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2025年版「戦略的テクノロジのトップ・トレンド」、今年は“責任あるイノベーション”を重視

10年後の波に乗るための、いま知るべき先進テクノロジー10選 ガートナー発表

2024年10月30日 08時00分更新

文● 福澤陽介/TECH.ASCII.jp

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コンピューティングのニュー・フロンティアに関するテクノロジートレンド

各テクノロジーが市場に影響を及ぼし始める時期(見通し)

 続いては、コンピューティングやストレージ、ネットワークなど、DXを支えるテクノロジー全般における4つのトレンドだ。

 まずは「ポスト量子暗号(Postquantum Cryptography)」

 ポスト量子暗号は、“量子コンピューティングによる解読リスク”に耐えうるように設計された暗号アルゴリズムである。量子コンピューティング技術の進化に伴い、「現状使われている公開鍵暗号や非対称暗号が簡単に解読できしまう将来が近い」(池田氏)と言われているため、機密情報や社外秘情報に対する保護を強化する準備を始めなければいけないという。

 5つ目は、「環境に溶け込むインテリジェンス(Ambient Invisible Intelligence)」

 一時期うたわれた「ユビキタスコンピューティング」のように、超低コストの小型無線デバイスを使い、リアルタイムかつ大規模なタグ付けや追跡、センシング、インテリジェンスなどを実現する。池田氏は、「5年後に10セント(約15円)のセンシングデバイスが登場するのを見越して、20セントのタイミングからどう活用できるかを考え始めなければいけない」と指摘する。

 6つ目は、「エネルギー効率の高いコンピューティング(Energy-Efficient computing)」

 AI処理をはじめとして、ITにおけるエネルギー消費量が増加の一途を続ける中で、二酸化炭素排出量を削減する、エネルギー効率の高いコンピューティングの手法・手段が必須になっていく。「もちろん、エネルギーを効率的に使う方法を編み出すのもひとつだが、半導体を使ったコンピューティングばかりに頼らず、その10倍、100倍のコスト効果が期待できる新たなテクノロジーが求められる」と池田氏。

 ガートナーでは、2020年代後半から、光学やニューロモルフィック(人間の脳の働きを模した電子回路)、新型アクセラレータといった、消費エネルギーの少ないコンピューティング・テクノロジーが登場すると予想している。

 7つ目は、「ハイブリッドなコンピューティング・パラダイム(Hybrid Computing)」

 上述したエネルギー効率の高いコンピューティングを実装するためのテクノロジー。現状のコンピューターシステムが即座に入れ替わることはなく、それと組み合わせる形で、適材適所かつハイブリッドに新しいコンピューティングを取り入れていくことになる。「メインフレームからの移行と同様に、バランスを取りながら進んでいく。そのためのオーケストレーションや運用のツールなどが必要になってくる」(池田氏)。

人間とマシンの相乗効果に関するテクノロジートレンド

 最後は、生成AIで関係がより深まった、人間とマシンの「相乗効果」に関する3つのトレンドだ。

 8つ目となるのが、「空間コンピューティング(Spatial Computing)」だ。

 拡張現実(AR)や仮想現実(VR)などのテクノロジーによって物理世界をデジタルで強化するテクノロジー。リアルタイムな位置情報や3次元情報に、その状態や周辺情報などの付加情報が統合されるコンピューティング・パラダイムを指す。

 「(前述した)環境に溶け込むインテリジェンスが小さな電力で状況を把握していく一方、空間コンピューティングは大きな構造の枠組みで必要な情報を得られる」(池田氏)。3D空間でデジタルコンテンツとやりとりができるようになり、没入感の高い直感的なエクスペリエンスが実現される。

 9つ目は、「多機能型スマート・ロボット(Polyfunctional Robots)」

 複数のタスクをこなす多機能型スマート・ロボットが、単一のタスクを繰り返すタスク特化型ロボットに取って代わるという。「頭脳もよりインテリジェンスになり、LLMに対して行動(Action)を学習するLAM(Large Action Model)が登場しているが、より多様な行動が取れるようになる」と池田氏。

 ガートナーでは、2030年までに、人間の80%がスマート・ロボットと日常的に関わるようになると予測する。

 最後は、「神経系の拡張(Neurological Enhancement)」

 脳の活動を読み取り、解読して、人間の認知能力を向上させるテクノロジー。「ここに来てアメリカなどで投資が盛んで、工学的な観点でビジネスにしていくための取り組みが進んでいる。ただし、これは10年以上先のトレンドになる」(池田氏)。神経系の拡張は、AIに適応するための人間のスキルを向上させること、次世代のマーケティング、人間のパフォーマンスの根本的な向上という3つの領域で大きな可能性を秘めているという。

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