においで?金イオンで? 免疫検査の進化がとまらない
人間ドックでぐったり。もっと簡便にできないものなの?
人間ドックで丸一日拘束されて、結果なんともなかったとき、正直、「よかった」よりも、時間と体力を持っていかれた“損した感”のほうが強い。そんな貧乏性な自分には、検査ってどうしても気が重いイベントだ。
ちょっとおなかの調子が悪い、咳が止まらない、なんとなく頭が重い。そう感じても、病院に行くのはおっくうだし、検査となるとハードルがさらに上がる。予約して、採血して、待たされて……結果が出る頃にはもう治ってたりして。そんな「検査のめんどくささ」をなんとかしよう、という技術がじわじわと進化している。そのひとつが「免疫センサー」だ。
体の中の今を見せてくれる「免疫センサー」
要は、コロナのときにやったPCR検査や抗原検査のように、体の中にウイルスや病気のサインがあるかを調べる技術の進化版。体内で起きている免疫反応(抗原と抗体の反応)を読み取り、感染症やアレルギー、炎症の有無を簡単に“見える化”できる仕組みだ。
バイオ? におい? 色? 多彩な免疫センサーたち
免疫センサーにもいろいろなタイプがある。例えば「バイオセンサー」は、血液や唾液に含まれる成分を検出して、その変化を電気信号や光としてとらえる仕組み。ウェアラブル端末に組み込まれ、リアルタイムに健康をモニタリングする研究も進んでいる。「ガスセンサー」は、呼気に含まれる成分を分析することで、体の異常を探る技術。いわば、においで病気をかぎ分ける“人工の鼻”のようなものだ。
そしてもうひとつ、金ナノ粒子を使った免疫センサーという方法もある。金ナノ粒子は、特定の分子と反応すると色が変わるという性質があり、変化を目で見て確認できる。簡易検査キットなどに活用されることが多く、構造がシンプルでコストも抑えられるため、現場や家庭での“その場チェック”に向いている。
大阪大学発「GLEIAセンサ」が実用化されていた
こうした技術の実用化を進めているのが、大阪大学発のスタートアップ、株式会社イムノセンスだ。同社はすでに、使い捨てセンサーの「GLEIAセンサ」と専用の小型測定器を製品化しており、医療や検査現場向けに提供を始めている。ほんの少しの血液から数分で体の異常を検出でき、感染症やアレルギー、自己免疫疾患の早期発見などに活用が期待されている。
「なんか調子悪いな」と思ったとき、自分でサッと体の状態を確かめられる。そんな“気軽な検査”が当たり前になる日も、そう遠くないのかもしれない。



































