最新ユーザー事例探求 第59回
“予算が乏しい”“IT人材もいない”、それでも目指す業務効率化
「フェリーの待ち時間に仕事がしたい」島しょの自治体・竹富町がM365で進めるDX
2024年07月30日 08時00分更新
庁舎内外を問わずMicrosoft 365にアクセス、足りない機能はAvePointのツールで補完
このような地理的事情と制約がある中で、職員から「デジタルで業務を効率化できないのか」と声が上がるのは自然な流れだった。
変革に前向きな町長の就任もあって、2023年度には「DX課」が新設される。「竹富町DX推進計画」も策定され、町民が庁舎に来なくても各種手続きができるよう、行政サービスのDXを推進することになった。「同時に、職員自身もどこでも同じように業務ができる環境づくりが急務になった」と古見氏。
そこで、従来のグループウェアやチャットツールといった業務ツールは、新たに導入するMicrosoft 365へ一本化し、庁舎内外のどこからでもアクセスできるよう、ネットワーク環境も整備することになった。
Microsoft 365ではなく「Google Workspace」という選択肢もあったが、国や県とはOffice製品でのやりとりが多く、職員も慣れていることが決め手となった。外部からのアクセスを想定したセキュリティ機能が充実しており、300人までの利用制限が同町の規模感にマッチしている「Business Premium」プランを選択している。
Microsoft 365など特定のクラウドサービスへの通信は、庁舎外からは直接インターネットで、また庁舎内からは「ローカルブレイクアウト」の仕組みを使って実現する。これにより、約150名の職員はどこにいてもMicrosoft 365を利用できるようになる。なお、ローカルブレイクアウトを実現するために、A10ネットワークスのADC+ファイアウォール製品「A10 Thunder CFW」を導入した。
一方、Microsoft 365に業務ツールを集約することで、従来のグループウェアで活用していた、車両や会議室の予約、スケジュール共有といった機能が使えなくなる問題が発生した。「自分達で何とかしようにも、『SharePointって何?』『Teamsはウェブ会議ができるやつだよね?』程度の知識しかない我々ではどだい無理。悩んでいた中で、紹介されたのがAvePoint社だった」と久保田氏。
ノーコードでMicrosoft 365を機能拡張できる「AvePoint Portal Manager」を用いて、足りなかった機能をTeamsアプリとして実装することで、アプリケーションを増やすことなく問題を解決した。
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