このページの本文へ

前へ 1 2 3 4 次へ

新清士の「メタバース・プレゼンス」 第69回

AI動画の品質が仕事に使えるレベルになってきた

2024年07月01日 07時00分更新

文● 新清士 編集●ASCII

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

アニメの「中割」のような効果、すでに納品に使ったケースも

 さらに、6月28日に「キーフレーム」という新機能を追加しました。これは始点と終点となる画像をそれぞれ指定することによって、生成される動画がそれに合わせて生成されるというものです。

 この効果は大きく、画像のランダムに変化する度合いをコントロールできるようになった度合いが高まりました。例えば、似た顔の画像を2枚指定することにより、生成された画像がうまく生み出されると、自然な変化に見えます。もちろんこれも生成結果はランダムなので、完全にはコントロールできず、構図が異なった画像の場合にはまったくうまく出せないということも起きます。それでも、1枚で試行回数をひたすら増やしてたまたまいい出力を得るというものよりも、はるかに有効な動画が出力できる可能性が高まりました。

 アニメ系では、うまくつなぐと、アニメの中割りを生み出してくれるような動画が生成できることがわかってきています。自分のイラストを動かしてみたいという人たちが、様々な生成を試みはじめています。

 これはAnimeteDiffなどで研究されてきたControlNetと組み合わせて動画生成を制御する方法が応用されていると予想されています。Soraのような複雑な学習方法を取らなくても、既存の動画生成AIの学習法を拡張していくことでも品質の高い画像が作れることがわかっただけでも、大きな可能性を示しています。

 Dream MachineはUIもシンプルで迷いようがなく、初めは無料で誰でも手軽に高品質なAI生成動画を作れることから、すでにXやTikTokなどのショート動画に強いSNSでも流行の兆しを見せています。また、動画制作を事業としている人のなかでも納品物に使ったという報告が見られています。動画生成AIはなかなか品質が出ない上に、使いにくかったという時代も急激に変わっていこうとしています。

 

筆者紹介:新清士(しんきよし)

1970年生まれ。株式会社AI Frog Interactive代表。デジタルハリウッド大学大学院教授。慶應義塾大学商学部及び環境情報学部卒。ゲームジャーナリストとして活躍後、VRマルチプレイ剣戟アクションゲーム「ソード・オブ・ガルガンチュア」の開発を主導。現在は、新作のインディゲームの開発をしている。著書に『メタバースビジネス覇権戦争』(NHK出版新書)がある。

前へ 1 2 3 4 次へ

カテゴリートップへ

この連載の記事
ピックアップ