次のハロウィンは光るタトゥー? 東大が開発する「貼るだけデバイス」
次に来るのは光る「電子タトゥー」だ
ハロウィンの季節がやってきた。衣装にLEDを仕込んでピカピカ光らせたり、タトゥーシールを貼ったりするのは、いまや定番の楽しみ方だ。かつてはギークの象徴だった電子工作も、怖い人の代名詞だったタトゥーも、いまでは100円ショップで材料がそろい、子どもからお年寄りまで楽しめるカルチャーに変わった。そして次に来るのはピカピカ光る「電子タトゥー」なんじゃないか、と密かに思っている。
羽毛より軽い「第二の皮膚」
東京大学・染谷隆夫教授の研究室が開発しているのは、厚さわずか約2マイクロメートルの有機半導体デバイスだ。髪の毛の100分の1以下の薄さで、重さは羽毛より軽い。柔らかいフィルム状なので肌にぴったりと貼りつき、曲げても折っても壊れにくい。まさに「第二の皮膚」と呼べるものだ。
この技術は「生体調和エレクトロニクス(N-Tech)」と呼ばれ、従来の電子機器のように硬い基板に載せるのではなく、人体に違和感なく寄り添うことを目指している。通気性も高く、長時間貼りっぱなしでも蒸れにくいのが特徴だ。
研究室から社会実装へ
こうした超薄型デバイスは、医療や福祉の現場での活用が期待されている。心拍や体温、筋肉の動きをリアルタイムにモニタリングできれば、在宅医療や介護での負担軽減につながる。スポーツ分野でも、アスリートの体調を「貼るだけ」で管理できる次世代のウェアラブルとして注目されている。
そして染谷研究室からはスタートアップも誕生している。サイントル株式会社は、ニチバン株式会社と共同で、COPD(慢性閉塞性肺疾患:喫煙などが原因で呼吸機能が低下する病気)の早期発見を目指す貼付型ウェアラブルデバイスを開発。胸に貼るだけで呼吸運動を可視化できる仕組みで、医療機関や自治体での活用が期待されている。
ちなみに、以前この連載でも紹介した株式会社Xenomaは、伸縮性のある導電素材を使った「スマートアパレル」を展開。衣服に組み込まれたセンサーで心拍や体の動きを計測でき、医療やスポーツの現場ですでに利用が始まっている。
コスプレが普及のきっかけになるかも?
研究はさらに進み、肌に直接貼れる有機ELディスプレイの試作も行われている。例えば、手の甲に小さなパネルを貼り付けて、脈拍や体温をその場で表示する未来も現実に近づきつつある。
もちろん、研究者たちが目指しているのは医療や福祉の未来だ。だが、技術が普及するきっかけは、ときに「遊び」から生まれる。かつてはオタクの象徴だった光るガジェットも、クラブやフェスのカルチャーで当たり前になり、ファッションの世界へと広がっていった。同じように、超薄型デバイスも仮装やコスプレから火がついて、カジュアルに浸透していくかもしれない。








































