連載:今週の「ざっくり知っておきたいIT業界データ」 第133回
IT市場トレンドやユーザー動向を「3行まとめ」で理解する 4月27日~5月10日
日本企業のAI専門チーム設置率は38%で海外の半分以下、就活で「採用動画は重要」73%、ほか
2024年05月13日 08時00分更新
本連載「ざっくり知っておきたいIT業界データ」では、過去1週間に調査会社などから発表されたIT市場予測やユーザー動向などのデータを、それぞれ3行にまとめてお伝えします。
今回(4月27日~5月10日)は、企業におけるAIへの取り組みの国際比較、人材管理ソフトウェア市場、ランサムウェア攻撃と身代金支払い、就職活動における「採用動画」の活用実態、企業のIoTプロジェクトについてのデータを紹介します。
[AI]「AI専門チーム」の設置比率、日本は38%で海外の半分以下(ガートナージャパン、5月9日)
・企業における「AI専門組織」の設置比率は日本38%、海外76%
・AI開発に必要な人材とスキルが「十分に確保できている」日本は7~10%、海外は22%
・大企業も中堅企業も「人材不足」がAI導入の障壁
日本の中堅~大企業、米国、ドイツ、英国を対象にAIの組織的取り組み状況を調べた。AI専門組織を設置している日本の大企業は38%で、1年後の予想でも半数以下という結果。これに対して海外企業は76%が設置済み、さらに今後1年以内に設置予定も23%に達した。AI開発人材について「十分に人材とスキルを確保できている」とする回答も、日本の大企業7%/中堅企業10%に対し、海外企業は22%に達しており、特に日本で「枯渇感が強い」状況がうかがえる。
[HCM]人材管理市場は2022年度30%成長、トップ3ベンダーが牽引(5月9日、アイ・ティ・アール)
・2022年度の人材管理ソフトウェア市場の売上高は215.4億円
・前年比30%増上位3ベンダーが前年度比30%超で伸び、市場を牽引
・2022年~2027年までCAGR19%で成長、2027年度には市場規模500億円超の見込み
人材管理ソフトウェア市場(HR/人材管理、LMS/学習管理、従業員エンゲージメントを含む)の2022年度売上金額は215億4000万円で、前年度比30.7%増となった。上位3ベンダーが30%超で伸びるなど、市場を構成する6割以上のベンダーが前年度から20%以上売上を拡大した。2023年度も上位ベンダーの好調な伸びが続き、前年度比28.8%増と予測。優秀な人材の確保、生産性向上、人的資本経営といったトレンドがあり、特に中小企業でSaaSを中心に新規導入が増えている。また、中堅以上はパッケージからSaaSへなどのリプレースなどが進んでいるという。
[セキュリティ]2023年のランサムウェア身代金、平均支払額は500%増の200万ドル(5月9日、ソフォス)
・身代金を支払った企業の平均支払額は200万ドル、2022年の40万ドルの5倍
・身代金を除く平均修復費用は273万ドル、2022年の182万ドルから約100万ドル増加
・ランサムウェア攻撃を受けた組織の割合は減少、66%から59%へ
年次調査レポート「ランサムウェアの現状2024年版」から日本のデータを公開した。目を引くのがランサムウェア攻撃を受けた組織で、身代金を支払った場合の平均支払額。今回の調査では平均200万ドル(およそ3億円)となり、2022年の40万ドル(6000万円)から約5倍に増えた。身代金を除いた平均修復費用も273万ドル(4200万円)で、こちらも2022年の182万ドル(2800万円)から増加した。なお、ランサムウェア攻撃を受けた企業の比率は59%と、2022年の66%からは減少した。企業の売上高とランサムウェア攻撃は相関関係があるが、売上高1000万ドル未満の企業でも47%が攻撃に遭っているという。
[トレンド]就活も動画の時代、20~25歳の85%が「採用動画は他の情報源より役立つ」(4月30日、JITSUGYO)
・20~25歳は「採用動画は他の情報源より役立つ」が85%
・採用動画で知りたい内容は「給料」よりも「職場の雰囲気」
・採用動画は「重要」は73%、85%以上が「採用動画があると応募しやすい」
就職活動(就活)をしたことがある20~25歳の男女約501人への調査。採用動画を見た人のおよそ85%が、ほかの情報源と比べて「役立つ」と回答した。採用動画で知りたい内容は「仕事内容」(59.4%)、「職場の雰囲気」(51.9%)、「給料」(47.4%)などで、“動画ならでは”の内容に人気が集まる。就活で利用するSNSは「X」(50.5%)、「YouTube」(47.9%)など。好ましい動画の長さは「1~3分」が41.1%と最多で、長い動画は好まれないことも伺える。85%が「採用動画があると応募しやすい」と回答している。
[IoT]IoTプロジェクトへの投資増が多いのは「サプライチェーン/移動貨物管理」、製品IoT化は成功が難しい(5月1日、IDC Japan)
・サプライチェーン/移動貨物管理の69%が、IoTプロジェクト投資を前年から増加
・製品のIoTは早期から取り組み進むが、導入目的を達成できた比率は22%
・IoTプロジェクトで外部支援を希望する項目は「企画」が最多
国内企業400社を対象に、IoTの目的達成度、支援ベンダーなどについて調べた「2024年 IoT担当者調査」より。IoTプロジェクトへの投資は増加傾向にあり、「前年から投資を増加させる」と回答した業界は、「サプライチェーン/移動貨物管理」が最多の69.2%、「小売販売支援」が67.5%、「在庫管理」が66.7%となった。IoT導入に成功している企業の割合は、早期に取り組みが始まっている製品のIoT化は22.2%と4番目にとどまった。「製品のIoT化は多くの場合、付加価値を高め収益を拡大することが導入目的となるが、成功させることは容易ではない」と分析している。

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