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NRI、富士通に続く国内3社目のAlloyパートナー、その狙いを語る

NTTデータの「Oracle Alloy」採用、背景には「ソブリンニーズの変化」

2024年10月28日 08時00分更新

文● 大塚昭彦/TECH.ASCII.jp

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10年遅れは“10年新しい”、最後発のクラウド参入が功を奏している理由

 日本国内でOracle Alloyの採用を公表したパートナーは、NTTデータが野村総合研究所(NRI)富士通に続く3社目となる。あらためて、Oracle Alloyとはどんなパートナーソリューションか。基調講演では日本オラクル 社長の三澤智光氏が、Alloyの特徴を説明した。

 まず、パブリッククラウドのOCIと同じテクノロジーやプラットフォーム(ハードウェア、ソフトウェア)を採用しており、OCIと同一のサービスを提供できる点が大きな特徴だ。

 この特徴は、顧客企業が自社DCに“顧客専用リージョン”を設置できる「OCI Dedicated Region Cloud@Customer(DRCC)」とも共通している。三澤氏は、OCI、DRCC、Alloyの違いを次のようにまとめた。

・OCI:オラクルのDCに設置、オラクルが設計、オラクルが運用
・DRCC:顧客企業のDCに設置、オラクルが設計、オラクルが運用
・Alloy:パートナーのDCに設置、オラクルとパートナーがカスタマイズ、パートナーが運用

すべて同じプラットフォームで構成されているため、DRCCやAlloyにおいても常に最新のOCIサービスが提供できる

 上記のとおり、Alloyはパートナーが自社のDCに設置し、パートナーが運用するかたちでクラウドサービスを提供するモデルをとる。提供するサービスはパートナーごとにカスタマイズが可能であり、パートナー独自のブランドや価格体系で提供することもできる。

 このことから、もうひとつの特徴が生まれる。各国のパートナーにおいて、データ主権、運用主権の要件を満たすソブリンクラウドの提供が容易になる点だ。三澤氏は、Alloyにおいてはクラウド所有者、サービス提供者、データ主権者、運用主権者はすべて、オラクルではなくパートナーであることを強調した。

Alloyにおいては所有者、サービス提供者、そして主権者はパートナーであることを強調

ソブリンクラウドニーズの高まりによって、日本以外でもAlloyの採用が増えているとした

 なお、日本国内のAlloyパートナーを支援するために、オラクルでも日本のサポート人員やオペレーション人員を増強している。オラクルでは今年4月、「日本市場に対して今後10年間で80億ドル(およそ1.2兆円)以上の投資を行う」計画を明らかにしたが、その一部が人員面での増強だと三澤氏は説明した。Alloyパートナーに対する24時間・365日のサポートやオペレーション支援が、日本国内で完結できる体制を組んでいるという。

 三澤氏は、ハイパースケーラーであるOCIが、DRCCやAlloyといった柔軟な提供形態を可能としている背景として“後発の強み”を強調する。オラクルがクラウド(IaaS/PaaS)市場に本格参入したのは、AWSの登場から10年遅れた2016年だった。その結果、「10年遅れたぶん、10年後のテクノロジーで(クラウドインフラを)実装できた」(三澤氏)というのがその主張だ。

 特にDRCCやAlloyにおいては、OCIの最小構成(フットプリント)の「コンパクトさ」が差別化のポイントになっていると、三澤氏は説明する。オラクルでは先月、最小構成を12ラックから3ラックに縮小した「Dedicated Region25」を発表している。

 「先行したハイパースケーラーのパブリッククラウドと同じケイパビリティを作ろうと思うと『最小でも500ラックが必要だ』と言われる。一方でオラクルでは、パブリッククラウドとまったく同じケイパビリティを3ラックから提供できる。フットプリントが小さいということは、データセンターコストが安い、電力使用量も安い。これが(Alloyパートナーが提供するサービスの)価格に転嫁できるという点が、われわれのもうひとつの強みではないか」(三澤氏)

 さらにこの強みが、他のハイパースケーラーのデータセンター内からオラクルがデータベースサービスを提供する「Oracle Database@AWS」などの実現にもつながっているとした。

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