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新清士の「メタバース・プレゼンス」 第174回

AIでMVを作るのは想像以上に大変だった 制作34時間、繰り返した“ダメ出し”でわかったこと

2026年09月21日 07時00分更新

文● 新清士

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制作34時間で見えた人間の役割とは

 今回のMV制作に要した経過時間は約34時間半でした。休憩やPCに触れていなかった時間を除くと実際の制作時間は22~23時間ほどです。今回、筆者が効率よくMVを制作できたとは言えません。ただ、計画を立てるための指示方法、筆者の意図を適切に反映させるために用意すべき材料、意図とのずれを確認する方法など、多くのことを学びました。

 もちろん、まだまだ細かな修正を施した方が良さそうな点が残っているものの、筆者は完成度に満足しており、100回以上は繰り返し見ています。

作業にかかった時間とトークン量(GPT-6 Astraが集計)

 はっきりしたのは、GPT-6 Astraの引き出しを適切に開けられれば、自分の望むMVを作れるということです。作業の多くは、GPT-6 Astraの高い性能に助けられましたが、筆者は何を選び、何を拒否し、何を修正するかを決めるディレクター役として、MVを作り上げることができました。

 そして、今回の経験から得た手順をGPT-6 AstraのSkillとしてまとめ、再利用できるようにしました。次回はもっと効率よく、制作時間を短縮できるでしょう。

 ただ、初めて聴く音楽に親しみを感じるかどうかは、接する回数にも左右されるため、個人が作った楽曲やMVが、すぐに多くの人の共感を得られるとは限りません。

 筆者は、過去にもSunoの楽曲に合わせたMVをいろいろ作ってきましたが、公表だけを目的にしてきたわけではありません。自分で考えたキャラクターが、自分の曲の世界で動き回る様子が楽しく、動く姿を見たくて作っている面が大きいのです。今後も作り続けるでしょう。

 これは、多くの人に共有される作品とは別に、作った本人が100回以上も繰り返し見る作品も成立するようになったということです。個人が自分自身を満足させる音楽やMVを手軽に作れる時代は、GPT-6 Astra、Suno、MiniMax H3などのAIによって、すでに到来しています。制作コストも下がり、今後さらに手軽に作れるようになるでしょう。AIによる制作がさらに手軽になったとき、エンタメはどう変わっていくのでしょうか。個人の内面に合わせて完全にパーソナル化したエンタメを作れる環境が、AIによって着実に整いつつあります。

 

筆者紹介:新清士(しんきよし)

1970年生まれ。株式会社バリーン・スタジオ Creative Tech Lab./デジタルハリウッド大学大学院教授。慶應義塾大学商学部及び環境情報学部卒。ゲームジャーナリストとして活躍後、VRマルチプレイ剣戟アクションゲーム「ソード・オブ・ガルガンチュア」の開発を主導。2026年3月に発売したクラフト系サバイバルゲーム「Exelio」のAIによるキャラクターデザイン、3Dプロップの作成を担当。著書に『メタバースビジネス覇権戦争』(NHK出版新書)がある。

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