「4G周波数を転用するのは簡単ではない」
キャリアとしては、総務省からどの周波数帯をどれくらい獲得するのかが、競争力のあるネットワークを作るのに重要だ。単に基地局を全国に建設するだけでなく、ユーザーからの不満の声を集めて、日々、品質の改善をしていかなくてはならない。
ただ、そうしたネットワーク改善をしていくうえで「海外ベンダーの存在」というのも少なからず影響を与えているのは間違いなさそうだ。
例えばKDDIの「3.7GHzと4.0GHzを束ね、Massive MIMOという、混雑状況でも複数の端末に安定した通信を提供する技術を小型装置1つで実現する」というのも、韓国・サムスン電子の機器が採用されている。
また「4G周波数を転用するのは簡単ではない。4G周波数の転用については、4Gと同じ海外ベンダーの技術で進めてきた。海外ベンダーが持つ、最新の技術や機能によって、4Gと5Gをうまくバランスさせてきたことで、4Gから5Gからのアップグレードが上手くいった」(前田氏)というのだ。
さらにKDDIにはUQコミュニケーションズ、ソフトバンクにはWCPという、2.5GHz帯でTD-LTEを展開する会社がある。TD-LTEとはデータ通信に特化した技術で、主にアメリカの一部キャリアや、中国のキャリアやベンダーが積極的に展開してきたものだ。
TD-LTEにデータの流れを集中させつつ、4Gのネットワークに余裕を持たせ、5Gに転用。5Gの面展開を進め、Sub6基地局の大量稼動で、一気にネットワーク品質が上がったというストーリーのようだ。
前田氏は「NTTドコモは4G周波数の転用はあまり進んでいないようだ。国内ベンダーだからといって、(4G周波数転用が)実現できないのかはわからない」としている。

この連載の記事
-
第262回
トピックス
ソフトバンクとKDDIが“空の救助網” 雪山遭難、ドローンで発見 -
第261回
トピックス
スマホ5G“ミリ波”肩透かし 6Gは“センチメートル波”が鍵に -
第260回
トピックス
ドコモ苦戦 携帯3社、“値上げ”で明暗 -
第259回
トピックス
KDDI、通信品質で再び首位に ドコモとソフトバンクが不満「あの評価基準はおかしい」 -
第258回
トピックス
アドビ、AIで若年層開拓 “映える”画像を作りやすく -
第257回
トピックス
ドコモ経由の“NISAデビュー”増える マネックスか、SBIか、悩ましい選択に -
第256回
トピックス
KDDIドローン事業、9年目で軌道に乗る兆し 無人AIポート運用に成功 -
第255回
トピックス
楽天モバイル“値上げしない宣言”に他社が苦言 「自分たちでネットワークを構築しないくせに」 -
第254回
トピックス
クアルコム「Snapdragon」名称迷走 PC市場での認知施策が課題に -
第253回
iPhone
アップル新型「iPhone」全部比べた オススメはこれ -
第252回
トピックス
アップル「iPhone 17」eSIM専用に? 注目集める - この連載の一覧へ











