このページの本文へ

最新パーツ性能チェック 第442回

内蔵GPUを削除したRyzen 7 8700FとRyzen 5 8400Fに存在価値はあるのか?

2024年05月30日 11時00分更新

文● 加藤勝明(KTU) 編集●北村/ASCII

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

ゲーム性能はL3キャッシュとクロックが効く

 ではここから先はゲームにおけるパフォーマンス検証に入る。今回の検証ではRyzen RX 7800 XTのパフォーマンスが、CPU/ APUのチョイスによりどの程度変わるかに注目する。

 実ゲームの検証に入る前に若干リニューアルした「3DMark」を試してみよう。テストはおなじみ“Fire Strike”および最新アップデートで追加された“Steel Nomad Light”“Steel Normad”を選択した。Steel Normad Light/ 無印はDirectX 12とVulkanが選択可能になっているが、今回はDirectX 12を明示的に指定している。

 まずCPUを使った物理演算テスト単体が用意されているFire Strikeでは、マルチスレッド性能の高いCPUほどスコアーが伸びる。ここで特にRyzen 7 7700は8700Fの差は7%と無視できない差が付いている。その一方で、CPU単体のテストがないSteel Normad Light/ 無印は差が非常に小さい。

 Steel NormadではRyzen 7 8700FやRyzen 5 8400Fのパフォーマンスは既存のモデルと大差ないことを示唆しているが、実際のゲームではどうだろうか? 

 CPUレビューにおけるゲーム検証では、GPU側のボトルネックがフレームレートに影響しないように画質を最低設定で実施する、というのがいつものパターンだが、今回は最低設定と最高設定の2通りをチェックする。ただし時間の都合上解像度はフルHD(1920x1080ドット)一本とした。

 まず「Overwatch 2」では、画質“低”および“エピック”を選択、レンダースケール100%、フレームレート上限600fps、さらにFSR 1/2はオフに設定。マップ“Eichenwalde”におけるBotマッチを観戦中のフレームレートを「CapFrameX」で計測した。

 フレームレートを優先するために最低画質設定にするとCPUの力量差が露骨に現れる。Ryzen 7 7700とRyzen 7 8700G/ Fの間には平均フレームレートでざっくり100fps差、最低フレームレート(正確には下位1パーセンタイル以下の平均fps)は30fpsも違う。Ryzen 5 8400Fに関してもRyzen 5 7500Fに圧倒されている。

 しかし画質を最高設定にするとフルHDでもGPU側が強烈なボトルネックになるせいでフレームレートの差は5fps程度に圧縮される。最低設定であれだけ強かったRyzen 7 7700はRyzen 7 8700Fと平均4fps程度しか差がない。どちらのプレイスタイルを採用するかによって評価も変わるが、eスポーツスタイルでゲームに挑む人にはRyzen 7 8700FやRyzen 5 8400Fは今ひとつな選択といえる。

 続いては「Starfield」で検証する。「Starfield」は画質“低”もしくは“ウルトラ”設定、FSR 3のフレーム生成を有効化、さらにレンダースケール58%(バランス相当)に設定。都市マップ“ニューアトランティス”のMAST地区を移動する際のフレームレートをCapFrameXで計測した。

 Starfieldは割とCPUパワーが重要になるため、画質設定に関係なくRyzen 7000シリーズが優位に立つ。Ryzen 7 8700Gと8700Fの差がほとんどないことから、わずかなクロックの差ではなく、L3キャッシュ搭載量の差がRyzen 7000シリーズを優位に導いていると思われる。

 「Cyberpunk 2077」では画質“低”および“レイトレーシング:ウルトラ”をベースに、FSR 2“バランス”を加えた設定を準備。ゲーム内ベンチマーク再生中のフレームレートをCapFrameXで計測した(そしてこの計測方法の都合でAFMFは不使用である)。

 最低設定時はOverwatch 2と同様にクロックも高くL3キャッシュも多いRyzen 7000シリーズが強い。特にRyzen 7 8700G/ FよりもRyzen 5 7500Fの方が高いフレームレートを出している点に注目したい。しかし高設定にレイトレーシングが加わるとGPU側が強烈なボトルネックとなるため、フレームレートはどのCPUもほぼ横並びとなる。RX 7800 XTより強いGPUを使えばもう少し差が拡大する可能性もあるが、RX 7700 XTより下のGPUであれば差でない、と思っていい。どの辺の画質で攻めたいのかによってボトルネックの定義もCPUの力関係も大きく変わるのだ。

 最後に試すのは「Ghost of Tsushima DIRECTOR'S CUT」だ。画質は“非常に低い”および“非常に高い”とし、FSR 3“バランス”およびフレーム生成も使用した。“日吉の湯”において一定のコースを移動した際のフレームレートをCapFrameXで計測した。

 このゲームでは画質の高低に関係なく、Ryzen 7000シリーズが全体に強い。Ryzen 7 8700Gと8700Fの差がほぼないことから分かる通り、クロックの差はフレームレートにほとんど貢献していないようだ。

カテゴリートップへ

この連載の記事

注目ニュース

ASCII倶楽部

ピックアップ

ASCII.jpメール アキバマガジン

ASCII.jp RSS2.0 配信中