このページの本文へ

前へ 1 2 3 4 次へ

新清士の「メタバース・プレゼンス」 第68回

AIが作る3Dモデルの完成度が上がってきた 毎回異なるモンスターが生成されるゲームも実現か

2024年06月17日 07時00分更新

文● 新清士 編集●ASCII

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

「毎回違うモンスターを生成するゲーム」の登場も予期される

 Tripo AIのソン・ヤチェンCEOは、2024年1月のブログで、「3D業界の利用者は、4つのレベルに分かれている」と興味深いことを述べています。

 第1のレベルは、伝統的なプロ用の3Dツールを使っているユーザーで、中国では約10万人。

 第2のレベルが、Blenderのようなプロ用3Dツールを使っているが、仕事には特化していない非プロの3Dクリエイター。中国では100万人、全世界では数千万人に達しているとしています。

 第3のレベルがゲームユーザーで、3Dコンテンツを作成する能力がなく、体系的に学ぶ方法も知らない人たち。「メインストリーム」とソン氏は呼んでいます。

 第4はAIに目的を見出していないでなんとなく試してみたいというさらに外側の層です。

 そして、Tripo AIはこの第2、第3の層をターゲットにしているというのです。Tripoをゲームの中に簡単に組み込み、毎回違うモンスターを生成して召喚したりできるようなゲームが、3D知識を持たないユーザーに普及するように使われる時代が登場すると予測しているのです。

 ソン氏は、Tripo AIの「ビジョンは3Dコンテンツの生産性を解放すること」としており、「3Dは障壁の高い分野ですから、"飽和イノベーション "が重要です」と述べています。これは誰でも意識しないで、簡単に3Dが作れてデータあふれかえるような状況を目標としていると言えます。実際、現在、Tripo AIは他のアプリケーションからも利用できるようにAPIの整備を進めています。

 2Dから、3Dへと、生成AIの世界は着実に広がり続けています。ゲームで、毎回自分の違った3Dキャラクターを生成し、自由に使えるようになる世界。そうした時代が、着実に迫ってきているようです。

 

筆者紹介:新清士(しんきよし)

1970年生まれ。株式会社AI Frog Interactive代表。デジタルハリウッド大学大学院教授。慶應義塾大学商学部及び環境情報学部卒。ゲームジャーナリストとして活躍後、VRマルチプレイ剣戟アクションゲーム「ソード・オブ・ガルガンチュア」の開発を主導。現在は、新作のインディゲームの開発をしている。著書に『メタバースビジネス覇権戦争』(NHK出版新書)がある。

前へ 1 2 3 4 次へ

カテゴリートップへ

この連載の記事
ピックアップ