Tooブースで「Adobe Premiere Pro」や「DaVinci Resolve」との連携デモを披露

映像のレビュー/承認作業を大幅効率化、「Dropbox Replay」がInter BEEに登場

文●大塚昭彦/TECH.ASCII.jp

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「Dropbox Replay」のデモ展示が見られる、Inter BEE 2023のTooブース(小間番号 6115)

 千葉市の幕張メッセで開催されている放送/映像の総合展示イベント「Inter BEE 2023」(会期:2023年11月15~17日、主催:JEITA 電子情報技術産業協会)。クリエイティブ市場の総合商社であるTooのブースでは、映像のレビュー/承認作業を効率化するクラウドツール「Dropbox Replay」と、映像編集ツールの「Adobe Premiere Pro」「DaVinci Resolve」を連携させたデモ展示が行われている。

「Dropbox Replay」の概要説明

レビュー/承認を一カ所にまとめるクラウドツール、Dropbox Replay

 Dropbox Replayは、クラウドコンテンツストレージ/共有サービス「Dropbox」の有料プランで使えるアドオン(オプション)ツールだ。無料でも使えるが、その場合は共有できるファイル数に制限がある。年額1万4400円/ユーザーの有料版にアップグレードすれば、共有ファイル数は無制限となる(保存容量は契約しているDropboxプランに準じる)。

 Dropbox Replayを使うことで、編集中の映像を関係者(レビュアー)全員に共有してレビューし、そのフィードバックを収集して、再編集したものをふたたび共有する――という一連のプロセスを、一カ所にまとめることができる。

 具体的には、映像の編集担当者が動画ファイルをReplayにアップロードし、その共有リンクをレビュアー全員に送る。レビュアーはそれぞれ、PC/スマートフォンのブラウザで再生しながら、特定のフレームにコメントや手描きマーカーで修正指示を書き込む。その内容は全員に共有されるので、コメント欄で互いにやり取りをして修正方針をまとめることも可能だ。編集担当者は、一カ所にまとまった指示を参照しながら修正し、新しいバージョンの動画を共有する。こういう流れとなる。

Dropbox Replayの画面。中央で動画を再生しながら、フレーム単位でコメントや手描きマーカーを書き込み、それをレビュアー間で共有できる

 TooとDropbox Japanの説明員によると、現在でもこうした作業はメールやチャットなどを使って行われているケースが多い。その結果、「動画のどこに対する修正指示なのかがわかりにくく、修正ミスが起きる」「複数のレビュアーが同じ部分で異なる修正指示を出して、どれに従うのかの再確認が必要になる」「編集ツールとメールを行き来しながら作業するので面倒」といった問題が生じているという。Replayを使えば、これらの問題が解消できるわけだ。

 なお、Replayで動画を参照したり、コメントを付けたりするユーザー(レビュアー)の側は、DropboxやReplayのアカウント(ライセンス)を持っていなくてもよい。そのため、クライアントや多数の関係者へのレビュー依頼などにも気軽に使うことができる。

 さまざまな映像編集ツール(Adobe After Effects、Adobe Premiere Pro、Apple Final Cut Pro、DaVinci Resolveなど)との連携機能も備えている。連携させることで、Replayに書き込まれた編集指示を編集ツールから参照できるようになり、修正もれや修正ミスを防ぎながら迅速に作業ができる。また、編集ツール上からダイレクトにReplayへの動画ファイル書き出しもできる。

Premiere Pro(左)ではReplayの再生画面が組み込まれ、コメントを参照するとPremiere Pro側の同じフレームが表示される。DaVinci Resolve(右)では、Replayのコメントがタイムラインに直接組み込まれて表示される

ほかにもある、共同レビュー/編集のためのさまざまな便利機能

 以上がReplayの基本的な機能だが、そのほかにもさまざまな便利機能が備わっている。TooとDropbox Japanの担当者が説明してくれた便利機能を、いくつかご紹介しよう。

●ライブレビュー
 リモートワークなどで離れた場所にいる複数のレビュアーが、オンラインで動画を同時再生しながらレビュー作業を進められる機能。ほかのレビュアーが書き込むコメントやマーカーもリアルタイムに表示される。

ライブレビュー中の画面。ほかのレビュアーが描き込んだマーカーがリアルタイムに表示されている

●バージョン管理/比較再生
 修正した動画を編集ツールからReplayに上書きすると、新しいバージョンの動画として保存される。古いバージョンの動画も保持されているので、バージョンを“巻き戻す”ことも可能だ。さらに、1つの画面上で旧バージョン/新バージョンの動画を同時再生する機能もあり、修正した部分の比較に役立つ。

修正前/後のバージョンを同時再生。修正した部分の比較や確認に役立つ

●トランスクリプト(文字起こし)
 動画中の音声から自動的にトランスクリプト(文字起こし)する機能を備える。日本語にも対応しており、字幕ファイルとしてエクスポートすることもできる。

●タテ型動画への対応
 TikTokやYouTubeショートといった、最近流行りのタテ型動画の共有、レビューにも対応している。

●動画の納品に使えるDropbox Transferの容量が拡大
 編集が完了した動画ファイルの納品には、相手を選ばず大容量ファイルを転送できる「Dropbox Transfer」が便利だ。有料版Replayアドオンを契約すると、1回あたりの転送容量の上限が最大250GBまで拡大される。

* * *

 筆者がTooブースを訪れたのはInter BEE初日だったが、説明員に来場者の反応を聞いてみたところ、「すでに『これが欲しかった!』という声は多いですね」とのこと。実は、筆者も動画制作の仕事の中で(無料の範囲内でだが)Replayを使ったことがあり、動画編集者への指示が簡単かつ正確にできるのでとても重宝した。ぜひとも試してみていただきたいツールだ。

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