業務を変えるkintoneユーザー事例 第229回
案件・工程管理の一括管理で問題をまるっと解決、売上・利益も3倍に
M&Aで生まれた現場職人との摩擦 福岡の電気工事会社を救ったのはkintoneだった
2024年07月10日 10時00分更新
kintoneユーザーによる事例・ノウハウの共有イベント「kintone hive 2024 fukuoka」が開催された。
本記事では、4番手を務めた福岡県の電気工事会社、.Noahホールディングスの河野瑛美氏、平尾愛花氏によるプレゼン「もしM&Aで拡大し続ける会社の女性社員がサイボウズの『kintone』を使ったら(もしキン)」をレポートする。
アナログ業務に加え、M&Aでぶつかる文化、トラブルのモグラ叩き状態に
.Noahホールディングスは、福岡県北九州市に本社を構える電気工事専門のグループ会社だ。「真っ直ぐに、挑戦。」を企業理念に、誰もが働きたい電気工事会社を目指している。
また同社は、M&Aによって成長を続けてきた会社でもある。2019年にエス・イー(キャリア通信)と吉田電気管理事務所(保安管理)、2021年にはジュネック(IT/ネットワーク)、2023年はエアデン(空調)とサンデン(東京エリア)を統合。電気工事領域のチャンネルを拡大しつつ、同領域の技術が失われないよう事業継承を推進している。
M&Aが始まったばかりの同社は、経理関連はデジタル化していたものの、基本はExcelから紙のアナログ業務、情報共有はLINEが中心だった。2021年に会社数が増え、従業員数も2倍になったが、アナログな業務は変わらない。同年入社した河野氏の所属する「工事サポート事業部」も、問題が山積みだった。
平尾氏:「やりとりは紙とLINE。しかも各社員が沢山の案件を抱えていると、色々な問題が起きそうです」
河野氏:「案件が発生したら、受注表を手で書いて、工事の種類で色分け、工事が決まったら該当ファイルを探して、請求に回すときも探して、とにかく管理が大変。さらにM&Aの問題!違う会社が一緒になるから、文化のぶつかり合いだったり、職人さんは頑固だから話を聞いてくれなかったり」
平尾氏:「実際にどんなトラブルが起きたのですか?」
河野氏:「M&Aって怖いイメージがあるでしょ?社員さんの不安がこっちにも伝わって、一緒に業務ができる状態ではなかったし、まだまだ事業部は未熟だったし、アナログ業務に追われていたし、悪循環の日々。もうどうしたらわからない!ミスが発生して、文句を言われて、対応の繰り返し…」
平尾氏:「まさにトラブルのモグラ叩き状態ですね。それってどうやって問題解決したんですか?」
工事サポート事業を襲ったのは、書類を探すことによる時間のロス、情報過多による見落としなど、アナログ業務による弊害だ。それに加え、職人との摩擦、文化や共有方法の違いによる伝達ミスなどで、M&A特有の不信感は強まっていく。転機となったのは、社長からDXを実現するツールとして紹介されたkintoneとの出会いだった。
最難関の「案件・工程管理」をkintone化、作業内容を70%削減
社長と上司より、半ば押し付けられるような形で試すことになったkintone。河野氏は、「もういっそ難しい問題から挑戦してしまえ」という気持ちで、様々な部署が関連する重要業務「案件・工程管理」の完全移行に取り組むことに。
案件・工程管理における、工事受注表は、基本情報から進捗、受注、請求まで全部手書きで管理していた。これをまるごとkintoneアプリ化。すると、記入漏れはなくなり、案件も個人からチームで管理できるように。期限も設定できるようになり、忘れていたら通知で知らせてくれる。
案件管理には、タスク管理プラグインの「KANBAN」(アーセス開発)を導入。進捗ごとに100案件までを一覧で把握でき、進捗の項目も従来の9個から16個に細分化できた。
案件・工程管理を、1つのkintoneアプリで一括管理することで、いっきに問題が解決した。事務所にいなくてもスマホから確認でき、チーム管理になったため見落としもなくなった。紙、口頭、LINEでやりとりしていた案件の進捗も、kintone内のコメントで統一して、引継ぎ時間も大幅に削減された。業務内容も70%削減できたという。
最難関の案件・工程管理を最初にkintone化したことで、他業務の移行は、“EASYモード”に。数百万種類ある電材の発注書も、kintoneアプリに帳票出力の機能を追加する「ドキュトーン」(オプロ開発)で、管理はシンプルに。発注業務も、約24秒から約8秒に短縮できた。
そのほか、現場調査から見積、完了報告などのkintoneアプリを作成し、つぎつぎと連携させていく。「2021年に起きた問題は結果として、今のkintone中心の業務になるきっかけになりました」と平尾氏。
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