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ユニバーサル検索ツール「Dropbox Dash for Business」で解決する課題、そして市場での「勝算」

20%の人員削減を経て、Dropbox CEOが新たに狙う“10億人の巨大市場”とは

文●大塚昭彦/TECH.ASCII.jp

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 「Dropboxは現在、全世界で50万以上のチーム(顧客企業)、1800万人以上のサブスクライバー(有料プラン契約者)を抱えている。しかし、世界にいるナレッジワーカー(知識労働者)は10億人規模だ。われわれはこの巨大な市場を“unlock(開放)”したい」――。Dropboxの共同創業者であり、CEOを務めるドリュー・ハウストン氏はこう語る。

Dropbox 共同創業者兼CEOのドリュー・ハウストン(Drew Houston)氏

 今年(2024年)10月、Dropboxはハウストン氏名義のブログ投稿で、同社従業員の約20%にあたる528名の人員削減を発表した。主な理由は、「ファイル同期/共有サービス(FSS)」市場の成熟に伴ってこれまでの主力ビジネスが成長鈍化していること、そして、企業としての組織構造や管理階層が複雑になりすぎて業務停滞などの影響が出ていたことだと説明されている。

 ただし、それと同時に、この決定は「移行期」にあるDropboxが「次の成長段階の構築」に注力していくためのものであることも強調されている。その「移行」の先で狙うのが、ハウストン氏が語る“10億人のナレッジワーカー市場”であり、次なる成長の鍵を握るプロダクトが、10月に米国で提供を開始した「Dropbox Dash for Business」(以下、Dashと略)だという。

 なぜDashがそれほど大きなインパクトを持つのか、さまざまな生成AIアシスタントツールが登場する中で独自の強みはどこにあるのか、そしてDropboxがビジネスユーザーに提供する「価値」はどう進化していくのか。11月に来日したハウストン氏にその考えを聞いた。

Dropbox Dash for Businessが持つ「3つの特徴」

 Dashは、多数のクラウドサービスにあるドキュメントファイルやデータベースの情報を、一括で検索できるユニバーサル検索ツールである。2023年6月にベータ版がリリースされ、その後、企業/ビジネスユーザー向けの機能強化を経て“Dash for Business”の提供が始まった。

「Dropbox Dash for Business」の画面イメージ

 Dashの特徴は大きく3つある。

 特徴の1つめは「Dropbox以外の幅広いクラウドサービスと連携して、情報検索ができる」点だ。Dropboxに保存されたドキュメントファイルはもちろん、Microsoft 365やGoogle Workspaceのメールやカレンダー、スプレッドシート、Slackのメッセージ、NotionやAsanaのページ、SalesforceやHubSpotのレコードなどを一括検索できる。さらには、Dropboxの競合サービスであるGoogle DriveやMicrosoft OneDriveといったクラウドストレージすら、連携の対象に含まれる。

 2つめの特徴が「生成AI技術を組み込んでおり、自然な言葉で質問回答や情報要約をしてくれる」ことである。つまり、キーワード検索でヒットしたドキュメントやメッセージをひとつずつ開いて確認しなくとも、生成AIが代わりに情報を調べて回答や要約をしてくれる。

ハウストン氏がDashアプリを操作してデモを見せてくれた。「Japan Visit」で検索すると、この言葉を含むドキュメントが素早く一覧表示された

生成AIに「Dropbox Japanの設立はいつ?」と質問すると、Dropboxにあるドキュメントを参照したうえで「2014年9月」と回答した

 最後が「高度なコンテンツアクセス制御」という特徴だ。Dropboxでは10月、コンテンツガバナンスプラットフォームのNiraを買収して、Dashのコンテンツ保護機能を強化している。生成AIを使ってもユーザーごとに許可された範囲内の情報しかアクセスできないほか、管理者向けには機密情報が公開されていないかどうかをチェックするためのツールも提供している。

管理者向けの社外公開コンテンツチェックツール。Dropboxや連携アプリ(Microsoft 365やGoogle Workspace)で社外公開されているコンテンツを一覧表示する。機密情報が誤って公開設定されている場合に自動解除することもできるという

 米国以外でのDashの提供は、2025年初頭から順次スタートする。日本でも、2025年中旬までには提供開始したいとハウストン氏は述べた。

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