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最新パーツ性能チェック 第451回

Core Ultra 200Sシリーズのパフォーマンスを検証

Core Ultra 9 285K/Core Ultra 7 265K/Core Ultra 5 245K速報レビュー!第14世代&Ryzen 9000との比較で実力を見る

2024年10月25日 00時00分更新

文● 加藤勝明(KTU) 編集● ジサトラユージ/ASCII

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検証環境は?

 今回の検証環境は、Core Ultra 200SシリーズとCoreプロセッサー(第14世代)から同格モデルを3モデルずつ、さらにRyzen 9000シリーズの4モデルとRyzen 7000X3Dシリーズの3モデル、都合13モデルで比較する。インテル製CPUの電力制限については、どれもデフォルトのPerformance Profileを選択。さらに旧インテル環境はマイクロコード0x12B準拠のBIOSを使用している。

 また、今回のレビューにあたりCore Ultra 200Sシリーズ環境のみ環境が微妙に異なる。具体的にはメモリーモジュールのみDDR5-6400対応のものを使っていることと、OSの電源プランが「高パフォーマンス」に設定されているという点だ。

 Core Ultra 200Sシリーズがキチンと動いているか検証するにあたり高パフォーマンスモードでの確認が必要であり、その時点で残り時間が少なかった、というなんともな理由なのだが、APO問題が解決した後でもっと美しい環境で再検証してみたいものだ(遠からず別の内容で検証することになりそうだが……)。

 検証にあたり、Secure Boot/Resizable BAR、メモリー整合性やHDRといった設定は一通り有効とした。また、GPUドライバーはGameReady 561.09を使用している。

検証環境:新インテル
CPU インテル Core Ultra 9 285K(24C/24T、最大5.7GHz)
インテル Core Ultra 7 265K(20C/20T、最大5.5GHz)
インテル Core Ultra 5 245K(14C/14T、最大5.2GHz)
CPUクーラー NZXT「Kraken Elite 360」(簡易水冷、360mmラジエーター)
マザーボード ASUS「ROG MAXIMUS Z890 EXTREME」
(インテル Z890、BIOS 0805)
メモリー ADATA「AX5U6400C3216G」
(16GB×2、DDR5-6400)
ビデオカード NVIDIA GeForce RTX 4080 Founders Edition
ストレージ Micron「CT2000T700SSD3」
(2TB、NVMe M.2 SSD、PCI Express Gen5)
電源ユニット Super Flower「LEADEX PLATINUM SE 1000W-BK」
(1000W、80PLUS Platinum)
OS Microsoft「Windows 11 Pro」(23H2)
検証環境:旧インテル
CPU インテル Core i9-14900K(24C/32T、最大6GHz)
インテル Core i7-14700K(20C/28T、最大5.6GHz)
インテル Core i5-14600K(14C/20T、最大5.3GHz)
CPUクーラー NZXT「Kraken Elite 360」(簡易水冷、360mmラジエーター)
マザーボード ASUS ROG MAXIMUS Z790 HERO
(インテル Z790、BIOS 2703)
メモリー Micron「CP2K16G56C46U5」
(16GB×2、DDR5-5600)
ビデオカード NVIDIA GeForce RTX 4080 Founders Edition
ストレージ Micron「CT2000T700SSD3」
(2TB、NVMe M.2 SSD、PCI Express Gen5)
電源ユニット Super Flower「LEADEX PLATINUM SE 1000W-BK」
(1000W、80PLUS Platinum)
OS Microsoft「Windows 11 Pro」(23H2)
検証環境:AMD
CPU AMD Ryzen 9 9950X(16C/32T、最大5.7GHz)
AMD Ryzen 9 9900X(12C/24T、最大5.6GHz)
AMD Ryzen 7 9700X(8C/16T、最大5.5GHz)
AMD Ryzen 5 9600X(6C/12T、最大5.4GHz)
AMD Ryzen 9 7950X3D(16C/32T、最大5.7GHz)
AMD Ryzen 9 7900X3D(12C/24T、最大5.6GHz)
AMD Ryzen 7 7800X3D(8C/16T、最大5GHz)
CPUクーラー NZXT「Kraken Elite 360」(簡易水冷、360mmラジエーター)
マザーボード ASRock「X870E Taichi」
(AMD X670E、BIOS 3.08)
メモリー Micron「CP2K16G56C46U5」
(16GB×2、DDR5-5200/DDR5-5600)
ビデオカード NVIDIA GeForce RTX 4080 Founders Edition
ストレージ Micron「CT2000T700SSD3」
(2TB、NVMe M.2 SSD、PCI Express Gen5)
電源ユニット Super Flower「LEADEX PLATINUM SE 1000W-BK」
(1000W、80PLUS Platinum)
OS Microsoft「Windows 11 Pro」(23H2)

