●英雄じゃない……だからこそ心に残る「モブ」たちの物語
「軌跡」シリーズでは街のNPCにもそれぞれのドラマが用意されているのが特徴。プレイヤーとクエストで関わるものがわかりやすいが、それ以外にも個性的な「モブ」が多い。
たとえばカフェのオーナーである青年イルハンは、若くしてベンチャーで起業して成功し、世界観的に誰も思いつかない「オーバルストア(家電屋)+カフェ」の併設、携帯端末の普及にともなう「通信決済」など斬新なアイディアをポンポンと形にしている隠れた天才だ。
ほかにも旧市街のホラ吹き「ナターリャ婆さん」などは、いかにもウソっぽくて「じつは本当のこと」を話し始める可能性を捨てきれず、気が気でない。
そんなNPCのなかでも、クエスト「4spg」で主人公と直接関わる人たちもいる。男2:女1でシェアハウスをしていた三角関係のキャラクターたちのお話などは、今でも心に残っている人は多いのではないだろうか。
NPCとしっかり話しておくとそうしたクエストの伏線回収にもなり、より深く物語に没入できる。これこそが「軌跡」シリーズの“通”な醍醐味と言えるだろう。全NPCと会話してるとゲームの進行が遅れるのだけはネックだが。
●ファンなら迷わず買い!
一見さんは『黎の軌跡』からがオススメ
今回は過去作のキャラクターがプレイアブルで登場すること、NPCの連綿と続く物語にも注目してほしいこと、2つの魅力を紹介させていただいた。
本筋の物語はすごく面白いし、戦闘面も敵をスローにする「Z.O.C」など、新システムが導入されてより爽快感が増している。グラフィックも綺麗で、とくにイベントのムービーシーンは流れるような迫力あるアクションを楽しめた。呼吸を忘れるとはこのことかと。
やり込み要素「グリムガルテン」は遊ぶほどにアイテムが手に入るので、とてもお得。攻略を進めると世界観を補足する新情報も解禁される。
物語、バトルシステム、やり込みと全体的に面白いのは確かなので、シリーズファンは「買い」の一択。様子見する必要は全然ないと断言してもいい。
反面、ここからシリーズに入るという人にはややもったいないという気持ちがある。というのも、前述の通りNPC含めた「連綿と続く物語」が「軌跡」シリーズの魅力なので、本作からでも遊べなくはないが楽しさは半減せざるを得ないだろう。節目という意味では『黎の軌跡』からプレイするのがオススメだ。
また、2025年に発売予定の『英雄伝説 空の軌跡 the 1st(仮称)』(Nintendo Switchで発売予定)は、ファンはもちろん、シリーズに触れたことのない人も注目。シリーズの1作目にして原点となる、主人公エステルとヨシュアの物語が楽しめる。
本作に登場するジン、レン、ケビンなどのキャラクターは「空の軌跡」シリーズが初出。とくにレンはシリーズ全体の皆勤賞的な存在なので、本作やリメイク版『空の軌跡』をプレイして、その成長を確かめてみてはいかがだろうか。
【ゲーム情報】
タイトル:英雄伝説 界の軌跡 -Farewell, O Zemuria-(エイユウデンセツ カイノキセキ フェアウェル オー ゼムリア)
ジャンル:ストーリーRPG
販売:日本ファルコム
プラットフォーム:PlayStation 5/PlayStation 4
発売日:発売中(2024年9月26日)
価格:
通常版:8800円(パッケージ/ダウンロード)
Limited Edition:1万1550円(パッケージ)
CERO:C(15歳以上対象)
※画面は開発中のものです。
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