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あのクルマに乗りたい! 話題のクルマ試乗レポ 第529回

ヤリス! AURA! FIT! 新時代国産ホットハッチ3台を乗り比べてわかったメーカー思想の違い

2025年06月08日 15時00分更新

文● 栗原祥光(@yosh_kurihara) 編集●ASCII

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【FIT e:HEV RS】普段乗りを楽しみたい方に向けた1台

Honda/FIT e:HEV RS。価格=254万1000円

 最後にHondaのコンパクトカー、FIT e:HEV RSを紹介します。価格は254万1000円と、ベーシックなFIT e:HEV HOMEの約20万円アップに留めています。今回取り上げる車両の中で最も安価で、純正ナビなどのオプションを取り付けても300万円を超えることはないでしょう。

 ボディーサイズは全長4080×全幅1695×全高1540mmで、ホイールベースは2530mm。3車種で最も全高がありますが、高さ制限(1.55m)以下の立体駐車場に入ります。全幅は1700mmを切った5ナンバーサイズで、一般的な車線幅でアウトインアウトができるサイズです。

 パワートレインは1.5L 直4の自然吸気エンジンに、モーターを組合せたハイブリッド。エンジンの最高出力は106PS、モーターの最高出力は123PS。足して231PS……にはならず、どちらかが駆動する方式を採ります。

 現行型FITは2本スポークのステアリングですが、RSは3本スポークへと変更。パドルシフトはCVTの疑似MT用ではなく、回生ブレーキ量の変更スイッチです。ダッシュボードは低く、3車種の中で最も低い位置、逆に言えばフロントの視界が広い印象を受けます。

 シートはウルトラスエードとプライムスムースの組み合わせ。背もたれの厚さが印象的で、ここまで肉厚なシートはコンパクトカーでは珍しいのでは?

 後席はHonda自慢のチルトアップに対応。足元も広く、荷物も人もシッカリ積載できます。スマホ充電に便利なUSBポートは1つのみ。これはAURA NISMOも同様です。ちなみにGRヤリスには用意されていません。

 荷室は3車種の中で最も広い印象。なにより後席を倒すとフルフラットになるのは美質です。

 ポルシェなら「レーンシュポルト」、ルノーなら「ルノー・スポール」、英語圏なら「レーシングスポーツ」と、ガチなスポーツグレードに付けられがちなRSという名前。ですが、Hondaの場合はガチなスポーツグレードには「TYPE R」が与えられ、RSは「ロードセーリング」という意味で、まるでハンドリングを楽しむクルマにつけられるのだそう。

 確かに前出の2台に比べると、FIT e:HEV RSは血沸き肉躍るようなクルマではありません。ですがキビキビした走りは確かに楽しく、引き締まった足回りは、結果的にFITの他グレードよりも上質な乗り味を実現しています。誰でもハンドリングが楽しめ、そして同乗者にも負担を与えないというのがRSの目指すところなのでしょう。

 さらに日常的な使い勝手の良さと、このクルマは実によくできていると感心しきり。でもやはり、血が湧きあがるホットハッチに仕立ててほしいという欲があるのも事実。昔の話を出すのは老害とわかりつつも、初期の「シビック TYPE R」であったり、「シティ・ブルドッグ」のようなクルマが出るといいのにと願ってしまうのは、ないものねだりですね。

【まとめ】速さのトヨタ、快適さのHonda、中庸の日産

 こうして3台を比べると、走行性能に全振りするトヨタに対し、日常を忘れずドライバーに寄り添うHondaという印象。日産はちょうど中間の絶妙なバランスとポジションといえるでしょうか。それが各社らしいように思えます。

 というのも、トヨタや日産はクルマが主役の耐久レースに力を入れるのに対し、Hondaはフォーミュラなどのドライバー中心のレースに多く出場するから。

 今回紹介したクルマに共通するのは、いわゆる後期型。つまり完成度が高まっています。よって、どれを選んでも満足度は高いといえます。あとはクルマをどのように使い、どのように運転したいのかというところで選ぶべきであると感じました。

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