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あのクルマに乗りたい! 話題のクルマ試乗レポ 第447回

Hondaのミニバン「新型FREED」をテストコースで試乗してわかった安定感の向上

2024年07月27日 15時00分更新

文● 栗原祥光(@yosh_kurihara) 編集●ASCII

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FREED

新型FREED AIR(左)とCROSSTAR(右)

 2008年「ちょうどいい」をキーワードに、5ナンバーサイズのコンパクトボディーに3列シートを詰め込んで誕生した「FREED(フリード)」。2016年には進化した2代目が登場。そして今夏、待望の3代目が発売されます。そこで一足早く、Hondaのテストコースで試乗するとともに、開発責任者に新型車の狙いを尋ねました。

FREEDのラインアップをシンプル化&明確化した

 3代目FREEDは、スッキリとした意匠のAIRと、アウトドアを意識させるCROSSTARの2種類をラインアップ。AIRはキャプテンシートの6人乗りとベンチシートの7人乗り、CROSSTERはキャプテンシートの6人乗りのほか、3列目を取り外した5人乗りを用意しています。その意図はどこにあるのでしょうか? さっそく開発責任者である、BEV開発センター統括LPL 安積 悟さんに尋ねました。

FREED

BEV開発センター統括LPL 安積 悟氏

 もともと「AIRは3列、アウトドアテイストのCROSSTARは2列」という分け方を考えていたようです。しかし、いくらSUVライクのアウトドアテイストといっても、ミニバンというフォルムからユーザーが想像するのは3列。なので、「3列6人乗り仕様を中心に、3列7人乗り仕様をAIR、2列5人乗り仕様をCROSSTARに設定しました」と説明してくれました。

 これにより、今までのFREEDにあった、ノーマルFREEDと5人乗りのFREED+、アウトドアテイストのFREED CROSSTARという3車種展開をシンプル化することで「CROSSTERのアウトドア機能的価値を高めることができた」とのこと。ちなみにFREED AIRは5ナンバーですが、CROSSTARはオーバーフェンダーぶん、拡幅しているため3ナンバー登録になるそうです。

 そのAIRですが、ステップワゴンと同じようにシンプルなデザインが印象的。どこかステップワゴンに通じるものがあります。「こういうボックス型のクルマは、単純なフォルムなので、いかに安定感のあるスタイリッシュにしていくか、というのが課題になります。前のFREEDは流麗なラインを採りましたが、今回は見ていて安心感のある形を表現して、箱なら箱ならではの価値を高めたいと思いました」。この考えは初代ステップワゴンと現行ステップワゴンに通じるものがあります。

前モデルと新型の乗り比べ
運転支援系の進化は如実に表れている

FREED

手前から2代目FREED、3代目FREED AIR、3代目FREED CROSSTAR

 そんなお話を聞いたところで、試乗へ。今回はHondaの研究所内にあるテストコースでの試乗のため、撮影できる場所が限られていたことと、豪雨だったのでそもそも撮影ができる状況ではなかったため、あくまでテキストベースになることをご了承ください。コースは高速周回路と、少し荒れたワインディングロードの2種類でした。

 まずは2代目FREEDを試乗。大きな不満はないのですが、最近のHonda車を知っている身からすると、「ちょっと古いクルマだなぁ」とも。それは高速走行中のハンドル支援が前時代的であったり、ギャップを乗り越える時に強い衝撃と揺れがなかなか収まらなかったりするあたり。さらに言えば走行音でも「MC後のVEZELは、もっと静かだったなぁ」などなど。

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FREED AIR e:HEV

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 続いて3代目FREEDのe:HEV仕様にチェンジ。まず感じたのは視界の広さ! 先代は側面に小窓のようなものがあるのですが、それがなくなったことが視覚的に何より大きいポイント。走行音は静かでトルクフルになったほか、高速走行では運転支援系の進化を実感。

 ワインディングロードでも、安定感のある「今のHonda」の足であるうえに、シフト制御もステップシフト(CVTでアクセル全開時にエンジンを高回転まで早く到達させてダイレクトな加速感を生み出す機能)のためか、とても気持ちのよいドライビング。CVT特有のラバーバンドフィール(エンジンが高回転になっても速度が出ていない状態)を感じることはありませんでした。

 直接比較したわけではありませんが、ライバルであるトヨタ・シエンタは直列3気筒ということもあってか、音も振動も大きいですし、足回りもフットワークの良さを信条としたような印象。シエンタと新型FREEDは真逆の性格といえそうです。

気負いせずに乗れるのがFREEDのいいところ

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FREED CROSSTAR(ガソリンエンジン仕様車)

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 試しにエンジン仕様車もチェック。e:HEVに比べエンジン車の方が室内に聞こえるエンジンの音が大きかったりしますが、それ以外の印象は変わらず。総じて「今まで不満に思った部分を、すべて潰してきた」というクルマに仕上がっているように感じました。

 ここ数年登場したHonda車は、「新しく何かをするより、ブラシュアップして完成度をあげてくる」印象を受けているのですが、新型FREEDも御多分にもれず。乗った誰もがポジティブな気持ちになり、「ここまで良くなったのか」と感嘆すること間違いナシ。

 そして口を紡ぐのは「イイ」という2文字。「乗り心地がイイ」「居心地がイイ」「使い勝手がイイ」「気持ちがイイ」「スタイリングがイイ」「静かでイイ」と、色々な「イイ」がFREEDには詰まっている印象。

 高級車で「イイ」と思う車種は多いですが、FREEDは気負いをしない、良い意味で身の丈にあった、自分にとって「ちょうどイイ」。自分にとってちょうどイイというクルマ、ありそうでなかったりするような……。

FREED

 試乗を終え、安積さんにイイという言葉を伝えると「イイは数字で表現することができない、感覚的な部分ですからね」と目を細め笑顔。前作での課題に思われた部分を、開発に関わるエンジニアが実直に、真面目に手直しをしてくる。Hondaって、真面目な企業なぁと思うとともに、FREEDはHondaでしかできえないクルマで、今のHondaのイイが1番出ている1台であると感じました。

ラインナップに福祉車両も用意
福祉以外にも利用できる

FREED

 最近のHondaは「福祉車両」にも力を入れています。FREEDにもスロープとウインチを取り付けた車両が用意されます。福祉車両というと介護だけのクルマに思われますが、それ以外の日常の面でも、たとえばベビーカーをスムーズに乗降でるようになるなど、メリットはいっぱい。

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 FREED CROSSTARスロープは、荷室部分に電動ウインチとスロープを搭載した1台。さらにCROSSTARにはなかったリアクーラーを用意するほか、車いす乗車スペースにリアヒーターダクトを用意します。

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 スロープは垂直だけでなく、水平にも置けるのがポイント。ちなみに耐荷重は200kgあるそうで頑丈。水平に置けるとので、モノを間におけるのも◎。

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 米国で販売している折りたたみの電動バイク「モトコンパクト」もスッキリ収納可能! 「モトコンパクトと一緒に売ったら?」と思うほどの収まりの良さなのですが、こちらは日本の法規に適合しないので現状では無理とのこと。残念ですね。

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 今夏の発売を予定している新型FREED。今イチバン、公道で走ってみたい1台です。ちなみに純正エアロパーツを搭載したFREED AIR、実にカッコイイ仕上がりだったこともお伝えします。

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