連載:今週の「ざっくり知っておきたいIT業界データ」 第158回
IT市場トレンドやユーザー動向を「3行まとめ」で理解する 11月2日~11月8日
Google検索急増“アルムナイ”とは?、小売業界がAI投資を牽引、求職者が望む月給水準もインフレ、ほか
2024年11月11日 08時00分更新
本連載「ざっくり知っておきたいIT業界データ」では、過去1週間に調査会社などから発表されたIT市場予測やユーザー動向などのデータを、それぞれ3行にまとめてお伝えします。
今回(2024年11月2日~11月8日)は、AI/生成AIに対する今後5年間の投資予測、求職者の希望月給額の推移とインフレの関係、自社を“卒業(退職)”した人材「アルムナイ」への関心の高まり、ランサムウェア攻撃を受けた企業の実態についてのデータを紹介します。
[AI][IT予算]アジア太平洋地域のAI/生成AI投資は年平均24%成長、小売や財務サービスが牽引(IDC Japan、10月30日)
・APACのAI/生成AIシステム投資は年平均成長率24%で成長
・業界としては「小売」「財務サービス」などが牽引
・ユースケースとしては「顧客サービス」「金融の不正検出」などが高い成長率
日本・中国を含むアジア太平洋地域(APAC)のAI/生成AIシステム(ソフトウェア、サービス、ハードウェア)投資について調べた。同地域におけるAI/生成AI投資は2023~2028年まで年間平均成長率24%で成長し、2028年には1100億ドルに達すると予想。AI実装分野としては、顧客サービス(顧客エンゲージメント向上、サービスプロセスの効率化、大規模な体験のパーソナライズなど)、不正分析と調査などが挙がっている。
[キャリア]求職者が検索する月給水準、インフレを受けて3年で8%増(Indeed Japan、11月7日)
・求職者の検索月給額は平均35万5032円、3年前から8%増
・一般労働者の所定内給与平均は33万2632円、3年で6%増
・検索月給は消費者物価指数の推移と同じ動き
求職者が求人サービスのIndeed上で検索する月給額(検索月給)は、平均で35万5032円(2024年9月)となった。2021年9月は同 32万8123円であり、この間の物価上昇(インフレ)を受けて8.2%(2万6909円)上昇している。これは、厚生労働省が公表する一般労働者の所定内給与(平均)の上昇率(同期間は6.2%)を上回る。賃金への期待は、インフレ時には即時に反応しやすいとまとめている。
[キャリア]日本でも「アルムナイ」人材への注目が高まる(明治安田総合研究所、11月6日)
・自社を退職した“卒業生”人材を指す「アルムナイ」がGoogle検索で急増
・アルムナイと出身企業や元同僚の経済取引は年1兆1500億円規模
・メンバーシップ型雇用とも親和性あり、企業はアルムナイネットワーク構築を
近年、自社を退職した人材を指す「アルムナイ」が日本でも注目を集めている。優秀な人材確保に悩む企業において、退職後もアルムナイとの関係を維持することが有益だという認識が広がっており、統合報告書などでアルムナイを“社外の人的資本”とみなして情報開示する企業も増えているという。パーソル総合研究所の試算では、アルムナイ経済圏(アルムナイと出身企業/元同僚との経済的な年間取引額)は年1兆1500億円規模に及ぶという。アルムナイ活用のために、企業は入社時からアルムナイという考え方を周知し、アルムナイネットワークを運用することが求められるとしている。
[セキュリティ]ランサムウェア攻撃を経験した企業、中堅中小企業の比率が大企業を上回る(OpenText、11月8日)
・ランサムウェア攻撃経験企業のうち、73%が過去1年間で攻撃を経験
・過去1年間の攻撃経験割合は、中堅中小企業が大企業を上回る
・ソフトウェアサプライチェーンを介したランサムウェア攻撃に注意
ランサムウェア被害に関する年次調査「2024年グローバルランサムウェア調査」より。調査対象企業のうちランサムウェア攻撃を経験した企業は48%。その中で、攻撃経験がこの1年間だという中堅中小企業は73%に及び、大企業(70%)を上回った。また、ランサム攻撃を経験した企業の46%が身代金支払いに応じている。金額は「100万~500万ドル」(31%)が最多で、97%が「データの正常復旧に成功した」としている。
(左)調査対象企業の48%がランサムウェア攻撃を経験 (右)そのうち73%が「この1年間で」攻撃を経験していた(出典:OpenText)
全体の45%、ランサムウェア攻撃経験企業の69%が「攻撃者のAI活用でフィッシング攻撃が増加した」と見ている(出典:OpenText)

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