator/ochiaiyoichi

 こんにちは落合です。この連載は落合がユビキタスコンピューティングの先に考えるデジタルネイチャーの世界に向けて日々研究していることや、その過程であったことなどをおしらせしていく連載にしようと考えています。

 7月のデジタルネイチャー研究室(筑波大学で主宰している研究室)でのメインイベントSIGGRAPHが終わりました。SIGGRAPHはACM(アメリカ計算機学会)のコンピューターグラフィクス分科会で、Computer Graphics & Interactive Techniquesの最大学会かつ祭典です。

 普段学会などに行かれない方は、3万人参加の学会と言われると驚かれるかもしれませんが、これはなかなかでかい規模です(しかも一人参加費10万円)。本研究室からは3セッション、計6個の発表があり、うちの研究グループからは15人が参加しました。

 2008~2013年はやや下火だったコンピューターグラフィクスですがVR/IoTの発達とともに以前にも増して着目されるようになり、最近ではスマホ用のカメラエフェクトから、新しいディスプレーやデジタルファブリケーションテクニックにいたるまで幅広く研究されています。

 今回はうちの研究室がSIGGRAPHで発表した研究をご紹介したいと思います。

空中に触れる光の絵を描く

 ひとつ目はTechnical Paper(技術論文)で発表したFairy Lights in Femtosecondsです。これは2015年技術展示をしましたが、今年ペーパー採択されて登壇発表させていただきました。フェムト秒レーザーによる平均的低エネルギーの瞬間的な高出力パルスによって触れるプラズマを実現する研究です。これによって触れて触覚のあるグラフィクスの生成による、生活空間での様々なアプリケーションを考案しました。

空中に「触れる」光の絵を描くFairy Lights in Femtoseconds。触ると反応するというのも特異な点

人とパペットが同期し、同じ動きをする

 ふたつ目はEmerging Technologies(技術展示)で発表したYadoriです。これはパペット操作のためのシステムです。人の体や顔の動きをパペットに送り、パペットから人に視覚情報を送ることで、人はあたかもパペットになったかのように感じながら操作をすることができます。人はやがてエンタメにおいて空間性/身体性をテクノロジーで作り変えながら演じていくことでしょう。

パペットと人が同期したかのように同じ動きをする。システムを身に着けた人はパペットになれるといっても過言ではない

人間をラジコンにする

 3つ目はEmerging Technologies(技術展示)で発表したGraphical Manipulation of Humanです。これは人間を視覚操作によってラジコンしてしまおうという研究で、デジタルネイチャーの世界における光と音による人間の制御というビジョンに即したものです。

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