連載:今週の「ざっくり知っておきたいIT業界データ」 第132回
IT市場トレンドやユーザー動向を「3行まとめ」で理解する 4月20日~4月26日
中小企業に聞く「無駄な事務作業」第1位は?、女性セキュリティ人材の比率と給与格差、ほか
2024年04月30日 08時00分更新
本連載「ざっくり知っておきたいIT業界データ」では、過去1週間に調査会社などから発表されたIT市場予測やユーザー動向などのデータを、それぞれ3行にまとめてお伝えしています。
今回(4月13日~4月26日)は、サイバーセキュリティ業界のダイバーシティ、生成AIとデジタル・シフト、中小企業が考える「バックオフィス業務の無駄」、勤続希望理由の中の「退職給付」、「65歳を超えても働きたい」シニア世代の意識調査を紹介します。
[セキュリティ][ダイバーシティ]サイバーセキュリティチームの女性比率、グローバル平均は23%(ISC2、4月26日)
・サイバーセキュリティチームに占める女性の割合は平均23%
・ただし、30歳未満の人材における女性比率は65歳以上層の2倍
・女性の平均給与は10万9609ドル、男性は11万5003ドル(米国)
サイバーセキュリティに従事する女性2400人を調べた2023年度の「ISC2 Cybersecurity Workforce Study」(グローバル調査)より。サイバーセキュリティチームに占める女性の割合は平均23%と少数派だが、30歳未満における比率は26%と、65歳以上(13%)の2倍であり、若年層になるにつれて女性の増加が見られる。勤務先の業界としては「ホスティング/クラウドサービス」(28%)が最も多かった。セキュリティチームにおけるダイバーシティ(多様性)の重要性を認識している女性は76%(男性は63%)。78%の女性が「チームの成功にはインクルーシブな環境が不可欠」と感じている。米国のサイバーセキュリティ人材の平均給与を見ると、男性が11万5003ドル、女性は10万9609ドルと5400ドルの開きがあると報告している。
[生成AI]生成AIに頼った顧客対応を続ける企業の80%は、2027年までに「顧客離れ」を起こす可能性あり(ガートナージャパン、4月24日)
・生成AI頼りの顧客対応を続ける企業の80%は、2027年までに「顧客離れ」を起こす
・生成AIは「相手の機嫌」や「感情」を感じ取り態度を変える機能を備えていない
・イノベーション推進に取り組む企業の半数以上が、推進部門と事業部門の間に軋轢
生成AIの浸透よって人とコンピュータとのやりとりが変わると見られるが、現状の技術にとどまるかぎり「過度な依存は禁物」と警告する。アウトプットの信頼性がまだ不十分なうえ、「相手の機嫌」や「感情」を感じ取り態度を変えるような機能を持たないこともあり、目的が明確でないまま生成AIテクノロジーの導入を進める企業の80%は、「何の成果も得られず取り組みの中止に追い込まれる」としている。また、生成AIをはじめとするデジタルシフトには“ゲームチェンジ”の課題もあり、社内関係部門との間で生じる軋轢の調整など、テクノロジーの導入にとどまらない戦略的なアプローチが不可欠だとアドバイスしている。
[DX][SMB]中小企業のバックオフィス業務、無駄な業務のトップは「データ入力」(ピー・シー・エー、4月23日)
・無駄な業務のトップは「データ入力作業」(42%)
・無駄な業務が発生する原因は「会社の風土」(45%)、「DXが推進されていない」(39%) ・生成AIの活用ルールは「なし」(40%)がトップ、22%が「研修後に利用可能」
中小企業(従業員数50~500人)の経理・総務担当者106人を対象に、バックオフィス業務の実態を調べた。自分の業務の中で無駄だと感じるものを尋ねたところ、トップは「データ入力」で42.5%、続いて「自分に関係ない会議への参加」(35%)、「報告」(25%)と続いた。また社内のメンバーの業務で無駄と思うものは「自分に関係ない会議への参加」が37.7%でトップだった。生成AIの導入については「活用ルールはない」が最多で40.6%だった。
[働き方]勤続理由に「退職給付」挙げる比率は31%で7年前から17ポイント増、「引き留め」効果(WTW、4月24日)