論理コアは減ってもスコアーは高い

 まずは「CINEBENCH 2024」から検証を始める。10分間のプレヒートを経てスコアーを出すモードを使用している。

CINEBENCH 2024:スコアー

 SMTが廃止されたCore Ultra 200Sシリーズが苦戦するかと思っていたが、むしろマルチスレッド性能もシングルスレッド性能も高い。特にCore Ultra 9 285Kのスコアーはダントツだ。ちなみに電源モードをデフォルトの「バランス」にしてもスコアーはほとんど変化しない。

 Core Ultra 200Sシリーズを前世代と比較すると、Core Ultra 7 265KはCore i9-14900Kとマルチスレッド性能は互角だがシングルスレッド性能で優越、Core Ultra 5 245KはCore i7-14700Kには及ばないがCore i5-14600Kよりもマルチスレッドのスコアーが12%程度伸びている。どちらも電力制限がかかった状態とはいえ、PコアのSMTがないのにここまで戦えるとは正直驚きだ。

 ただし、CINEBENCH 2024では絶好調だったが、これだけでマルチスレッド性能を語ることは危険だ。同じCGレンダリング系ベンチから「Blender Benchmark」「V-Ray Benchmark」も試しておきたい。CPUのみでレンダリングした場合のスコアーで比較する。

Blender Benchmark:Blender 4.2.0使用時のスコアー

V-Ray Benchmark:CPU V-Rayのスコアー

 ここでのトップはRyzen 9 9950X。Core Ultra 9 285KのスコアーもCore i9-14900Kより十分高いといえるが、Ryzen 9 9950Xには追い付くことはできていない。Core Ultra 7 265KはCINEBENCH 2024と同様にCore i9-14900K相当でRyzen 9 9900Xよりやや上~同程度だが、Core Ultra 5 245KはCore i5-14600Kよりスコアーは高いが微々たる差にとどまっている。Core Ultra 5 245Kはもともとコア数が少ないため、アーキテクチャーの進歩による性能向上が得られにくいといった理由だろうか。

消費電力は大幅減だが、半減ではない

 続いて「Handbrake」を利用して動画のエンコード時間を比較する。ソース動画は4K@60fps、再生時間は約3分。これをHandbrakeプリセットの“Super HQ 1080p30 Surround”および“Super HQ 2160p60 4K HEVC Surround”を利用してエンコードする時間を計測した。ここでもエンコードはCPUのみを使用する。

Handbrake:2種類のプリセットを利用したエンコード時間

 傾向としてはV-Ray Benchmarkに近い。Core Ultra 9 285KはCore i9-14900Kより高速だが、わずかにRyzen 9 9950Xのほうが高速な場合もある。Core Ultra 7 265KとCore i7-14900KやRyzen 9 9900Xとの力関係もこれまでの検証に通じるものがあるが、Core Ultra 5 245Kについては、Core i5-14600Kよりもしっかりと高速化できている。Core Ultra 5 245KとCore Ultra 7 265Kの間に大きな性能差があるので、よりバランスの良い性能を求めるのであれば、予算に+2万円してCore Ultra 7 265Kを選ぶことをオススメしたい。

 HandbrakeにおけるH.264エンコード中にどの程度の電力を消費しているかをHWBusters「Powenetics v2」を利用し、システム全体とCPU単体の2つの観点で比較する。グラフで高負荷時とあるのはすべてHandbrakeエンコード時の結果だが、平均値・99パーセンタイル点(99%ileと表記)・最大値を示している。また、アイドル時は3分間計測した平均値である。

システム全体の消費電力

CPUの消費電力

 Core Ultra 200Sシリーズの消費電力はCoreプロセッサー(第14世代)よりもシステム全体で30~50W程度、CPU単体で見ると上位2モデルは60W程度も下がっているが、Core Ultra 5 245Kは約40Wの低下にとどまる。インテルの資料では同性能を半分の消費電力と謳っていたが、実際の運用環境ではそこまで上手くはいかないようだ。ただ、消費電力が減ったといっても、Ryzen 9000シリーズ(の上位2モデル)の電力効率には及ばない。

 インテル製CPUはアイドル時の消費電力が2CCD構成のRyzenより有利なことが特徴だが、今回の検証環境ではCore Ultra 200Sシリーズのアイドル時の消費電力は前世代よりも上昇している。ただCPUのアイドル時消費電力は3W程度しか増えていないので、今回利用したマザーボードの設計、さらに電源プラン選択の違いが原因になっていると思われる。

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