暗号資産の交換業者(仮想通貨取引所)DMMビットコインから、482億円相当のビットコインが不正流出した。
同社の公表資料によれば、2024年5月31日午後1時26分ごろ、同社のウォレットからビットコインが不正に流出していることを検知した。現時点で、ビットコイン4502.9BTC(約482億円相当)の流出が判明している。
同社が流出を確認したのは31日午後で、同日夜に流出の事実を公表した。その時点で、同社は流出したビットコインの相当量を全額補償する方針を明らかにしている。一方、同社は大規模流出の発生を受け、暗号資産を取引する口座の新規開設など、サービスの大部分を停止した。6月1日の読売新聞の報道によれば、金融庁は、事実関係を調べて金融庁に報告するよう同社に命じている。
現時点で判明している事実はほとんどない。5月31日の共同通信によれば、同社は警視庁に被害を相談したという。今後は、警察と金融庁が中心となって、DMMビットコインで何が起き、なぜハッキングの被害に至ったのかについて、解明が進められることになる。
37万口座の暗号資産交換業者
企業としての暗号資産交換業者について知りたいときに参考になるのが、各社が公開している「事業報告」文書だ。DMMビットコインも、直近では2023年3月期の事業報告をウェブサイトで公開している。
事業報告などによると、DMMビットコインは、成人向けコンテンツを始め、極めて幅の広い事業を展開しているDMM.comグループの1社で、DMM FXホールディングス社の100%子会社だ。
会社設立は2016年11月で、当時は「東京ビットコイン取引所」という名称だったが、2017年12月に現在のDMMビットコインに名称を変更している。同社が、暗号資産交換業者として登録したのも2017年12月のことだ。暗号資産交換業者の登録制度が2017年9月にスタートしたことを踏まえると、DMMグループは、日本国内の企業としては早い段階で暗号資産ビジネスに参入したと言える。
DMMビットコインのユーザーが開設している口座は、2023年3月期の報告の時点で約37万口座だ。ただ、2023年から2024年上半期にかけては、株高や日本国内での投資への関心の高まりから、暗号資産交換業者の口座数が大幅に増加し、2024年4月には全体で1000万口座を超えていることから、DMMビットコインのユーザー数も直近の数字では大幅に増加している可能性がある。
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