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光を当てて血管を“鳴らす”? CTでもMRIでもない「光超音波スキャナー」が登場

特集
未来を変える科学技術を追え!大学発の地味推しテック

レントゲンとCTとMRIの違いは?

 健康診断や病気の検査で使う「レントゲン」「CT」「MRI」。いつも案内されるまま受けているが、これらの仕組みはまったく違う。レントゲンは平面(2D)で、CTは立体的(3D)に撮像する。これらはX線を使って骨や臓器の“影”を撮るため、被曝がある。

 MRIは磁気を利用して体内の水分子の動きを解析するため、被曝はしないが、装置が大きく検査時間も長い。造影剤を使う場合もあり、妊婦さんには制限があるケースもある。

 そんな中、慶應大学発のスタートアップ、Luxonus株式会社が開発しているのが、光超音波イメージング装置「 LME-01」。X線も磁場も使わず、光を当てるだけで血管やリンパの流れまで見えるという、新しいスキャン技術だ。

光超音波イメージング装置「 LME-01」

光で照らして、音で見る

 仕組みはちょっと不思議。血液中のヘモグロビンが光を吸収すると、一瞬だけ膨張して超音波を出す。その微弱な音波を超音波センサーでキャッチして画像化することで、血管やリンパ、脂肪などを立体的に可視化する。つまり、光で音を出し、それを描くのだ。放射線も造影剤も不要で、体への負担はほぼゼロ。

MRIより小さく、安く、妊婦にもやさしい

 しかもこの装置、MRIよりコンパクトで安価に設計できるため、将来的には診療所レベルでも導入できる可能性がある。かかりつけ医制度の影響で、小さなクリニックで診察を受けても、検査は大病院まで行かなければならないことがあったが、こうした機器が普及すれば、より身近な場所で詳しい検査ができるようになりそうだ。

 最後におさらい。レントゲンはX線、MRIは磁気で「見る」。次の光超音波は血流やリンパの「動き」を描く被曝ゼロの人体スキャンだ。光で見る医療の時代がもうすぐやってくる。

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