連載:今週の「ざっくり知っておきたいIT業界データ」 第164回
IT市場トレンドやユーザー動向を「3行まとめ」で理解する 12月14日~12月20日
「パスキー」使ってますか/産業別“稼ぐ力”日本の国際順位は/ビジネスチャット市場は寡占化へ、ほか
2024年12月23日 08時00分更新
本連載「ざっくり知っておきたいIT業界データ」では、過去1週間に調査会社などから発表されたIT市場予測やユーザー動向などのデータを、それぞれ3行にまとめてお伝えします。
2024年最後となる今回(2024年12月14日~12月20日)は、本人認証技術「パスキー」の普及率と認知度、業種別の労働生産性水準の国際比較データ、国内ビジネスコンサル市場、国内ビジネスチャット市場についてのデータを紹介します。
[セキュリティ] 「パスキー」対応サービスは1年で2倍に、日本の認知度は6割超え(FIDOアライアンス、12月12日)
・「パスキー」認証を導入するサービスは前年比で倍増
・日本のパスキー認知度は62%、全世界でも認知度は半数超え(57%)
・約6割の消費者が「パスキーはパスワードよりも安全で便利」と認識
ID/パスワードに代わる新しい本人認証方式として「パスキー」の導入が進んでいる。オンライン認証技術の標準化団体であるFIDOアライアンスによると、世界ではGoogleの8億アカウントがパスキーを利用しているほか、Amazonでも全ユーザーにパスキー機能を提供し、1億7500万人が登録したという。Googleでは、パスキーによってサインイン成功率が30%向上、サインイン速度も平均20%向上した。日本でもKDDI、NTTドコモ、LINEヤフー、メルカリなどがすでに採用し、利用者は拡大しているという。
⇒ パスキーが利用できるコンシューマー向けサービスでは、平均してユーザーの4人に1人がパスキーを有効にしているという。大量のパスワードを管理しなければならない“パスワード地獄”から逃れたいユーザーは多く、普及はさらに加速するはずだ。
[生産性] 米国との格差が広がる日本の労働生産性、サービス業は半分未満(日本生産性本部、12月16日)
・日本の主要産業では「化学」だけが米国の労働生産性を上回る
・日本のサービス産業の労働生産性水準は、米国の半分未満(49.6%)
・日本のサービス産業の労働生産性順位は、日米欧21カ国中で15位
21カ国の産業別労働生産性水準(就業1時間当たりの付加価値額)を、直近年(2020年)の各国データで比較した調査より。日本と米国のデータを比較すると、化学(対米比127.6%)を除いて、卸売/小売業(同 37.9%)、宿泊/飲食サービス業(同 30.2%)、情報通信業(同 20.0%)と米国を大きく下回る水準に。
⇒ 先日、スペインのホテル(4つ星)に宿泊して「スタッフの働き方が非効率だ」と感じたのだが、宿泊・飲食サービス業の順位を見ると日本は14位、スペインは8位で、1.6倍ほどの格差があった。「稼ぐ力」の格差。
[コンサルティング] 2024年の国内ビジネスコンサル市場は引き続き2桁成長を予想(IDC Japan、12月16日)
・国内ビジネスコンサルティング市場が好調、2023年、2024年と2桁成長を維持
・すべてのサービスセグメント、産業分野で2桁成長
・成長の背景は大企業顧客のDX推進、新規ビジネスの取り組みなど
国内ビジネスコンサルティング市場(支出額ベース)は、2023年が前年比12.6%増、2024年が同10.6%増と2桁成長を維持する見込み。2023~2028年の年平均成長率(CAGR)も10.1%を見込む。DX/デジタルビジネス化を目指す大企業顧客が、ビジネスプロセス/オペレーションのモダナイズ、新規ビジネスやイノベーションに取り組むことが背景にある。2024年以降もこの流れは続き、特にAIユースケースが牽引役になると見る。
⇒ 好調の一方で、「デリバリー人材の不足」「案件の大型化や実装支援との融合が進む中での『後続フェーズでの問題発生』」といった課題も指摘されている。
[チャット] 国内ビジネスチャット市場、年率20%成長の一方でこれから寡占化が進む(アイ・ティ・アール、12月17日)
・ビジネスチャット市場は2023年度、2023年度とも20%近い成長率
・2023年度は上位3社が2桁増で成長を牽引、寡占化がさらに進む予想
・2028年度には500億円超の市場規模となる見込み
国内のビジネスチャット市場は、2023年は前年度比17.8%増、2024年は同19.7%増と高い成長。テキストコミュニケーションだけでなく、他サービスとの連携によるプラットフォーム化、コラボレーション機能などの高機能化で付加価値が高まり、2023~2028年の年平均成長率は14.2%と、今後も引き続き高い成長が予想されている。また、上位ベンダーの高い伸びが市場全体を牽引しており、寡占化が進むことも予想している。
⇒ 日本でもビジネスチャットの利用はすっかり定着したように見える。登場当初は“メールコミュニケーションの欠点を解消するツール”と期待されたが、実際にメールの件数は減ったのだろうか。そこは気になるところ。
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