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“回復力”重視のランサムウェア対策、オンプレミスVMware環境からのクラウド移行などがターゲット

Veeam×JBS×日本MS、Azure/M365向けデータ保護ソリューションで協業展開

2024年10月03日 07時00分更新

文● 大塚昭彦/TECH.ASCII.jp

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 ヴィーム・ソフトウェア(Veeam)日本法人は2024年10月2日、日本マイクロソフト(日本MS)、日本ビジネスシステムズ(JBS)と共に、「Microsoft Azure」「Microsoft 365(M365)」向けデータ保護ソリューションの日本市場における協業展開の記者説明会を開催した。

 JBSでは同日、Veeamとの協業を強化し、日本MSの協力も得ながら、Azure/M365環境のデータ保護、オンプレミスVMware環境のクラウド移行を支援するパッケージソリューションを開発し、2024年内にリリースしていくことを発表している。

Azure/M365向けデータ保護ソリューションの国内展開に向けた協業強化を発表した

(左から)日本マイクロソフト 執行役員 常務 パートナー事業本部長の浅野智氏、ヴィーム・ソフトウェア 執行役員社長の古舘正清氏、日本ビジネスシステムズ 代表取締役社長の牧田幸弘氏

Veeam古舘氏「クラウド時代のデータ保護として“新たな標準”を確立したい」

 説明会ではまずVeeam日本法人社長の古舘正清氏が、同社の事業戦略における今回の協業の位置付け、3月に発表したマイクロソフトとのグローバルアライアンスなどを説明した。

 今年2月に開催した事業戦略説明会において、古舘氏は「BaaS(Backup-as-a-Service)ビジネスの拡大:M365/Azureへの注力」や「チャネルパートナービジネス拡大」を2024年の注力項目に挙げていた。今回の協業強化は、これらの注力項目に該当するものだ。

 さらに3月には、米Veeamと米マイクロソフトのグローバルアライアンス拡大も発表している。ここでは「AIを活用したソリューションの共同開発」「BaaSソリューションの販売強化」を掲げており、今回の協業強化は、日本におけるその具体的な動きのひとつと位置付けられる。

Veeamとマイクロソフトはグローバルでの戦略協業拡大を発表している

 古舘氏は、日本市場におけるデータ保護のトレンドとして、ランサムウェア対策やクラウドシフトの動きを背景に、従来のバックアップ手法に対する見直しが進んでいること、M365などのSaaSデータにも保護手段が求められ始めていること、VMware買収に伴ってクラウド移行の検討が進んでいることなどを挙げる。

 そのうえで、“マルチクラウド時代”の事業継続におけるデータ保護の要件として、ランサムウェア感染からの“復元力(レジリエンス)”を重視した対策、ハイブリッド/マルチクラウド環境、さらにSaaSも含めた一元的な統合バックアップの必要性を訴えた。

古舘氏は、マルチクラウド時代の事業継続におけるデータ保護の要件を3点にまとめた

 この中で古舘氏は、クラウドベンダー各社もそれぞれ個別にバックアップサービスを提供しているものの、ランサムウェア対策において重要なリストア性能に関しては「基本的に十分とは言えないのが現状」だと指摘。また、ハイブリッド/マルチクラウド環境において個別の(互換性のない)ソリューションを利用することも「事業継続上のリスクを抱えている」として、Veeamにより実現する統合バックアップ環境の優位性を強調した。

 「クラウド時代には、新たなデータ保護の標準が必要だと考えている。今回の3社協業を通じて、そうしたデータ保護のスタンダードを打ち立てていきたい」(Veeam 古舘氏)

Veeamの特性を生かした3つのパッケージソリューションを発表

 Veeam、マイクロソフトのパートナーであるJBS代表取締役社長の牧田幸弘氏は、同社が提供を計画しているデータ保護のパッケージソリューションの概要、およびその提供背景を説明した。

 JBSでは今回、エンタープライズ顧客を対象とした「オンプレミスのVMware環境からAzureクラウドへの移行ソリューション」「Azureを含むハイブリッド/マルチクラウドのデータ保護ソリューション」「コンプライアンス要件を満たすMicrosoft 365のデータ保護ソリューション」という3つのパッケージソリューションを発表している。

 従来、こうしたデータ保護ソリューションは個別案件として対応してきたが、今回はそれをパッケージ化して、より短期間に導入できるものとしてラインアップするという。

JBSが提供予定の3つのソリューション(下段)

 牧田氏は、上述したエンタープライズ向けソリューションを実現するうえで、前提となるのが「データのサイロ化を取り払い、一元的な統合管理が実現できること」、そして「レジリエンス(回復力)を高め、スピーディで安全にデータを復旧できること」という2つの要件だとしたうえで、「この2つを満たせるソリューションは、市場にはVeeamしかないとわれわれも感じている」と述べた。

 なお、マイクロソフトの純正ツールである「Azure Backup」「Microsoft 365 Backup」とどのように顧客提案をし分けるのかについては、古舘氏の見解と同様に「復元力」が重視される案件かどうかだと説明した。

 「Azure Backup、M365 Backupでもデータは保全(バックアップ)できるのは事実。しかし、ランサムウェア対策の事業継続ソリューションとして高速で復元できるかというと、それはやはりバックアップを専門にやっているVeeam製品とはちょっとレベルが違うという印象がある。顧客ニーズによっては、マイクロソフトのバックアップツールで事足りるケースもある一方で、マルチクラウド環境だったり、高速な復元に対応する必要があったりするお客様には、Veeamをお勧めする環境にある」(JBS 牧田氏)

 またMicrosoft 365のデータ保護ソリューションについては、特に金融系の顧客などでは「5年前に退職した社員のコミュニケーション履歴を確保できるかどうか」といったコンプライアンス上の要件が発生することがあり、そうした場合に提案するものを考えていると説明した。

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