DOOM: The Dark AgesのフルHD・最高画質設定で平均200fps超え
GeForce RTX 5060をプレビュー、VRAM 8GBでも安ければ許される?
2025年05月17日 22時00分更新
RTX 5060 Tiや歴代のxx60番台GeForceと対決
今回の検証環境は以下の通りだ。RTX 5060 Ti 8GBレビュー時の環境を継承しているが、同世代の比較用にはRTX 5060 TiのVRAM 16GB版と8GB版を用意。また、歴代のxx60番台GeForceとの比較用には、RTX 4060とRTX 3060のVRAM 12GB版、RTX 2060を準備したという塩梅だ。
なお、RTX 5060 Ti搭載ビデオカードはVRAM 16GB版がリファレンス仕様、8GB版がファクトリーOCモデルとなる。そのため、VRAM使用量が8GBで収まる範囲であれば、8GB版の性能が高くなるという点に注意してほしい。
また、RTX 3060は2021年2月に発売したVRAM 12GB版のほか、2022年6月に流通が始まったVRAM 8GB版の2種類があるが、本稿で扱うRTX 3060はすべて前者である。グラフでは「RTX 3060 12GB」と表記している。
GPUドライバーはRTX 5060のみGameReady 576.46、それ以外のGPUについてはGameReady 576.40を使用している。Resiazble BARやSecure Boot、メモリー整合性およびカーネルモードのハードウェア適用スタック保護、HDRなどはひと通り有効化。ディスプレーのリフレッシュレートは144Hzに設定した。
検証環境 | |
---|---|
CPU | AMD「Ryzen 7 9800X3D」(8コア/16スレッド、最大5.2GHz) |
CPU クーラー |
EKWB「EK-Nucleus AIO CR360 Lux D-RGB」 (簡易水冷、360mmラジエーター) |
マザー ボード |
ASRock「X870E Taichi」(AMD X870E、BIOS 3.20) |
メモリー | Crucial「Crucial Pro CP2K16G56C46U5」(16GB×2、DDR5-5600で運用) |
ビデオ カード |
Palit「GeForce RTX 5060 Ti Infinity 3 16GB」(16GB GDDR7)、 ZOTAC「ZOTAC Gaming GeForce RTX 5060 Ti 8GB Twin Edge OC」(8GB GDDR7)、 ASUS「DUAL-RTX5060-O8G」(8GB GDDR7)、 MSI「GeForce RTX 4060 VENTUS 2X BLACK 8GB OC」(8GB GDDR6)、 ZOTAC「ZOTAC Gaming GeForce RTX 3060 Twin Edge OC」(12GB GDDR6)、 NVIDIA「GeForce RTX 2060 Founders Edition」(6GB GDDR6) |
ストレージ | Crucial「T700 CT2000T700SSD3」(2TB M.2 SSD、PCIe 5.0)、 Silicon Power「PCIe Gen 4x4 US75 SP04KGBP44US7505」(4TB M.2 SSD、PCIe 4.0) |
電源 ユニット |
ASRock「TC-1300T」(1300W、80 PLUS TITANIUM) |
OS | Microsoft「Windows 11 Pro」(24H2) |
旧世代60番台を素の性能でも引き離しにかかる
ここから先は実際のゲームの検証データとなるが、フレームレートの計測条件については箇条書きでまとめておこう。今回はプレビューであるため、詳細は後日のフルレビュー記事で解説する。
・CPU→GPU間のリンク速度はPCI Express Gen 5
・フレームレートの計測は「CapFrameX」を用いる
・フレームタイムの計算は「MsBetweenDisplayChange」基準とする
・DLSSやFSR 3は「クオリティー」、DLSS MFGを使用する際は「3x」設定とする
・DLSS FGに対応しない場合はFSR 3 FGを用いる
また、本稿はプレビューのため、解像度はフルHDの1本のみとする。後日公開のフルレビューでは通常通り、フルHD、WQHD、4Kの3パターンのデータをご覧いただくことになるだろう。
「Marvel Rivals」
画質は「最高」に設定。訓練場にて一定のコースを移動した際のフレームレートを計測した。Marvel Rivalsではアップスケーラーとフレーム生成で異なる技術を選択できるため、RTX 3060 12GBやRTX 2060ではアップスケーラーはDLSS、フレーム生成はFSR 3 FGとしている。また、DLSSの学習モデルはNVIDIA App経由でTransformerモデルとした。
