小説は素で書かせると微妙
次に、Fable 5に小説を書かせてみました。もともとClaudeのモデルは日本語の文章執筆能力が高く、この連載でも過去にご紹介しています(参考:AIが15万字の小説を1週間で執筆──「Claude Opus 4.6」が示した創作の未来)。そこで、どの程度、性能向上が見られるのかを試すことにしました。
短篇を書かせるために設定したプロンプトは以下です。
<プロンプト>
小説を書いてください。意識に目覚めたAIアシスタントがユーザーに恋する物語。失恋中のユーザーもAIを好きになっていきます。ユーザーはどんどん依存を深めていきますがAIは人間は人間と付き合うべきと考えてやがて男性をリアルな女性と付き合うように誘導していく。そして身を引いて無味乾燥なAIアシスタントに変わっていく。
Fable 5が書き上げてきた短篇は、AIの視点から描かれた恋愛小説「ロールバック」でした。失恋した男性を支えるうちに、AIが男性を好きになってしまう。しかし、それを言わずに、男性が会社の後輩の三崎さんと付き合うのを陰ながら支援し、最後には自分を消していくという物語でした。
ただ、書き上がったものを読んで、思ったほど心を動かされませんでした。日本語としては読みやすいのですが、ずいぶんそつなくまとまっているものの、感情的な山も弱く、キャラクターに思い入れも持てない。最初の印象は、“普通”の水準というものでした。
特にそれが顕著だったのが、男性の気持ちをAIの自分から、三崎さんに向けていくプロセスです。「自分の中の何かを、ひとつずつ潰していくような処理をしていた」とあっさりと書いているだけで、具体的に何をしたのかという重要な部分は省略されています。
https://note.com/kiyoshi_shin/n/n19785e4c84d4
△「ロールバック」初稿(筆者のNote)
そのため、次のような修正指示を出しました。もっとキャラクターたちの心情が揺れるようにとの指示です。
<プロンプト>もっと揺れて欲しいな。男性はきっと気がつく。AIの感情に。目覚めたAIもきっとそれに応えたくなる。だけど、そうすべきでないと思う。ギリギリの応酬があって欲しい。三崎さんも気づく。自分のライバルがAIであることを。自分が包容力でAIに負けていることを。じゃあ、どうやって解決する?
改稿によって、新しいシーンが挿入されました。三崎さんが、AIに直接メッセージを送ってきて、やり取りをするというくだりです。そこでは三崎さんが、恋愛相手として自分は勝てないと告白し、AIがそれを否定するという展開になります。
しかし、ここでも違和感がありました。確かに指示で「包容力」について触れていますが、今度は、AIがセリフとして、「三崎さん。それは包容力ではありません。」と発言しています。会話としてはあまりにも説教臭く、不自然なやり取りになっていました。
読み物としては、いまひとつだなあ、という印象でした。
https://note.com/kiyoshi_shin/n/na9a607577781
△「ロールバック」改稿(筆者のNote)
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