データ/AI領域の新発表、BigQueryは「AI対応の統合データ基盤」への進化
「Gemini in BigQuery」「Spanner Graph」など、Google Cloudが多数の新機能を発表
モダナイズ:データ移行支援プログラム、Spanner
前述したBigQueryの統合データ基盤化に関連して、既存システムのモダナイズ領域では「データ移行インセンティブプログラム」が発表されている。
カルダー氏は、企業がAI活用にフォーカスするうえでは統合データ基盤へのデータ移行も重要だと述べたうえで、オンプレミスあるいは他のクラウドからBigQuery(およびマネージドHadoop/Sparkサービスの「Dataproc」)への移行を支援するプログラムを紹介した。Google Cloudへのデータ移行にまつわるさまざまなコスト(データエグレス、移行サービスなど)を、クレジットの提供により補填するものだ。
またSpannerに関しては、同一国内の2つのリージョンを使って構成する「Spannerデュアルリージョン構成」も発表している。
ガットマンズ氏の説明によると、これまでのSpannerで通常(シングルリージョン構成)よりも可用性を高めるためには、3つ以上のリージョンを利用するマルチリージョン構成を利用するしかなかった。ただしこの場合、国内に2つしかリージョンを持たない国(日本、ドイツ、オーストラリアなど)ではデータレジデンシー要件が満たせなかった。今回のデュアルリージョン構成を採用することで、データレジデンシー要件を満たしつつ可用性も高めることができる。
なお、前述のSpanner Graphや全文検索、ベクトル検索、さらにデュアルリージョン構成といったSpannerの新機能は、「Spannerエディション」として新たに用意されたEnterprise、Enterprise Plusエディションでサポートされる。
またカルダー氏はオラクルとのパートナーシップ開始にも触れ、「既存のOracleアプリケーションとデータベースに、GCPの次世代テクノロジーやAIを組み合わせて利用できるようになる」とアピールした。
開発者向け:BigtableのSQLクエリ対応
開発者向け新発表としては、分散キーバリューストア「Bigtable」におけるSQLのサポート(Readのみ)がある。これまではJavaを利用してクエリを実行する必要があったが、これをシンプルにSQL文で実行できるようにする機能拡張だ。
またマルチリージョン構成のSpannerにおいて、テーブルデータを地域別にパーティション分割する機能も追加されている。ユーザーにより近いリージョンにデータを配置することで、レイテンシを改善するための技術となる。
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