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単独利用方式を選んだ名古屋市、本番移行に備える日立システムズ、移行後も見据えるAWS

移行期限迫るガバクラ、自治体・支援事業者の現状は? 300の自治体で利用されるAWSの場合

2024年10月24日 07時00分更新

文● 福澤陽介/TECH.ASCII.jp

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IaCによる作業プロセス自動化でAWSを選択、本格化を前に準備も着々

 ガバメントクラウドの移行支援に注力するパートナー企業のひとつが日立システムズだ。同社は、AWSの開発・導入を手掛けるプレミアムパートナーであり、自治体向けソリューションである「ADWORLD」も手掛ける。

 同社は、これまでのガバメントクラウド先行自治体との取り組みで蓄積した知見を活かして、「ガバメントクラウド向けリフト・運用・ネットワーク関連支援ソリューション」を、2024年8月より提供している。

 ADWORLDだけではなく他社の業務アプリケーションも含め、ガバメントクラウドへのリフトを支援し、運用管理補助者としてリフト後の運用まで対応する。特にリフト支援においては、デジタル庁の推奨するIaCの考え方を活用して、OS・RDSの構築までを担う。

日立システムズのガバメントクラウド向けリフト・運用・ネットワーク関連支援ソリューション

 ソリューション提供に至るまでの実績は、2023年度までに、先行事業・早期移行において、12団体のガバメントクラウド移行を支援。2024年度上期にも、20団体の環境を構築した。

 今後2024年度下期には、約100団体、2025年度には、約320団体のリフト作業を計画しており、ビジネスクラウド向けのグループも動員するなど、リフト専任チームを整備して対応予定だ。

日立システムズの支援におけるガバメントクラウドへのリフト状況

 日立システムズがAWSを選定した理由について、同社の公共・社会事業グループ 業務役員 統括事業主管 穴山泉氏は、「最も早期にCSPとして認定され、適用のためのドキュメントが充実していた」と述べる。その他にも、2025年度末までの移行には“作業プロセスの自動化”が必須であり、そのためのIaC機能が豊富であることも決め手になったという。

日立システムズ 公共・社会事業グループ 業務役員 統括事業主管 穴山泉氏

 今後の課題として穴山氏は、「現状のガバメントクラウド利用料は国負担だが、来年度からは自治体が負担することが考えられる。これまでの自治体システムでのリソースでは、パブリッククラウドのコストメリットを享受できない可能性がある」と指摘する。そのため、リフトされたシステムの稼働状況をモニタリングして、クラウドコストの最適化を進めることが重要になってくるという。

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