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「Tokyo 7th Sisters LIVE DIVE TO YOUR SKY!! in幕張メッセ 2DAYS」の楽曲制作の裏側

Pro ToolsとDropbox Replayの連携は「すさまじく効率的」。プロの音楽制作者がレビュー。

文●岡ナオキ 編集●貝塚/ASCII

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Dropbox Replyで、業務がすさまじく効率的に

 ここからは、Dropbox ReplyとPro Toolsの連携機能を試用した感想をまとめていきます。

 弊社では今回、「Tokyo 7th Sisters LIVE DIVE TO YOUR SKY!! in幕張メッセ 2DAYS」の楽曲制作・チェックバック工程でDropbox Replayを使いました。

 結論からいうとこれまでのチェックバックに比べて、圧倒的な効率化が図れたと感じています。

 本稿のはじめに「1A 7小節目2拍裏」という修正指示の例を挙げました。今回の連携機能を使えば、この課題に悩む必要がなくなります。マーカー機能によって「修正が指示されている箇所はどこか」を読み解く専門知識が不要になるからです。

 また、バージョン管理が容易になる点も、この連携機能を使うメリットになるでしょう。

 弊社ではこれまで、クライアントの要件に応じてさまざまなツールをチェックバックに使用してきました。具体的にはメール、LINE、Slack、Discord、Chatworkなどです。

 これらのツールを通じて関係者それぞれのタイミングで送信される修正指示を、毎回正しく反映するのはとても大変であり、修正漏れなども発生しやすい環境でした。また、チェックする側もされる側も、現在開いているファイルがどこまでの修正が反映された何番目のバージョンなのかを常に把握しておく必要がありました。

 しかし、この連携機能を使うことで、Dropbox Replayにはすべてのバージョンが記録されるため、現在のバージョンは一目瞭然です。また、これまでのバージョンを参照することも容易です。バージョン管理に由来するミスは起きにくくなるでしょう。

Dropbox Replayにはすべてのバージョンが記録される。画像はバージョンの追加ウィンドウ

 エンジニア視点では、常に最新の修正指示がPro ToolsのUI上に反映されているので、さまざまな連絡ツールとPro ToolsのUIを交互に参照しながら、修正箇所を探す必要がなくなります。これも大きなメリットになりますね。

 レビューパートでは書きませんでしたが、投稿されたコメントに対して「未解決/解決済み/固定済み」などのステータスをマークすることも可能です。ステータス別でのソートや、投稿者でのソートにも対応しているため、誰の修正がどこまで進んでいるのか修正が止まっているポイントがないかといった進捗も、リアルタイムに共有することが可能です。

 インターネット環境さえあれば、これらすべての機能をどこでも活用できるのが、Dropbox ReplyとPro Toolsの連携です。音楽制作とリモートワークを掛け合わせるなら、一度は試してみる価値があると思います(共有する楽曲が4件までならば無料で使えます)。

 まとめれば、大きなメリットは下記の4つになるでしょう。

・修正位置がマーカー化するので、“音楽を言語化”する必要がなくなる
・楽曲に対する修正指示を一元化できる
・全バージョンをアーカイブできる。バージョン管理がしやすくなる
・修正の進捗をリアルタイムに共有できる

こうアップデートされたら、さらに便利になる!

 最後に、今後のアップデートに期待する点もまとめてみたいと思います。

 現在の仕様では、V1に記載したコメントはV2では見えなくなります。修正バージョンに対するチェックバックは、前バージョンのコメントを参照しながら進めることになるため、2つのバージョンを頻繁に行き来する(表示を切り替える)のは少々手間がかかると感じました。最新バージョンにすべてのコメントが表示され、バージョンごとのコメントをオン/オフできるようになれば、使用感が向上すると考えます。

 Pro Toolsへのマーカーへのエクスポートだけでなく、Pro ToolsからDropbox Replayへのコメントの書き出しもできれば、さらにエンジニアの手間やバージョンのアップロードミスなどが起きにくくなると感じます。

 「早送り/巻き戻し」に関して。現状は1フレーム単位での移動に設定が固定されています。そして、移動させると楽曲の再生がストップしてしまいます。映像作品のチェックバックでは1フレーム単位の確認と指示が必要になることもありますが、音楽作品においては、フレーム単位で指示するケースはほとんどないと思われます。「2秒/5秒/10秒」など好みの秒数単位で設定でき、早送り/巻き戻しをしても再生が止まらなければ、より使いやすいと思います。

 作曲家や編曲家にはPro Tools以外のDAW(Logic Pro、Live、Cubase、Digital Performerなど)の愛用者も数多くいます。これらのDAWにも対応を拡大し、作曲や編曲の段階でのチェックバックにもDropbox Replayが使えるようになると、Dropbox Replayの可能性が一気に広がると感じました。

 SMF(スタンダードMIDIファイル)にはマーカートラック情報を含めることができます。コメントマーカーをSMFで書き出す仕様が追加されることを心待ちにしています。

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