この記事は、内閣官房による地理空間情報を活用したビジネスアイデアコンテスト「イチBizアワード」に掲載されている記事の転載です。
空間情報技術とAI活用で
暮らしや社会基盤の問題を解決
創業70周年を迎えたアジア航測株式会社は“空間情報技術で社会をつなぎ、地球の未来を創造する”というビジョンのもと、航空機を用いた航空測量や空間情報の収集・解析を基盤とした空間情報コンサルタントを手がける企業だ。現在は空間情報技術を用いた新規事業の創出についての取り組みを進めている。
「我々のコアテクノロジーは、計測機材と様々なセンサー、プラットフォームを連携させることでさまざまな空間情報を作ることです。近年はデータ解析や可視化が重要になるなか、AIやロボットなども活用することで、インフラの点検や人口減少、防災・減災、環境問題に対して一貫したコンサルティングを行っています」と、アジア航測株式会社 取締役 新規事業創造本部長の浦川晋吾氏(DX推進アドバイザー)は語る。
主な事業領域は、空間情報技術を基盤とした国土保全や防災、社会インフラの維持管理だ。さらに、電力会社を含めた陸上・洋上風力や太陽光などのエネルギー事業や、地方自治体向けの行政情報管理や国家的なプロジェクトの共同提案なども手がけている。
また、アジア航測の特徴として航空機を自社で保有しているほか、自社での研究開発や社内ベンチャーといった取り組みを継続している点がある。
同業他社はチャーター機を利用することが多いなか、アジア航測では航空測量や空間情報の計測のほか、研究や技術検証についても自社で必要な整備や許認可を行ったうえで積極的に行える。浦川氏は「企業や大学、産学官連携のなかで研究開発やオープンイノベーションを進められる点が強み」と話す。
新組織「新規事業創造本部」の
設置背景と目指す未来
創業70周年を機に、アジア航測は新たな挑戦として「新規事業創造本部」を設立した。アジア航測は空間情報技術をコアとした、行政支援、エネルギー、流域マネジメント、森林環境、道路鉄道の5つの重点分野と、ディフェンス&セキュリティと復興支援の2分野を加えた7つの事業を展開しているが、これらに続く空間情報技術を起点とした新たな事業の開発を目指す。
浦川氏は「現在、当社は公共系事業や受託業務を主体とした7つの事業分野を安定して展開しています。この状況をもとに、中期経営計画として新規事業創造本部を立ち上げました。空間情報をもとに我々自身が事業体となる新たな事業分野の開拓や、10年先を見据えたコア技術の開発を目的としています」と語る。
現在、アジア航測が新規事業として取り組んでいるものとして、官民連携事業がある。これは自治体とともに民間企業が技術や資本面で協力し、地域社会の課題を解決する取り組みだ。現在取り組みを進めている事例としては、エネルギー事業部のノウハウをもとに自治体が再生可能エネルギーを運営し、得た利益を道路や上下水などのインフラ維持管理に活用する事業がある。
また、行政支援事業がもつ都市計画や街の活性化、インフラ整備などのノウハウを用いて、廃校など自治体が持つ施設をより有効に活用し、連携して街全体の活性化や観光に寄与する取り組みを進めている。
アジア航測は、世界で初めて航空測量から地図を作る技術の開発や、業界初となる研究所の開設や投資の継続、2016年から社内ベンチャー制度による事業開発を継続している。
釣り人に向けて海底地形図を提供する「釣りドコ」も、この取り組みから生まれたサービスだ。新規事業創造本部 ビジネス企画部 副部長の藤本雄一氏は「積極的に業界初や、新しい動きに取り組んでいく社風があります。自社で航空機による計測が可能など、新しい取り組みを始めるのには適した会社だと思います」と語る。
「イチBizアワード」で空間情報
3D都市モデルを盛り上げたい
イチBizアワードを通じて関心をもってもらいたい層として、藤本氏は「学生さんはもちろん、これから起業したい、サービスを立ち上げたい人」を挙げる。「新規事業創造本部でも、アジア航測の新卒の方は防災や環境、都市計画などを専門に学んだ人が多いのですが、新規事業創造本部の中途採用においては金融関係や自動車業界、物流など位置情報に触れる機会のある業界の方が、位置情報に関する事業にチャレンジしたいとお話を頂くことが増えています」
空間情報技術は、防災やインフラ整備、環境問題など、様々な社会課題の解決に貢献できる技術だ。アジア航測は、東日本大震災やそのほかの災害時にもいち早く被災地の航空写真を撮影し、現地の状況把握に貢献している。この取り組みから、業界に興味をもつ学生や他業種の人も増えているという。
また、アジア航測は3D都市モデルの分野についても、PLATEAUを用いたエリアマネジメントや、カーボンニュートラルに繋がるエネルギー事業の展開、街中ウォーキング、水害リスクの可視化や開発許可や河川整備など様々な分野で活用しており、今後への期待を寄せる。
「今まで2次元の空間情報で手がけていたものがPLATEAUなどで3次元になり、次は時間軸を加えた4次元の活用が進んでいくと考えています。イチBizアワードでは空間情報を社会課題に適用するアイデアを持っている人が多くおられると期待しており、この取り組みを通じて業界としてもぜひ盛り上げていきたいと思います」(藤本氏)
(提供:アジア航測株式会社)