・現在の企業に継続勤務する理由に「退職給付」を挙げる人は31%、2017年の17%から14ポイント増
・新たに働くことを決めた理由に「退職給付」を挙げる人は20%、2017年の14%から増加
・コロナ禍を経て社員の価値観に変化
日本の約1000人、全世界の4万5000人を対象にしたグローバルベネフィット意識調査より。日本の大~中堅企業の社員で、現在の会社で働き続ける理由として「退職給付」を挙げた人は31%と、2017年調査の17%から大幅な増加となった。新たな会社で働くことを決めた人も同様で、「退職給付」を理由に挙げる人が20%に増加している。2017年の14%から2024年は20%と増加。コロナ禍で社員の価値観が変化し、会社に働き続けるか否かを確認する中で「退職給付による“引き留め”」の効果が表れたとしている。一方で、退職給付による引き留めが機能していない会社は、人材流出のリスクが高まっていることも示唆している。
[生活]50代のおよそ半数は「65歳を超えても働きたい」(NTTデータ経営研究所、4月25日)
・50代の47%は「65歳を超えても働きたい」
・新たに始めたいことは「運動・スポーツ」など、アウトドアの趣味を始められない理由は「金銭的不安」(53%)など
・人との関わりに期待するのは「日常的に話をする」(50%)、「困ったときに支え合える」(43%)
4月28日の「シニアの日」に合わせて、国内50代~80代の男女2000人にアンケート調査を実施。「65歳を超えても働きたい」という50代は47.2%で、12.8%は「一生働きたい」と回答した。50代の約8割が、健康維持、趣味、仕事、人との関わりのいずれかを行っており、新たに始めたいこととして「運動・スポーツ」「アウトドアの趣味」を挙げる割合が高齢世代より高かった。一方で、始めたいができない理由としては、運動・スポーツは「自信がない」(30.2%)「金銭的不安」(28.3%)など、アウトドアの趣味は「金銭的不安」(53.2%)が最多だった。

この連載の記事
-
第211回
ITトピック
要件定義をAIが支援し「工数を半分以上削減」7割超/“日本独自のAI推進モデル”が判明/AIセキュリティ導入の課題、ほか -
第210回
ITトピック
生成AI普及後も「IT技術者採用は減らない」が約8割/今後5年で倍増のデータセンター電力消費、3分の2は米国・中国、ほか -
第209回
ITトピック
脆弱性のあるVPN機器、6割の企業が「すぐ特定できず」/来年注目の“11のIT戦略テーマ”発表/管理職の半数が「燃え尽き」を経験している、ほか -
第208回
ITトピック
日本のクレカ情報、闇市場では世界一高値で売買/東京が2年連続で世界一、DC建設コスト/誤情報・偽情報への企業対策が加速、ほか -
第207回
ITトピック
人事評価に6割超が自己評価との「ギャップ」感じる/“AIの波”を生き延びるための技術トレンド/AIプロジェクトの6割超がPoC止まり、ほか -
第206回
ITトピック
IT技術者として何歳まで働く? 40代と60代の意見差/年率66%で急成長の「DAP」市場/フリーランス新法施行1年で改善実感の声、ほか -
第205回
ITトピック
ランサム被害企業の3割が「繰り返し被害に遭った」/インフラ技術者の年収アップに効く資格取得/AIに雇用を奪われるのは若手人材? ほか -
第204回
ITトピック
技術学生の大手SIer就職人気が躍進、その理由/成長率37%“急速拡大”の国内AI基盤市場/物価上昇で退職金の実質減少が続く、ほか -
第203回
ITトピック
1件のセキュリティ事故が281社に影響連鎖、恐ろしいサプライチェーンリスク/シニア人材がプロとして働くモチベーションは? ほか -
第202回
ITトピック
ICT求人の8割で「AIスキル」が職務要件に/経営層が熱望するソフトウェア革新/セキュリティのハイプサイクル発表、ほか -
第201回
ITトピック
顧客接点にデジタルヒューマンが浸透/「週休3日」求人はこの5年で5倍に増加/iPhone 16eが期待外れだった理由、ほか - この連載の一覧へ














