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新清士の「メタバース・プレゼンス」 第80回

ゲーム開発はAI活用が当たり前になりつつあるが、面白さを作り出すのは人間の仕事

2024年09月23日 07時00分更新

文● 新清士 編集●ASCII

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ChatGPTのような「AIチャット」活用はまだ限定的

 一方で、ライブ生成のAI生成コンテンツはまだまだ限られている印象です。

 そういうなかで、6月に韓国のReLU Gamesは「Uncover the Smoking Gun」をリリースしました。このゲームはアドベンチャースタイル風の推理ゲームで、ゲームを進める過程で、NPCとChatGPT 4oを利用して会話などをしながら推理を進めることができるという仕組みになっています。AI生成コンテンツの説明は以下のようになっています。

 「ユーザーは与えられた環境に応じて、ゲーム世界内のNPCと自由に会話することができます。一部の証拠(壁の写真、本の表紙)はAIツールを使用して作成されています。サウンドトラックにはジェネレーティブAI技術は使用されていません」

「Uncover the Smoking Gun」のストアページ Steamより

 マイクロソフトのAzure OpenAI GPTをゲームに使ったユースケースとして注目を集めていました。NPCの会話内容はかなり自由にできるのですが、レスポンスは早く、また会話の量に制限が掛けられているようで、過剰にAPIを使わなくて済むようにといった工夫がなされているようです。それでも、一般的なアドベンチャーゲームと違い、関係ない話題を振ったとしても、それなりに会話を返してくれるのは目新しい体験です。

 例えば、ゲーム中の相棒となるAIキャラクター「Qボット」に「相対性理論を説明して」と話しかけると、一応は理解したうえで、ゲーム内のキャラ風に味付けした返答をしてくれました。また、字幕の対応言語が、日本語も含め11言語と幅広く用意できているのは、ChatGPT 4oの多言語対応によるメリットと言えるでしょう。

「相対性理論を説明して」と筆者が質問した後の返答。キャラクター付けがなされた返答が来る(Uncover the Smoking Gun)

 5月に日本のYAMADAが発売した「ドキドキAI尋問ゲーム」もChatGPTを使ったゲームとして話題を集めました。

 このゲームは殺人事件の容疑者に尋問する警察官として、尋問して犯人であると認めさせなければなりません。質問できる回数は7回までと制限がある一方で、どんなデタラメな内容で追い詰めても構わないという展開が待っています。1ゲームは10分程度で終了するものの、意外と犯人を落とすことができないのです。相手はAIであるために、脅してみたり、ウソをついて説得することも推奨されていたりしますが、一筋縄ではいかない展開にはヤキモキさせられます。

 8月のアップデートで、ChatGPTの最新版に対応したと告知されており、ゲーム中のNPCの返答のレスポンスは非常によくなっています。

「ドキドキAI尋問ゲーム」のゲーム画面 Steam

 「Uncover the Smoking Gun」も「ドキドキAI尋問ゲーム」も、現状は売り切り型のゲームであるため、ユーザーがプレイすればするほど、ライブ生成の場合には、会話をするたびにLLMのAPI使用料が掛かってしまいます。当然、利益が減少してしまうため、規模を大きく広げにくい難しさがあるようには思います。どちらのゲームも会話内容を短く、制限をかけてもゲームが成立するように工夫しているのは、コストが理由でもあるでしょう。

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