一貫性を保ったまま他の画像を作成する「スタイル」
「スタイル」も新機能として追加されています。画像の参照するスタイルを指定したり、効果を決めたり、ライトやカメラアングルのしてもできたりと、簡単操作で様々なことができます。ただ、パラメーターにはなかなかクセがあるので、狙った画像を出そうと思うと試行錯誤は必要です。一方で、3DCGなどの背景画像を、リアルな写真風に近づけたものを出力するといったことは得意です。
アドビは、ウェブのFirefly単独ではなく、Photoshopなどの他のアプリと連携して使用することが想定されていると考えられます。例えば、先ほどの熱帯雨林に人物を追加したい場合には、別にFireflyで人物を生成し(上)、Photoshopに読み込み、強力な生成AI機能の一つである「背景を削除」を選択すると、合成画像(中)が簡単にできあがります。被写体を選択して、選択範囲を反転し、「生成塗りつぶし」を使って、ジャングルを生成するという方法(下)もあります。ここまでの作業は数分でできます。現状は照明を後から調整する「IC-Light」(参考記事)のような機能はないので、一定の不自然さは残りますが、十分に使い物になります。
服も着せ替えできる「生成拡張」
さらに面白いのが、「生成拡張」。ウェブ版のFireflyでも、Photoshopでも使用可能ですが、先ほど生成した背景の存在しない領域を違和感なく拡張して、画像を追加生成できてしまいます。さすがに人体を拡張させていくと破綻が出てきますが、元の画像を解析して、適正な画像を作り出してくれます。このあたりは相当便利になったと感じます。
以前Xでバズっていたのが、服の画像を使ったモデルの「着せ替え」です。画像のなかで服を選択して、「生成塗りつぶし」から参照する画像を選びます。これだけでしっくりなじむようになります。
Newest update of Generative Fill in Photoshop pic.twitter.com/u9vyv28plP
— Photoshop Tricks! (@gisellaesthetic) May 26, 2024
生成塗りつぶし機能は、イヤホンのコードのようにいらないものをあとかたもなく消せるという点もよく紹介されます。Lightroomにも色々と、生成AI機能が入ってきていますが、PhotoshopだけだったAI削除がLightroomでも使えるようになったことで、より便利になってきたという感じです。
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