RTX 50シリーズに関しては、DLSS MFG 3x時のフレームレートに注目したいが、従来のDLSS FG(MFG 2x)の数値も併記した。RTX 4060基準だとRTX 5060はDLSS FGのみを使った場合は、平均フレームレートで15%程度の伸びにとどまる。しかし、DLSS MFG 3xを利用すると、RTX 5060はRTX 4060の約1.6倍になった。
RTX 4060でもFSR 3 FGを利用すれば、144Hzディスプレーで良い感じの映像が得られるが、RTX 5060ならば240Hzディスプレーにふさわしいパワーが得られるだろう。ちなみに、RTX 5060のDLSS MFG 3x設定は、RTX 3060 12GBの約2倍、RTX 2060なら2.6倍と差はさらに拡大する。
「Cyberpunk 2077」
画質は最も重い「レイトレーシング:オーバードライブ」に設定。RTX 4060より上のGPUでは、DLSSにTransformerモデルを適用している。なお、Cyberpunk 2077ではDLSSとFSR 3 FGの併用はできないため、RTX 3060 12GB以下のGPUではFSR 3を使用している。ゲーム内蔵ベンチマーク再生中のフレームレートを計測した。
VRAM使用量はフルHD時で約9GB(RTX 5060 Ti 16GB環境におけるCapFrameX読み)と、RTX 5060にはちょっと厳しい設定だ。しかし、それでもDLSS MFG 3xを利用すれば平均120fps程度までいけた。これはRTX 4060のほぼ2倍、RTX 2060と比べれば6倍近いパフォーマンスとなる。
DLSS FGの登場でパストレーシングを実用的な性能で動かせるようになったが、DLSS MFGへ進化することでさらに格上のゲーム体験が可能になったというわけだ。RTX 50シリーズの真骨頂であるDLSS MFGの威力はRTX 5060でも健在と言える。
「DOOM: The Dark Ages」
2025年5月15日より配信が始まったDOOM: The Dark Agesもテストしてみたい。画質は最も重い「ウルトラナイトメア」に設定。ここでもDLSS MFGの倍率は「3x」設定とした。キャンペーン最初のステージにおける一定のコースを移動した際のフレームレートを計測した。
フルHDであればVRAM使用量は7.5GB程度に収まる。そのため、RTX 5060でも最高画質設定でハイペースなガン&ランバトルが堪能できるだろう。DLSS MFGの効果が絶大な点は言うまでもないが、RTX 2060やRTX 2060 Ti あたりから乗り換えれば、世界が変わったようなプレイ環境になるだろう。
現状のDOOM: The Dark Agesはまだグラフィックに未実装の機能(パストレーシング)があると、リリースノートに記載されている。どの程度の重さになるかは不明だが、もしパストレーシングが実装されたらRTX 50シリーズが欲しくなることは間違いない。ただし、「Indiana Jones and the Great Circle」並みの激重グラフィックにならないことを祈るばかりだ。
これはレビューではない……プレビューだ……
筆者が持っているRTX 5060のパフォーマンスデータのうち、今回公開が許可されたのはここまでだ。解像度フルHDかつDLSS MFGが効くゲームしか出していないため、本稿は「RTX 5060のおいしい部分」だけを抽出したもの、と言えるだろう。ただし、本稿はプレビューであり、近日中に“真の”レビュー記事も公開する予定だ。そこはもう少々お待ちいただきたい。
もちろん、すでにRTX 5060 TiのレビューでVRAM 8GBでは足りないという結論を出している以上、改めてRTX 5060を評価する必要はあるのかと考える人もいるだろう。しかし、それはあくまでRTX 5060 TiにおけるVRAM容量違いの価格差が1万円(レビュー時はVRAM 8GB版が7万円でVRAM 16GB版が8万円だった)の話。
RTX 5060が5万円台で発売するなら、当然事情は変わってくる。負荷の高い濃厚な描き込みのゲームもDLSS MFGを効かせることで100fps超え、あるいは200fps超えの性能が得られて5万円台ならば十分理はある。
また、RTX 5060はRTX 4060と同様、長いスパンで熟成・評価される製品になるだろう。初出価格も大事だが、最新グラフィックス技術(ニューラルレンダリング)やDisplayPort 2.1bのように将来的なディスプレー選びを左右してくる要素もある。長期的な視野に立てば、追試はいくらしてもいいのだ。

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