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連載:今週の「ざっくり知っておきたいIT業界データ」 第154回

IT市場トレンドやユーザー動向を「3行まとめ」で理解する 10月5日~10月12日

ビジネスパーソンの6割が「睡眠に不満」、自治体の防災DXが進まない理由、マーケターの年収を高める経験業務とは、ほか

2024年10月15日 08時00分更新

文● 末岡洋子 編集● 大塚/TECH.ASCII.jp

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 本連載「ざっくり知っておきたいIT業界データ」では、過去1週間に調査会社などから発表されたIT市場予測やユーザー動向などのデータを、それぞれ3行にまとめてお伝えします。

 今回(2024年10月5日~10月12日)は、急成長する国内プライベートクラウド市場、自治体の防災/減災対策におけるデジタル化の課題、ビジネスパーソンのメンタルヘルス意識、個人間ファイル転送市場の概況、マーケターの年収と転職意向についてのデータを紹介します。

[クラウド]国内プライベートクラウド市場、2028年には現在の2倍の規模に(IDC Japan、10月7日)
・国内プライベートクラウド市場の規模は、前年比27.3%増の2兆533億円
・成長要因は、クラウドマイグレーションや環境更新に対するニーズの高まり
・2028年の市場規模は、2023年からほぼ倍増となる4.2兆円と予想

 2023年の国内プライベートクラウド市場規模(支出額ベース)は、クラウドマイグレーションや既存環境の更新への需要を背景に、前年比27.3%増の2兆533億円となった。2023~2028年の同市場は、CAGR(年間平均成長率)15.4%で成長を続け、2028年には4兆2126億円規模に達すると予想されている。これまでは「過去のIT資産を継承するための環境」として評価されてきたが、現在では「最新のテクノロジーを任意の場所で稼働させる環境」のひとつとしての認識も高まっているという。

国内プライベートクラウド市場予測。2028年までの年平均成長率は15.4%と予想(出典:IDC Japan)

[公共][DX]「防災/減災」でのデジタル活用が進んでいる地域は「近畿」(自治体DX推進協議会、10月8日)
・防災/減災対策のトップは「ハザードマップ作成・更新」(97.1%)
・デジタル活用が進んでいる地域は「近畿」(58%)がトップ
・課題の上位は「予算」(86%)、「人材」(75%)、「既存システムとの連携」(57%)

 全国の自治体を対象とした「防災DX実態調査」レポートより。各自治体が現在行っている防災/減災対策としては「ハザードマップの作成/更新」(97.1%)、「住民向けの防災訓練/啓発」(91.8%)が上位。防災/減災へのデジタル技術活用を地域別に見ると、「十分/ある程度活用できている」地域としては「近畿」(58.1%)、「関東」(56.5%)が多く、反対に「あまり/まったく活用できていない」のは「東北」(55.6%)、「北海道」(50.6%)が多かった。デジタル活用に向けての課題としては、「予算」(86.1%)と「人材」(75.5%)の確保が多く挙がった。

地域別のデジタル技術の活用状況(出典:自治体DX推進協議会)

防災/減災対策でデジタル技術を活用するにあたっての課題(出典:自治体DX推進協議会)

[ファイル転送]ファイル転送市場は安定需要が下支え、2024年度は8.8%成長予想(アイ・ティ・アール、10月10日)
・2023年度のユーザー間ファイル転送市場(売上金額)は55.7億円、前年度比8.2%増
・2024年度も前年度比8.8%増を予想
・「SaaS」型の提供が市場を牽引

 2023年の国内ユーザー間ファイル転送市場は、前年度比8.2%増の55億7000万円となった。“脱PPAP”やランサムウェア対策など、セキュリティ強化を目的とした需要が拡大し、すべてのベンダーが売上を伸ばしたという。オンラインファイル共有の製品/サービスと競合するが、「大量/大容量のファイルを高速、安全に送受信できる」特性から、安定した需要があると説明している。2023~2028年はCAGR 6.2%で引き続き成長し、2028年度には75億円に達すると予想する。

ユーザー間ファイル転送市場規模の推移(出典:ITR)

[健康]ビジネスパーソンの半数超が「受診目安よりも悪化してから」精神科受診を検討(アトラスト・ヘルス、10月7日)
・精神科/心療内科に通うきっかけは「睡眠をしても休養が取れない」(33.1%)が最多
・受診目安よりも悪化している人が受診しない理由は「重症化してから通うイメージ」(43%)があるため
・平均睡眠時間は「6~7時間未満」(35%)が最多、60%が「睡眠に満足していない」

 世界メンタルヘルスデー(10月10日)に合わせ、20歳~65歳のビジネスパーソンを対象に「睡眠と精神科/心療内科への受診」について尋ねた。「病院に通おうと思う状況」として、合計で54.5%が挙げた「常に気力が出なくなり、寝られなくなったとき」「仕事や家事に明らかな支障が出て、周りから異変を指摘されたとき」「食事や水分の摂取が難しくなり、日常生活を送ることが困難になったとき」は、いずれも医師が考える受診目安よりも悪化した状態である。しかし、3つのいずれかを回答した人の43%は「受診が必要なのはもっと重症化してから」というイメージを持っていた。

「精神科/心療内科に通おう」と思う状況(出典:アトラスト・ヘルス)

前問で選択した状況まで通院しようと思わなかった理由(出典:アトラスト・ヘルス)

回答者の平均睡眠時間(出典:アトラスト・ヘルス)

[人材][キャリア]マーケター不足が加速、約半数の転職意欲がない人は「年収100万アップでも転職に心動かない」が8割(WACUL、10月8日)
・マーケターの平均年収は773万円、フリーランスは970万円
・企業が求めるマーケター人材の47%が転職意欲なし、年収100万アップでも心動かない
・マーケ業務で経験比率が多いのは「サイト改善」、「SNS」「マス広告」は低い

 国内のマーケティング従事者175人を対象とした調査。調査対象者であるマーケターの平均年収(概算値)は773万円で、日本の会社員の平均年収678万円を上回った。経験年数が3年以上になると平均年数を超える傾向があるという。企業が求めるマーケター人材は「特定のスキル、あるいはマネジメント経験を3年以上持つ、25~35歳の若手パフォーマー・マネージャー候補」だが、それに該当する人材の約47%が「転職意欲を持っていない」。転職意欲のない人は、現在から年収が100万円アップするとしても「転職を検討する」は15.3%にとどまる。

業務別の経験年数(出典:WACUL)

業務×経験年数別で算出した平均年収。「戦略立案」や「マネジメント」の経験が年収を早期にアップさせる傾向にある(出典:WACUL)

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