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GeForce RTX 50シリーズまとめ 第29回

VRAMは16GBにしておけ

GeForce RTX 5060 Ti 8GBは今のPCゲーム環境では“理”のある選択ではない

2025年05月06日 10時00分更新

文● 加藤勝明(KTU) 編集●ジサトライッペイ/ASCII

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GeForce RTX 5060 Ti 8GBは今のPCゲーム環境では“理”のある選択ではない

レビュー用に調達したZOTAC製のビデオカード「ZOTAC Gaming GeForce RTX 5060 Ti 8GB Twin Edge OC」

 「GeForce RTX 5060 Ti」(以降、RTX 5060 Tiと略)には、VRAM 16GB版と8GB版がある。前者は実売価格が8万5000円〜10万5000円前後、後者は7万5000円〜9万円前後と、その差はかなり近しい。

注:本稿ではRTX 5060 Tiの16GB版を「RTX 5060 Ti 16GB」、8GB版を「RTX 5060 Ti 8GB」と表記する。また、単に「RTX 5060 Ti」とした場合は8GB版と16GB版の両方を含む。

 いきなり結論を書いてしまうが、ここまで価格帯が近いのにVRAMの容量が倍違うとなれば、RTX 5060 Ti 8GBという選択に“理”はまったくない。最近のPCゲームはメモリー帯域(GPUの話なのでメモリー帯域はGPUとVRAM間の帯域である)が太いことに加え、それなりの容量も必要となる。イマドキのPCゲームは8GBでは不足しやすく、最低でも12GB以上は欲しい。

 RTX 5060 Tiでは、VRAM 8GB版でも16GB版でも基本スペック(SM数、動作クロック、メモリーバス幅など)は変わらない。そのため、RTX 5060 Ti 8GBでもメモリー帯域は448GB/secと非常に太い。同じVRAM 8GBの前世代モデルであるRTX 4060 Ti 8GBが288GB/secであることを考えると、帯域の面は十分である。しかし、今の時代VRAM 8GBはなんとも心細い。

 今回はRTX 5060 Ti 8GBを“画質やや抑えめ”と“最高画質”で検証することにした。RTX 5060 Ti 16GBレビューの結論でも述べたが、誰しもPCゲームを最高画質設定で遊ぶわけではない。RTX 5060 Ti 8GBもVRAM使用量を抑えた設定であれば輝くのではないか? という視点も必要だろう。

 とはいえ、イマドキのPCゲームで限界を攻めた時にVRAM 8GBという仕様がどう影響するのか。この視点も非常に気になるところ。ポリシーの異なる2つの画質設定で、RTX 5060 Ti 8GBの“理”を探ってみた。

GeForce RTX 5060 Ti 8GBは今のPCゲーム環境では“理”のある選択ではない

カード裏面。もともと全長220mmと短い設計だが、基板は3分の2程度となる

GeForce RTX 5060 Ti 8GBは今のPCゲーム環境では“理”のある選択ではない

補助電源コネクターは8ピン×1構成である

RTX 5060 Ti 16GB対8GBで対決

 今回の検証環境もRTX 5060 Ti 16GBレビュー時とほぼ同じだが、比較用のGPUを変更した。RTX 5060 Ti 8GBはZOTAC製のカードを入手したが、これは型番にある通りファクトリーオーバークロック(以下、OC)モデルである。つまり、VRAMの容量が問題にならない状況では、クロック設定がわずかに高いRTX 5060 Ti 8GBのほうが性能が出るはずだ。

 そして、GPUドライバーはHotfixドライバーであるGameReady 576.15を使用している。Resiazble BARやSecure Boot、メモリー整合性、カーネルモードのハードウェア適用スタック保護、HDRなどはひと通り有効化。ディスプレーのリフレッシュレートは144Hzに設定した。

検証環境
CPU AMD「Ryzen 7 9800X3D」 (8コア/16スレッド、最大5.2GHz)
CPU
クーラー
EKWB「EK-Nucleus AIO CR360 Lux D-RGB」
(簡易水冷、360mmラジエーター)
マザー
ボード
ASRock「X870E Taichi」(AMD X870E、BIOS 3.20)
メモリー Crucial「Crucial Pro CP2K16G64C38U5B」(16GB×2、DDR5-5600で運用)
ビデオ
カード
Palit「GeForce RTX 5060 Ti Infinity 3 16GB」(16GB GDDR7)、
ZOTAC「ZOTAC Gaming GeForce RTX 5060 Ti 8GB Twin Edge OC」(8GB GDDR7)、
NVIDIA「GeForce RTX 4060 Ti Founders Edition」(8GB GDDR6)、
NVIDIA「GeForce RTX 4060 VENTUS 2X BLACK 8GB OC」(8GB GDDR6)
ストレージ Crucial「T700 CT2000T700SSD3」(2TB M.2 SSD、PCIe 5.0)、
Silicon Power「PCIe Gen 4x4 US75 SP04KGBP44US7505」(4TB M.2 SSD、PCIe 4.0)
電源
ユニット
ASRock「TC-1300T」(1300W、80 PLUS TITANIUM)
OS Microsoft「Windows 11 Pro」(24H2)

 筆者のGPU検証におけるフレームレートの測定条件についてもまとめておく。PCI Expressのリンク速度はビデオカード単体の消費電力を正確に計測するためで、フレームタイムの基準はフレームペーシングの効果を正しく評価するためである。

1)PCI Expressのリンク速度はGen 4に固定
2)「CapFrameX」でフレームレートを計測
3)フレームタイムは「MsBetweenDisplayChange」基準とする

GeForce RTX 5060 Ti 8GBは今のPCゲーム環境では“理”のある選択ではない

GPUの情報:「GPU-Z」でZOTAC製RTX 5060 Ti 8GB搭載カードの情報をチェックしたところ。ファクトリーOCモデルのため、ブーストクロックが2602MHzに引き上げられている。ただし、ベースクロックはリファレンス準拠の2407MHzである

GeForce RTX 5060 Ti 8GBは今のPCゲーム環境では“理”のある選択ではない

GPUの情報:こちらは Palit製RTX 5060 Ti 16GB搭載カードの情報。当たり前だが、こちらのVRAM搭載量は16GBとRTX 5060 Ti 8GBの2倍だ。なお、リファレンス仕様なのでブーストクロックが2572MHzになっている

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