スクラップが元素に還る? 「超臨界流体」が変えるリサイクルの常識
9割リサイクルしても「元には戻らない」
気づけば日本の金属リサイクル率は9割を超えているらしい。自動車も家電も回収され、適切に再資源化されるようになり、かつてのようなスクラップの山は激減した。世界的にも日本はリサイクルの優等生だ。
じゃあ問題が解決したかというと、話はそう単純ではないらしい。金属は溶かして再利用されるが、不純物が混ざり、純度は下がる。用途は限定され、高性能部品や半導体向けには使えない。表面的には循環していても、品質までは循環していないのだ。
スクラップを「元素に戻す」という発想
ここに挑んでいるのが、東北大学発のスタートアップの株式会社ルーパーツだ。同社は、東北大学の朱鴻民教授が開発した技術「UPLOOP(アップループ)」を用いて、これまで難しかった金属資源の高純度リサイクルや精錬に挑んでいる。
液体でも気体でもない「超臨界流体」とは?
カギになるのが「超臨界流体」という物質状態。物質を非常に高温・高圧にしたときに現れ、液体のように溶かし、気体のように浸透する。いわば物理のチート状態だ。この性質を使うと、スクラップ中の金属を元素レベルで分離できるという。
圧力と温度が臨界点を超えると液体と気体の両方の性質を兼ね備えた、「超臨界流体」状態になる。(出典:超臨界技術センター)
ダウンサイクルからアップグレードへ
従来のリサイクルは、まとめて溶かして再利用する方式だった。だから不純物が残る。しかしUPLOOPでは、アルミニウム、銅、シリコンなどをそれぞれ分けて取り出せる。その結果、アルミニウムは99.9%以上の高純度まで引き上げられるという。これは半導体用途にも使えるレベルだ。
エネルギーも30%以下。都市鉱山は本物になるか
しかもエネルギー消費は、新たに地金を製造する場合の30%以下に抑えられるとのこと。アルミの新地金製造は電力を大量に使うことで知られるが、その工程を大幅に削減できる可能性がある。
つまりこれは、「ゴミを再利用する技術」ではない。「スクラップを元素に戻す技術」だ。もし元素単位で取り出せるなら、「都市鉱山」は比喩ではなくなる。
超臨界流体という、ちょっと中二っぽい名前の状態が、リサイクルの常識をひっくり返すかもしれない。



































