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新清士の「メタバース・プレゼンス」 第69回

AI動画の品質が仕事に使えるレベルになってきた

2024年07月01日 07時00分更新

文● 新清士 編集●ASCII

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 Luma AIが6月12日に公開した動画生成AIサービス「Dream Machine」が、月に無料で30回まで試せることもあって、大きな話題となっています(「ついに来た! 無料で試せる動画生成AI『Luma Dream Machine』」参照)。ただ、技術情報は出ておらず、どういう関係や経緯で出しているかは一切不明です。

※記事の配信先によっては動画や図版がうまく表示されないことがあります。その場合はASCII.jp掲載の記事をご覧ください

手軽に高品質な動画が生成できる「Luma AI」のサービス

 Luma AIはこの連載でも何回か紹介してきたように、大量の写真から3Dモデルを生成するサービスからスタートし、昨年12月には3Dモデル生成サービス「Genie」で参入しているAIスタートアップ企業です(連載第41回「3Dスキャンの進化がすごい」参照)。生成AIの3D化技術で先行していることから、業界から注目を集めていました。ただ、3Dモデル化サービスについては、クオリティが競合に比べて上がっておらず、停滞している印象がありました。ところが、事前予告なしに非常に高品質な動画生成AIを発表して、「これはなんだ!?」とみんなが驚愕したという流れです。

 Dream Machineの強さは、何よりも品質の高さです。プロンプトだけでも画像を生成することができますが、画像を読み込ませると手軽に高品質な動画を作れるんですね。生成できる動画は5秒間と限られてはいるものの、これまでの画像生成AIサービスと比べて品質の高い動画が2~3分で生成されます。よくあるのは、Midjourneyなどの画像生成サービスで作成した画像を読み込ませて動画を生成するというもの。今ではあまりの人気ぶりに、無料モードでの利用は数時間待たされるのが当たり前にもなっていますが。

 本職が映像作家だというKaku Drop 架空飴さんも、さっそくDream Machineを使った動画をアップロードしているひとりです。生成した動画のうち使えるパートをつないで動画を作成したようですが、品質の高い画像の生成に成功しています。ただ、実際のところ、どのような動画が生み出されるのかは、完全にランダムで生成が完了するまでわかりません。そのため、品質の良い動画を作成するには相当数の試行錯誤が必要になります。実際に筆者も試したのですが、人物がまるで違うものに変わってしまったり、おかしな腕や指が出てきたり、まったく動かなかったりと、ハズレに当たるような動画が連発されました。業務に本格的に使えるレベルの動画を作るには相当数の試行錯誤が必要になるのは間違いありません。

 Kaku Drop 架空飴さんも、この動画を作成するために320回の試行錯誤をしたと明らかにされています。月プランはスタンダード(月30ドル)で150回、プロ(月100ドル)では430回という価格体系なので、品質を求めるとプロプランでも足りない試行回数が必要ということになります。

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